Chicago シカゴの紹介:2002年アメリカ映画。映画シカゴは、ブロードウェイの同名ミュージカルを斬新な映像表現を用いて見事に映画化した作品。第75回アカデミー賞作品賞、60回ゴールデングローブ賞の作品賞を受賞している。製作陣による印象的な画面作りもさることながら、豪華キャスト陣が自ら演じたミュージカルシーンにおけるダンスや歌の迫力も公開当時話題となった。
監督 :ロブ・マーシャル 原作:ボブ・フォッシー、フレッド・エッブ 出演:レニー・ゼルウィガー(ロキシー・ハート)、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(ヴェルマ・ケリー)、リチャード・ギア(ビリー・フリン)、クイーン・ラティファ(ママ・モートン)、ジョン・C・ライリー(エイモス・ハート)、テイ・ディグス(バンドリーダー)、ルーシー・リュー(キティー)、クリスティーン・バランスキー(メアリー・サンシャイン)、コルム・フィオール(マーティン・ハリソン)、ドミニク・ウェスト(フレッド・ケイスリー)、ほか
映画「シカゴ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シカゴ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
Chicago シカゴの予告編 動画
映画「シカゴ」解説
この解説記事には映画「シカゴ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
Chicago シカゴのネタバレあらすじ1
シカゴのしがない自動車修理工の妻、ロキシー・ハート(レニー・ゼルウィガー)の夢はスターになること。しかしいつまで経っても芽がでないと諦めていました。そんな折に現れた「芸能コネがある」と言ったフレッド・ケイスリー(ドミニク・ウェスト)。もう一度夢が叶うチャンスが訪れたと考え、彼の愛人になったロキシーでしたが、その話は真っ赤な嘘でした。ショックを受けたロキシーは思わずフレッドを射殺してしまいます。
Chicago シカゴのネタバレあらすじ2
逮捕されたロキシーが連れて行かれたのは、クック郡刑務所殺人棟。そこにはかつて小劇場で妹と2人で看板ダンサーを務めていたヴェルマ・ケリー(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)も収容されていました。彼女は妹と夫の不倫現場を目撃したショックで2人を射殺していたのです。当時、ヴェルマはシカゴ中が知る悪女として、まるでスターの様な扱いをされていました。そのお膳立てをしたのがビリー・フリン(リチャード・ギア)という「女性の弁護をさせたら負け知らず」な一流弁護士だと知ったロキシーは、彼に弁護を依頼することにします。
Chicago シカゴのネタバレあらすじ3
ビリーのやり方は、弁護人の女性をアイドルのように世間に知らしめることで、同情を集めるというものでした。彼の手腕で「とろけるようにスイートな殺人犯」として世間の同情と人気を獲得したロキシー。たちまちヴェルマを追い抜いてシカゴの新しいスターとなりました。もう夢がかなった、あとは死刑を逃れるだけだと浮かれていたロキシーでしたが、いざ無罪を勝ち取ってみれば世間のロキシーへの関心はゼロに。代わりにまた新しい殺人犯の女性の話題でもちきりになってしまいました。
Chicago シカゴの結末
それでも夢を諦められず劇場のオーディションを受け続けたロキシーでしたが、「あぁ、あの愛人を殺した女」としか言われず一向にオーディションには受かりません。焦っていたところに現れたのは、かつて自分がその人気を奪った女性、ヴェルマでした。彼女もまたビリーの策略で無罪を勝ち取っていましたが、ロキシーと同様に舞台の仕事が見つけられず焦っていたのです。ヴェルマは「殺人女が一人なら珍しくない、でも二人なら?」とデュオを組もうと持ちかけます。ヴェルマを嫌っていたロキシーは渋りましたが、きっと成功するという予感が膨らむのを感じて、ついには受け入れました。ラストシーンは「シカゴ劇場が自信をもって贈るショー『ロキシー・ハートとヴェルマ・ケリー』」。こうしてロキシーの夢は叶ったのです。
以上、映画Chicago シカゴのあらすじと結末でした。
「シカゴ」感想・レビュー
-
1920年代のシカゴ。スキャンダル好きで、飽きっぽいこの街で、またしても殺人が。
舞台でのスターを夢見るロキシーが、不倫の相手を殺して逮捕されたのだ。獄中の先客で大スターのヴェルマも、同じく殺人罪だが、敏腕かつ金権弁護士のビリーを雇って、刑務所の中で脚光を浴びているのだ。
彼女を見て刺激されたロキシーは、同じくビリーと手を組んで、一躍スターダムにのし上がろうとするが、世間の注目を奪われたヴェルマが、黙っているはずがないのだ——–。
この映画「シカゴ」は、元々は1975年に、ブロード・ウェイの神様・ボブ・ファッシーが手掛けた大ヒット舞台劇の映画化作品ですね。
この舞台劇は、映画「キャバレー」でも有名なボブ・フォッシー監督の演出だけあって、当然テイストは、ダークで退廃的だ。
スキャンダルを利用して、ショウビジネス界でのし上がろうとする二人の歌姫と、名声を操るやり手の弁護士の思惑が交錯する物語は、家族愛や人間愛というモラルとは一切、無縁の世界が描かれているんですね。
しかし、ロブ・マーシャル監督のこの映画化作品には、そのようなものはなくとも、圧倒的な魅力があります。
大きな目のアップの導入部から、階段を駆け上がるスピーディーなショット。
名曲「オール・ザット・ジャズ」で始まるオープニングは、文句なくカッコいい。粋なステージを最初からたっぷり見せられたら、もう誰もがこの作品の虜になってしまうこと請け合いだ。
舞台でキャリアを積んだロブ・マーシャル監督は、この作品が初監督ながら、その演出の手腕は非常に高いと思います。
エネルギッシュなパワーが、画面いっぱいに炸裂し、ゴージャスなドラマが幕を開けるのだ。唐突に歌い出し、不自然に明るいミュージカルを苦手とする人は、意外と多いものだ。
しかし、この作品の演出の特徴は、登場人物の空想部分を、ショウ形式で表現している事だ。本来、留置所という地味な場所ながら、心象風景を歌と踊りで華麗に演出し、華やかなステージとサスペンスフルな裁判を同時進行させているんですね。
とにかく、ミュージカルにつきものの不自然さは皆無で、その切り替えが、実に巧みなのだ。
更にこの作品の最大の魅力は、ある種のブラックさだ。
なにしろ素材は、”美人妻の不倫殺人”。
獄中にいる人物が、茶番劇の裁判で、時代の寵児になり代わるというのだから、相当にクレイジーなのだ。さあ、最後に笑うのは、いったい誰なのか?———-。
この作品は、出演俳優の達者なパフォーマンスも見逃せない。
なんでも、キャサリン・ゼタ=ジョーンズとリチャード・ギアは経験者らしいが、初挑戦のレニー・ゼルウィガーは、この二人に比べてちょっと拙い。舌足らずな歌い方は、ハラハラさせられるが、それが少しおバカだが、したたかでこ狡いロキシーというキャラクターにピッタリ合っていて、結果的に成功しているからたいしたものだ。
リチャード・ギアは、彼のタップが話題となったが、腹話術で人形を操るシーンが、アイロニカルで出色の出来だったと思います。
そして、グラミー賞歌手のクィーン・ラティファの上手さは言うまでもないが、気弱で哀れな、ロキシーの夫役のジョン・C・ライリーの歌の意外な味わい深さも捨て難いものがありますね。
ミュージカル映画の作品賞のオスカー受賞は、1960年代の「オリバー!」以来の快挙で、登場人物の全員が悪い奴で、したたかに生き抜く彼らの姿は、なんと痛快なことか。
悪の魅力に満ちた男女の原動力は、名声への欲望だ。
煌びやかで猥雑、甘美な陶酔感がたまらない。この作品は、”極上”という言葉が思い浮かぶ、大人のためのエンターテインメント映画だと思います。
これを見て、ミュージカル映画の魅力にはまってしまいました。ほんとうに、ミュージカルを見ているような錯覚に陥るほど歌と音楽にのせてテンポよく物語が切り替わります。また、普段は俳優さんたちの歌や踊りもびっくりするくらい上手い!特にレニー・ゼルウィガーはブリジット・ジョーンズのイメージが大きかったので、それを覆すような素晴らしい演技だったと思います。ドキドキワクワクするミュージカル映画です。