ジョーンの秘密の紹介:2018年イギリス映画。20世紀後半、共産主義国のソ連と資本主義国のイギリスは激しく対立しました。ジョーンは若い女性科学者でイギリスの原爆開発プロジェクトに関わります。しかし、彼女はソ連に原爆の情報を流すことになります。ソ連とアメリカ、イギリスの冷戦も終わり静かな余生を送っていたジョーンをイギリス政府はスパイ容疑で逮捕します。『ジョーンの秘密』は、実際に起こったイギリスでソ連への原爆開発の情報を提供した女性メリタ・ノーウッドのストーリーを映画化した作品です。映画ではジュディ・デンチ演じる年老いたジョーンと、ソ連に原爆情報を送る若いソフィー・クックソン演じる若いジョーンのシーンが交互に描かれます。
監督:トレヴァー・ナン 出演:ジュディ・デンチ(ジョーン・スタンリー)、スティーヴン・キャンベル・ムーア(マックス・デイヴィス教授)、ソフィー・クックソン(若き日のジョーン・スタンリー)、トム・ヒューズ(レオ・ガーリチ)、ベン・マイルズ(ニック)、テレーザ・スルボーヴァ(ソニア)、ほか
映画「ジョーンの秘密」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ジョーンの秘密」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ジョーンの秘密の予告編 動画
映画「ジョーンの秘密」解説
この解説記事には映画「ジョーンの秘密」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ジョーンの秘密のネタバレあらすじ:起・ジョーンと共産主義の出会い
(2000年のジョーン)2000年5月、イギリス。80代の老女ジョーン・スタンリー(ジュディ・デンチ)は庭いじりをしています。彼女は新聞で英国政府の外務相高官ウィリアムの死亡記事を読んでいます。そこへ突然、英国MI5(イギリスの諜報機関)関係者が訪ねてきて、ジョーンをスパイ容疑で逮捕します。ウィリアムが残した資料により、彼女のスパイ容疑が表面化します。取り調べに対しジョーンは「悪いことはしていない」と話します。
(ジョーンの回想)1930年代、イギリス。ケンブリッジ大学の物理学専攻の学生だったジョーン(ソフィー・クックソン)の部屋にソニアが訪れます。彼女はジョーンを映画鑑賞イベントに誘います。ジョーンはイベントに参加しますが、それは共産主義賛美の映画であり、共産主義支持者の会合でした。ジョーンは、ウィリアムとソニアの親戚のレオ(トム・ヒューズ)に会います。
(2000年のジョーン)取り調べに対し、ジョーンは映画には興味はなかったが、レオには愛情を持ったことを回想します。
(ジョーンの回想)レオは大学で、スペイン内戦での左翼政権援助への演説を行い、ジョーンも参加します。ジョーンとレオは共産主義について語り合い、レオはジョーンを共産主義者とみなして好意を持ちます。レオは3ヶ月間ソ連に行くと言います。ジョーンは驚きますが、二人はキスして別れます。
(2000年のジョーン)ジョーンの息子で弁護士のニック(ベン・マイルズ)がジョーンを訪ねます。ジョーンは取り調べから解放されたものの、行動を監視するため足に装置をつけられています。ニックは母の逮捕と容疑について驚き、母の弁護を引き受けます。
(ジョーンの回想)ジョーンは1939年9月の、イギリスのドイツへの宣戦布告による第2次世界大戦開始のニュースを読んでいます。レオがソ連から帰国し、ジョーンに会います。しかし、イギリス警察はレオを要注意人物として警戒します。
ジョーンの秘密のネタバレあらすじ:承・広島への原爆に複雑な心境のジョーン
(ジョーンの回想)ジョーンはその物理学の成績を認められ、マックス・デイヴィス教授(スティーヴン・キャンベル・ムーア)の教えを受けることになります。ジョーンは科学情報の守秘義務の文書にサインします。デイヴィスはジョーンの才能を評価し、彼女を原爆開発計画のため政治家との会議に参加させます。ウィリアムはジョーンに会い仕事のことを聞きますが、ジョーンは話したがりません。レオがジョーンを訪ね、彼はカナダへ行くと言います。二人は原爆のことを話しますが、ジョーンはソ連には原爆情報を流せないと言います。
(2000年のジョーン)母ジョーンの弁護をするニックは、原爆開発にジョーンが関わっていたことは知らなかったと驚きます。
(ジョーンの回想)デイヴィスとジョーンら原爆開発の科学者はイギリス政府関係者と会議を持ちます。政治家は女性のジョーンをバカにしたような態度をとります。会議で、科学者はカナダへ研究に行くことになります。ジョーンとデイヴィスはイギリス軍の船でカナダへ向かいます。船の中でデイヴィスはジョーンに求愛し、二人は恋愛関係になります。カナダに着いたジョーンは原爆開発の研究を始めます。ジョーンがモントリオール大学に行くと、そこレオが現れます。レオはジョーンに原爆の情報をソ連に流すことを求めますが、ジョーンはレオを殴り拒絶します。
(2000年のジョーン)取り調べでジョーンは、カナダからイギリスに戻った後のことを聞かれます。
(ジョーンの回想)1945年7月、ケンブリッジ大学ではアメリカによる原爆実験成功のニュースに科学者は興奮します。ドイツは降伏し、科学者は日本への投下を支持します。しかしジョーンは、原爆の投下に複雑な心境になります。ジョーンはその後のニュースで広島、長崎への原爆投下により多数の死者が出たことに衝撃を受けます。
ジョーンの秘密のネタバレあらすじ:転・ソ連に原爆の情報を流すジョーン
(ジョーンの回想)原爆の悲惨さに衝撃を受けたジョーンはソニアに電話をします。
(2000年のジョーン)取調官はジョーンに旧ソ連の文書を見せますが、それはジョーンがソ連に送ったものでした。
(ジョーンの回想)ジョーンはソニアに会い、ソニア経由でソ連に原爆開発の情報を送ることを決めます。ジョーンはケンブリッジ大学でデイヴィスからカナダ時代の同僚がソ連のスパイだったことを知ります。そして、デイヴィスはレオも警察がマークしていることをジョーンに知らせます。ジョーンは小型カメラを使い原爆関係の文書を写真にとります。ジョーンの研究先にもソ連のスパイ行為を警戒する警察の調査が入ります。ジョーンはカメラを捨てます。ジョーンの部屋にレオが訪れます。ジョーンは警察が警戒していることをレオに知らせます。
(2000年のジョーン)息子で弁護士のニックはジョーンに怒ります。ニックは「なぜ国を裏切り、ソ連の独裁者スターリンに情報を提供した?」と怒鳴ります。ジョーンは倒れて入院します。
(ジョーンの回想)ジョーンは映画館でレオから、イギリスから一緒に逃げようと提案されます。ジョーンは拒絶し、映画館から出て行きます。ジョーンがレオの家を訪れると、レオが首つり自殺しているのを見つけます。ジョーンは泣きます。
(2000年のジョーン)ジョーンの取り調べは病院でも続きます。取調官は「レオの死はソ連が関与している」と言います。
ジョーンの秘密の結末:ジョーンの決断
(ジョーンの回想)ジョーンは外務省勤務のウィリアムに会い「何かあれば助ける、ソニアの連絡を待て」と言います。ジョーンがソニアの家を訪れると、彼女はいません。デイヴィスはジョーンに結婚を迫ります。しかし、イギリス警察はデイヴィスをソ連に原爆情報を渡したスパイ容疑で逮捕します。
(2000年のジョーン)ジョーンは再び自宅に戻りますが、ニックと親子ゲンカをします。ニックはジョーンを裏切り者と呼びますが、ジョーンは世界平和のためにしたとスパイ行為を正当化します。
(ジョーンの回想)ジョーンはデイヴィスの面会に訪れます。逮捕されても、デイヴィスはジョーンに結婚を迫ります。しかし、ジョーンは泣きながら結婚はできないと言い、ソ連へのスパイ行為は自分がしたと告白します。ジョーンは広島への原爆投下の惨状を見て、スパイ行為を決断したと言います。そして、ジョーンはオーストラリアへの逃走をデイヴィスに提案します。ジョーンはウィリアムに助けを求めます。ウィリアムはデイヴィスを釈放し、ジョーンにオーストラリアへの船便のチケットを渡します。ジョーンはデイヴィスとオーストラリアに逃亡します。
(2000年のジョーン)ジョーンの自宅をメディアが取り囲みます。記者たちは「なぜスパイ行為をした?」とジョーンを非難します。しかし、ジョーンは悪びれずに「世界平和のためにした」と主張します。
(字幕)この映画は、実際に起こったメリタ・ノーウッドによるスパイ事件を基にしている。ノーウッドは逮捕されたが高齢のため起訴されずに、2005年に93歳で亡くなりました。
以上、映画「ジョーンの秘密」のあらすじと結末でした。
名優の素晴らしい演技で、時代背景も厚みがあり、面白かったです。ジュディディのンチのほとんど座ったままの演技、目の演技で動揺や悩みがわかり、上手いなあと思いました。