ナショナル・ギャラリー 英国の至宝の紹介:2014年フランス,アメリカ,イギリス映画。英国ナショナル・ギャラリーの名品と共に、スタッフ達の裏側のたゆまぬ努力、芸術の発信場所としての役割を覗く。
監督:フレデリック・ワイズマン 出演者:ナショナル・ギャラリーPRスタッフ、運営委員、および修復保存スタッフ、ほか
映画「ナショナルギャラリー 英国の至宝」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ナショナルギャラリー 英国の至宝」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ナショナルギャラリー 英国の至宝の予告編 動画
映画「ナショナルギャラリー 英国の至宝」解説
この解説記事には映画「ナショナルギャラリー 英国の至宝」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ナショナルギャラリー 英国の至宝のネタバレあらすじ:起・ナショナル・ギャラリーとは
イギリス屈指の名画を所蔵するナショナル・ギャラリー、しかし観光スポットなりつつある昨今、所蔵品はあまり知られていない。どのようにしてこの美術館へ足を運んでもらうか、客目線のニーズには応えきれていないが、大衆嗜好に偏るのも避けたかった。
度々開かれるワークショップでは、目が不自由な人のために拡大した資料や、触ってわかる絵画を用意し、バリアフリーを目指している。また、展示室だけでなく、修復室でその作業工程を見てもらう企画も進めていた。
しかしトラファルガー広場がマラソンのゴール会場になる事に伴い、美術館の壁に今まで断っていた映写をしたいという件には、美術館のイメージアップをとるかどうか慎重だった。チャリティー団体に貸し出す前例を作ってしまう事や、来館者に混乱を起こしてしまわないか、以前ハリー・ポッターのプレミアが行われた際は事前に話し合われた事が満足に実施されなかったという経緯も慎重になっている原因だった。
ナショナルギャラリー 英国の至宝のネタバレあらすじ:承・開かれた美術館
館内で行われる芸員のガイドは子供達に向けている物もある。スケッチのワークショップではただスケッチをするだけでなく、ポーズをとることで生まれる物語など、作画と講義が同時に行われる。
レオナルド・ダ・ヴィンチ展には朝から沢山の人が長蛇の列なし、彼の作品が時代を越えて人々に訴える力を発揮した。展覧会は絵の保存のための状況確認のためにも必要な役割だった。
ナショナル・ギャラリーは常設展示を寄付で賄っているため、予算について慎重な意見交換が行われる。国からの助成金削減が心配の種で、予定外の出費や新しい企画が持ちあがった時の対応がスムーズにできるように、備えが必要だった。
ナショナルギャラリー 英国の至宝のネタバレあらすじ:転・次の世代に遺す
修復の現場では同時に、絵の具のサンプル分析や、エックス線分析等も行われる。そして洗浄を行う際の強さも絵ごとに異なり、慎重に行われている。
修復室の見学講義では、部分的に白亜化した絵について、色の幅の少ない簡素な絵だからこそ、その意図をの解読が難しく、修復箇所の扱いが人によって違ってくる可能性に言及した。そして、今行われている修復作業は全て洗浄後のワニス層の上に施され、次回の洗浄で消えてしまう。それは絵画保存の基本原則は元に戻せる事、作業のすべてを次の世代がやり直せる事に重きを置いており、美術作品として解読しつつ修復する点で、修復は完全な復元とは違い、現時点の絵を理解する一助であり、修復とは新しくすることではないという説明がされた。
ナショナルギャラリー 英国の至宝の結末:ナショナル・ギャラリーの試み
ギャラリーでのピアノ演奏や、次の企画展、そして毎日行われる学芸員によるギャラリートークなど、絵画への理解を深めるための活動に余念がない。
展示室の作品の掛け替えが行われることもあり、何派と共に掛けるかの議論は尽きないが、ダ・ヴィンチの岩窟の聖母を展示室の隅に置き、まるで岩窟の中の聖母たちを見つける導線には納得がいった。
2012年に行われたティツィアノの変身物語の企画展では、絵画の入手に当たって、様々な人手を渡っているが、どれもがオルレアン公の元を経ているというエピソードが明かされた。また、この企画に関連して、イギリスの詩人が絵の題材となっているカリストについて書いた詩の朗読や、変身物語を飾った展示室でモダンバレエの披露もなされた。
以上、映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」のあらすじと結末でした。
ナショナルギャラリー 英国の至宝のレビュー・考察:絵画に特化した美術館
ナショナル・ギャラリーでは常に数カ所で学芸員によるギャラリートークが行われている。話は多岐にわたるが、絵画に特化している美術館であるからこそ、『絵画』という芸術の形の特性への言及や、図像の解釈だけでなく、製作過程の画材の使い方など、単なる説明ではなく、一歩踏み込み来館者の興味や好奇心をそそり再び訪れたいと思うような内容の話が多くなされている。また、音楽や舞踏をはじめとして、『絵画』と他の芸術との共演も多く、芸術を広める美術館の一つとして、間口が広く、開かれた印象を受けた。
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