黄色い星の子供たちの紹介:2010年フランス,ドイツ,ハンガリー映画。1942年、フランス・ヴィシー政権下で起きた最大規模のホロコースト、ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(ヴェル・ディヴ事件)の真実を描く。激しい戦争と迫害の中、懸命に生きたユダヤ人たちの物語。
監督:ローズ・ボッシュ 出演:メラニー・ロラン(アネット・モノ)、ジャン・レノ(ダヴィッド・シェインバウム医師)、ガド・エルマレ(シュメル・ヴァイスマン)、ラファエル・アゴゲ(スラ・ヴァイスマン)、ユゴ・ルヴェルデ(ジョー・ヴァイスマン)ほか
映画「黄色い星の子供たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「黄色い星の子供たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
黄色い星の子供たちの予告編 動画
映画「黄色い星の子供たち」解説
この解説記事には映画「黄色い星の子供たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
黄色い星の子供たちのネタバレあらすじ:絶望の朝
舞台は1942年、第二次世界大戦下のフランス、パリ。ユダヤ人の少年ジョー・ヴァイスマン(ユゴ・ルヴェルデ)は、華やかなメリーゴーラウンドを眺めていました。しかしそこはユダヤ人立入禁止の場所。ユダヤ人であることを示す胸の黄色いダヴィデの星に気づかれたジョーは、兵士から立ち去るよう促されます。ジョーは理不尽な迫害に苛立ちながらも、友人のシモン・ジグレールやその弟ノエ・ジグレール(愛称ノノ)たちと賢くたくましく生きていました。ユダヤ人たちはまるでひとつの家族のように、支え合いながら暮らしています。しかし、そんな生活に突然終わりが訪れます。フランス政府がユダヤ人の大量検挙を決行したのです。子供たちまで連れていかれると知り、彼らは必死に抵抗します。パリ市民が多くのユダヤ人を匿いましたが、結局ヴァイスマン一家をはじめ大勢のユダヤ人が検挙されてしまいます。朝日の中彼らが連れて行かれたのは、冬季競輪場ヴェロドローム・ディヴェール、略称ヴェル・ディヴでした。
黄色い星の子供たちのネタバレあらすじ:ヴェル・ディヴに押し込められたユダヤ人
数日後、ヴェル・ディヴに赤十字から派遣された看護師アネット・モノ(メラニー・ロラン)が到着します。ヴェル・ディヴ内の栄養、衛生管理は悲惨を極め、多くの人が病を抱えていました。アネットはユダヤ人医師ダヴィッド・シェインバウム(ジャン・レノ)を訪ね、ヴェル・ディヴの惨状を教えられます。仕事に取りかかるアネットは、人懐こいノノとすぐに親しくなりました。しかし他の看護師から彼の母親が今朝亡くなったと聞かされ、暗い表情を浮かべます。ヴェル・ディヴの惨状に、良心の呵責を覚える兵士も少なからずいました。しかし誰一人として行動を起こさないことにアネットは憤ります。やがてヴェル・ディヴ内のユダヤ人は郊外の収容所に移送されることになり、アネットもそれに同行します。
黄色い星の子供たちのネタバレあらすじ:親子の別れ
ジョーたちが移送された先は簡素で不潔な収容所でした。食糧不足はさらに厳しくなり、アネットは知事に直談判して援助を勝ち取ります。しかし政府はジョーたちの絶滅収容所行きを決定。焼却炉建設が遅れているため、まず大人だけが移送されることになりました。何も知らないユダヤ人親子。移動の準備を整えた彼らは、そこで初めて子供たちが置いていかれると知らされます。子供を引き離す兵士、必死に取り戻そうとする大人たち。悲鳴と怒号が響きます。やがて絶望に打ちひしがれながら、大人たちは子供たちを残し移送車へと向かいます。そのとき、ジョーの母親が彼のもとに走り寄りました。そして必ず生きのびるようにと訴えます。遠ざかっていく母の姿に、ジョーは収容所から逃げ出す決意をします。
黄色い星の子供たちのネタバレあらすじ:東へと向かう列車
ジョーは逃走にシモンを誘います。しかしシモンはヘルニアを患っており、幼いノノを連れて逃げるのは無理だと言います。戦争が終わったらまた必ず会おうと約束する二人。ジョーは別の少年と脱走します。一方、ついに子供たちの移送が決定します。強引に子供たちを連れていこうとする兵士にアネットは抵抗しますが、無理がたたって倒れてしまいました。目が覚めたアネットは、処置している医師に子供たちのことを尋ねます。子供たちは全員移送された後でした。追いかけようとするアネットに、医師は真実を語ります。移送された子供たちはガス室送りになること。先に送られた大人たちは既に死んでいること。恐ろしい真実にアネットは自転車で子供たちを追いかけますが、間に合いませんでした。子供たちを乗せた貨物列車は、ちょうど線路沿いを歩いていたジョー達の背後からもやって来ました。列車の隙間からは、無数の子供の腕が突き出ています。ジョーはその光景を硬い表情で見送りました。
黄色い星の子供たちのネタバレあらすじ:戦争の終結
時は流れ、終戦を迎えた1945年。アネットは死亡したユダヤ人の写真が並べられている施設にいました。そこへ一人の少年がやって来ます。収容所を脱走したジョーでした。逃走後親切な夫婦に養子にしてもらったというジョーでしたが、本当の家族との再会は叶いませんでした。移送されたユダヤ人は誰も戻って来なかったのです。ジョーと別れ、仕事に戻りかけたアネットの目に思わぬ姿が映りました。あの日列車に乗せられたはずのノノがいたのです。ノノを連れた夫妻いわく、彼は東へ向かう途中の駅に一人きりでいたそうです。誰かがノノを列車から逃がしたのでしょう。ノノはすっかり表情をなくしていましたが、アネットにゆっくり抱きつきました。一方、ジョーはいつか見たメリーゴーラウンドへ足を向けていました。そこには平和な光景が広がっています。ジョーはただ無言で、まばたきもせず、回るメリーゴーラウンドを見つめていました。悲惨な戦争の火はようやく消え、この映画も終わりを告げます。
以上、映画黄色い星の子供たちのあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する