聖山の紹介:1926年ドイツ映画。同じ女性を愛してしまった二人の山男の悲劇。実写撮影された絶壁の山が美しく、スキー競技のシーンも興味深い。監督はドイツ山岳映画の第一人者で、後に日独合作映画『新しき土』のドイツ側監督も手掛けることになるアルノルト・ファンク。近年では、ファンクの「マローヤのヘビ」についてのドキュメンタリー映画が『アクトレス~女たちの舞台~』で引用されている。ヒロインに抜擢されたダンサーのレニ・リーフェンシュタールはこの後ナチス党大会の記録映画『意志の勝利』やベルリンオリンピック記録映画の監督として才能を発揮し名声(あるいは悪名)を勝ち得ることになる。
監督:アルノルト・ファンク 出演者:レニ・リーフェンシュタール(ディオティマ)、ルイス・トレンカー(友達)、エルンスト・ペーターゼン(ヴィゴ)、フリーダ・リヒャルト(友達の母)、フリートリヒ・シュナイダー(コリ)、ハンネス・シュナイダー(山岳ガイド)ほか
映画「聖山」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「聖山」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
聖山の予告編 動画
映画「聖山」解説
この解説記事には映画「聖山」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
聖山のネタバレあらすじ:起・二人の青年とダンサー
ディオティマの故郷は荒波の打ち寄せる海岸にあった。彼女は海を愛するが、山岳にも憧憬を抱いていた。そのディオティマが山岳地帯のグランドホテルでダンスの公演をする。
山地で生活する二人の青年、ヴィゴとその「友達」は、公演の観客となってディオティマに魅せられる。友達は心の動揺を抑えるために中座して山へと向かったのに対し、ヴィゴは公演後、外にあこがれのダンサーが出てくるのを待つ。ディオティマを送迎する自動車に彼が置いた花に気づいたディオティマは、彼女の髪を覆っていたスカーフをプレゼントする。
ディオティマは春の野原を歩き、山羊と遊び、自然の美に触れる。そして、山から下りて山小屋でパイプをふかしていた友達を見出す。「山に何を探し求めるの?」と問うディオティマに友達は「自分自身」と答える。「ここで自然の中に何を探し求めるのか」と問う友達にディオティマは「美」と答える。二人は互いに惹かれ合う。
聖山のネタバレあらすじ:承・誤解
冬、街でディオティマはヴィゴに遭い彼の参加するスキー大会に招待される。友達とディオティマは交際を続けて親密になっていたが、友達は山という、ディオティマの立ち入ることのできない世界をもっていた。
友達の母は海と岩は結婚できないと心配している。しかし、ディオティマは山に魅せられた彼だからこそ自分は魅惑されるのだと自覚していた。
ヴィゴはディオティマの声援を受け、スキー大会でジャンプ競技でも距離競技でも優勝候補の羊飼い、コリに競り勝って優勝する。その褒美にディオティマは彼の望みを適えてやろうと言った。ヴィゴは彼女の膝に頭をうずめるが、ちょうど山からスキーで降りてきた友達がその様子を目にしてしまう。二人の仲を誤解し絶望し嫉妬にかられる。
聖山のネタバレあらすじ:転・無謀な登山
友達のそんな気持ちはおろか、友達とディオティマの交際すら知らないヴィゴは、友達のお母さんにディオティマの話をする。きっと彼女は僕のことを愛しているとヴィゴが言うので、お母さんは困ってしまう。
そこへ帰って来た友達はヴィゴにこれから二人でサント山(聖なる山)北壁を登攀しなければならないと言う。冬にサント山北壁なんて「狂っている」とヴィゴは思ったが、親友のたっての頼みをききいれる。
スキーで麓まで行って絶壁をよじ登り始める。途中でヴィゴは、フェーン現象の風が吹き下ろすから引き返そうと言うが、友達は強風も雪崩も恐れていない。そして二人は狭い岩場で夜を過ごすことになる。
だが、ヴィゴがディオティマの名を出した時、友達の怒りに怖気づいて後ずさりしたヴィゴは岩場から足を踏み外す。友達は宙づりのヴィゴの命綱を引き続けなければならなくなる。
ディオティマはその晩、新作ダンスを発表する公演があった。友達が現れないのを心配しながらダンスを続ける。友達の母が、家のドアに「ヴィゴと北壁を征服する」という息子のメモが書かれていることに気づいて慌てて公演会場を訪れる。司会者がヴィゴと友達が北壁から戻らないことを観客に告げ、ディオティマは恐怖で崩れ落ちる。
聖山の結末:山の死
夜道で雪に埋もれそうになりながらディオティマはスキーで山小屋を目指す。そこではスキー大会の責任者の山岳ガイドや大会参加者たちが祝宴を開いていたからだ。彼らはディオティマの話を聞いて直ちに松明を手に遭難者の救助に向かう。
友達はディオティマと共に氷の城に入っていく自分の夢を見るが、二人の上った祭壇は崩壊し、つないでいた手はほどけてしまう。
夜明け、捜索隊は、太陽に向かって歩む友達がヴィゴもろとも墜落するのを見る。山小屋で待っていたディオティマに二人の死が報告される。捜索隊は最後までヴィゴを見捨てなかった友達を称賛した。
ディオティマは海が苦しみを沈めてくれる故郷に帰った。
以上、映画「聖山」のあらすじと結末でした。
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