緋牡丹博徒(ひぼたんばくと)の紹介:1968年日本映画。明治時代を舞台に、背中に緋牡丹の刺青を持つ女博徒“緋牡丹のお竜”の生きざまを描いた任侠映画シリーズ『緋牡丹博徒』のシリーズ第1作です。何者かに暗殺された父の仇を探すお竜は、旅先である渡世人の男と出会うのですが…。
監督:山下耕作 出演者:富司純子(矢野竜子(緋牡丹のお竜))、若山富三郎(熊坂虎吉(熊虎))、山本麟一(フグ新)、待田京介(不死身の富士松)、金子信雄(岩津源蔵)、清川虹子(お神楽のおたか)、山城新伍(吉太郎)、三島ゆり子(君香)、大木実(加倉井)、高倉健(片桐直治)ほか
映画「緋牡丹博徒」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「緋牡丹博徒」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
緋牡丹博徒の予告編 動画
映画「緋牡丹博徒」解説
この解説記事には映画「緋牡丹博徒」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
緋牡丹博徒のネタバレあらすじ:起
明治18年(1885年)の晩春。背中に緋牡丹の刺青を持つ女博徒の“緋牡丹のお竜”こと矢野竜子(富司純子)は、旅先の岩国のある賭場で胴師のイカサマを見破り、いざこざに巻き込まれて命を狙われそうになりました。
お竜はたまたま居合わせた旅の渡世人・片桐直治(高倉健)に助けられ、怪我の手当てをしている際に形見放さず持ち歩いていた財布を落としてしまいます。お竜は片桐にこの財布の持ち主を知っているかと尋ね、5年前に起こった出来事を打ち明けました。
5年前。お竜の父・矢野仙蔵(村居京之輔)は九州は肥後熊本・人吉で小さな組「矢野組」の組長をしていた博徒でした。仙蔵は一人娘のお竜に堅気の人生を歩んでもらおうと手塩にかけて育て上げ、その甲斐あってお竜は商家との縁組が決まっていました。
ところがある日、仙蔵は何者かの闇討ちを受けて殺されてしまい、縁組も破談となってしまいます。お竜は「矢野組」を解散し、唯一残った子分のフグ新(山本麟一)に堅気になるよう言い残すと、父の亡骸のそばに落ちていた財布を手がかりに犯人捜しの旅に出たのです。
しかし、5年経っても一向に手がかりは掴めず、片桐は財布の持ち主は知らないと答えました。片桐はお竜に堅気になるよう諭すとその場を立ち去りました。お竜が気が付いた時には既に財布は持ち去られた後でした。
緋牡丹博徒のネタバレあらすじ:承
その頃、フグ新は四国・道後温泉を仕切る“熊虎”こと熊坂虎吉(若山富三郎)率いる「熊虎組」の世話になっていましたが、松山の「岩津組」といざこざを起こしてしまい、「熊虎組」と「岩津組」の抗争を招いてしまっていました。
お竜は噂を聞いて道後に向かい、「熊虎組」に挨拶に出向きますが、熊虎はお竜に一目惚れしてしまいます。修行の旅に出ていたと言い訳するフグ新に、お竜は足を洗ってほしかったと溜息をつきました。
お竜は「岩津組」組長・岩津源蔵(金子信雄)の元に乗り込み、子分の不始末をつけるべく仲裁を申し入れました。聞き入れない岩津にお竜は背中の緋牡丹の刺青を見せ、どうしても「熊虎組」に殴り込むなら自分を撃ってからにしてくれと啖呵を切りました。
そこに大坂・堂島の「堂万組」の女親分・お神楽のおたか(清川虹子)が現われ、お竜の威勢の良さを気に入ったおたかはその場を取りなしました。「熊虎組」と「岩津組」は手打ちをすることになり、お竜は熊虎と盃をかわしました。熊虎はお竜と結婚できると舞い上がりますが、お竜から“兄弟分の盃”と言われてがっくりしました。
お竜はフグ新と熊虎の子分の“不死身の富士松”(待田京介)と共に堂島に向かい、おたかとその息子・吉太郎(山城新伍)の世話になることにしました。やがて大阪を仕切る「千成組」の二代目・加倉井(大木実)がおたかの元を訪れ、商売話を持ちかけましたがおたかは堅気の仕事には手を出せないときっぱり断りました。
緋牡丹博徒のネタバレあらすじ:転
加倉井の元にあの片桐が訪ねてきました。実は片桐と加倉井は兄弟分の盃を交わした間柄であり、片桐は兄貴分として武士の家から博徒に身を落とした加倉井の面倒を見てきたのです。しかし、片桐がお竜から奪った財布を見せられた加倉井は途端に青ざめました。
実はこの財布の持ち主は加倉井であり、お竜の父を殺したのは辻斬り強盗に身を落としていた加倉井だったのです。金と権力が全ての加倉井は来年の市議会議員に立候補するつもりであり、片桐は渡世人の義理でお竜には事実を伝えないことにしました。
富士松の許婚の芸奴・君香(三島ゆり子)が加倉井に買われたと聞いたお竜は加倉井の元に乗り込み、君香の身請けを求めました。加倉井はお竜にサイコロで勝負しようと持ちかけ、お竜が勝てば君香は自由の身、加倉井が勝てばお竜は加倉井のものになるという条件を突き付けました。
お竜は勝負に勝ちましたが、加倉井は約束を守らず卑劣にもお竜を手寵めにしようとしました。そこに片桐が現れ、加倉井を殴りつけて「てめえ、恥ずかしくないのか! 俺との約束忘れたんじゃねえだろうな」と怒鳴りました。
加倉井が去った後、お竜は片桐がなぜ財布を持ち去ったのか、財布の持ち主を知っているのかと問い質しましたが、片桐は言葉を濁しました。加倉井を庇う片桐はお竜に渡世人の道を歩んではいけないと諭しますが、お竜は既に「矢野組」を立て直す決意を固めていました。お竜は悲しみに打ちひしがれながら、財布を川に投げ捨てました。ところが、卑劣な加倉井は子分たちに片桐がお竜の父を殺した犯人だと言いふらしました。
緋牡丹博徒の結末
「千成組」は吉太郎を捕らえて監禁、自分のせいで吉太郎をさらわれたと責任を感じたフグ新は単身で「千成組」に乗り込みむした。ところが、竜子の父を殺した男の顔を見ていたフグ新は、加倉井の顔を見るなり彼こそが真犯人であることに気付きました。フグ新は加倉井の子分たちに滅多斬りにされますが、瀕死のところを片桐に助けられました。片桐は自分に辻斬りの罪を擦り付けた加倉井を睨みつけ、兄弟分の盃を返上して決別しました。
フグ新はお竜に全てを打ち明け、片桐は自分が真実を明かさなかったばかりにこんな事態を招いてしまったことを痛感しました。虫の息のフグ新はお竜に「五木の子守歌」を歌ってくれるよう頼み、彼女の歌を聴きながら息を引き取りました。
お竜と富士松は「千成組」に殴り込みをかけ、囚われていた吉太郎を救い出しました。お竜は加倉井と対峙したところ、そこに大阪を経ったはずの片桐が現れ、加倉井と刺し違えました。加倉井は「兄貴…」と呟いて絶命し、片桐はお竜に「お前さんには人殺しをさせたくなかった」と言い残して息を引き取りました。
後日、「矢野組」を再興したお竜は二代目襲名の口上を述べました。「…わたくしはなにぶん未熟者ゆえ、しばらく渡世修行の旅を続ける覚悟でございます。どうぞ、宜しくお願い致します」
以上、映画「緋牡丹博徒」のあらすじと結末でした。
健さんが出演する悪役の中では、加倉井はかなり器が小さい部類に入りますね。胸糞悪くなるくらいです。