お傳地獄(おでんじごく)の紹介:1960年日本映画。「明治の毒婦」と呼ばれ、多くの映画に題材を提供している実在の殺人犯、高橋お傳(でん)。重病の夫に献身的に尽くすお傳が切なくも転落していく様を京マチ子主演で描く。邦枝完二の原作を木村恵吾の脚色・監督で映画化。
監督:木村恵吾 出演者:京マチ子(お傳)、船越英二(浪之助)、菅原謙二(平岡)、中村伸郎(後藤昌文)、川崎敬三(杉本)、殿山泰司(大八)、水谷良重(お初)その他
映画「お傳地獄」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「お傳地獄」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「お傳地獄」解説
この解説記事には映画「お傳地獄」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
お傳地獄のネタバレあらすじ:起・浪之助とお傳
上州のあぜ道をお傳(京マチ子)が駆けていくのを農民たちが見る。お傳が走ると言えば夫・浪之助(船越英二)が、またけんかをしているのに違いない。皮膚病を患って以来、浪之助はひがみっぽくなり、そんな浪之助を人々もつまはじきしていた。浪之助がけんかを始めた店のおかみは、お傳は自分の店の飯盛り女だったときは、いい娘で人気者だったのにと同情する。最初は金のために寝た浪之助に惚れて嫁になったのだった。
お傳は夫を東京の名医に診せると決意するが、金がない。前々から彼女に惚れていた庄屋の息子・大八(殿山泰司)が金を用意してくれたが、代わりにとお傳の体を求める。拒むお傳ともみあいになるうちに、橋の腐った欄干が崩れて、大八は谷底へ落ちてしまった。
お傳地獄のネタバレあらすじ:承・薬を得るために
東京に出て半年。お傳夫婦は宿に泊まり、名医・後藤昌文(中村伸郎)の医院に通っていたが、その日は浪之助の手足が痛み、外に出られず、後藤は若い代診の杉本(川崎敬三)に往診に行かせる。杉本の出した痛み止めの薬で、たちまち浪之助の痛みはひいたが、薬が切れるとまた激痛に悩まされる。
お傳は杉本に同じ薬を哀願するが、その薬は、本当は使ってはならない麻薬だった。お傳は薬を横流ししてもらうために杉本と肉体関係をもち、二人は良心にとがめながら、その関係を続ける。そんな時にお傳は、大八が死んでいずに東京に出て人力車夫になっているのに出くわした。
ある晩、いつもの密会場所に杉本の代わりに後藤が現れる。薬の持ち出しがばれた杉本が医院を辞めたと言われる。後藤はお傳のために横浜のヘボン医師への紹介状を書く。だが、横浜に越すことにするとお傳が宿の主人に言うと、主人はおまけしていた宿代をどうしてくれると、お傳を布団部屋に押し込んで犯すのだった。
お傳地獄のネタバレあらすじ:転・最初の殺人
横浜に来て、ヘボンの医院に浪之助がかかるようになって半年が経った。浪之助の病はよくならず、横浜になじめない浪之助は上州を恋しく思っていた。お傳は長屋の人たちや夫には牛肉屋の女中をしていると言っているが、実は街頭に立って売春相手の男を引く夜鷹をしていた。
ある日、長屋に杉本が現れる。長崎の病院に勤めることになった杉本はもう一度だけお傳に会いたいとやってきたのだ。宿に入って杉本に抱かれた後、浪之助の世話に疲れるお傳はいっそのこと自分をいっしょに連れていってくれと言うが、医者として杉本は、浪之助をお傳に放り出させることはできなかった。杉本が去った後、お傳は、土地の夜鷹のボスであるお初(水谷良重)の愛人の平岡(菅原謙二)が、うるさいお初から逃げていたのを匿う。
ある晩、土地の夜鷹たちにリンチされかけたお傳を平岡が助ける。それをきっかけに二人は親しくなる。港の廃船の中で逢引きを重ねる。まるで夫婦のように二人で撮ってもらった写真をお傳に見せる平岡。平岡は自分が実はスリで、その上、野毛山の警官殺しの犯人だと告白する。だが、その会話に今は横浜で人力車夫をしている大八が聞き耳をたてていた。脅迫する大八をお傳は色仕掛けで安心させ、隠し持った出刄包丁で刺し殺す。
お傳地獄の結末:死にたくない
お初がついに平岡を密告する。警察の目を逃れていつもの密会場所でお傳に会った平岡は、もう一生会うこともないだろうとお傳に別れを告げる。だが、長屋に帰ったお傳は、お初が浪之助に、お傳と平岡の写った写真を見せて二人の関係を教えたことを知る。
浪之助はお傳にいっしょに死のうと言うが、夫に生きなければいけないと言うお傳。無理心中をしようと出刄包丁を持って浪之助がお傳に追るが、お傳は生きてもう一度あの人に会いたいと言う。もみ合っているうちに浪之助の首に絡まったひもをお傳は引っ張って、ついに浪之助は息絶える。
そのころ、長屋の人たちは野毛山の警官殺しの犯人が捕まったと騒いでいた。警察につかまった平岡は、お傳がいるであろう方向を振り向く。お傳は平岡の姿を求めて道を駆けた。
以上、映画「お傳地獄」のあらすじと結末でした。
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