千年女優の紹介:2001年日本映画。かつての大女優、藤原千代子のドキュメンタリーを作製しようと、彼女の宝物の鍵を持ってインタビューに訪れた立花。開かれた彼女の記憶の中で見たものとは。
監督:今敏 声の出演:荘司美代子、小山芙美、笠原富美子、飯塚昭三、津田匠子、鈴置洋孝、山寺宏一ほか
映画「千年女優」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「千年女優」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「千年女優」解説
この解説記事には映画「千年女優」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
千年女優のネタバレあらすじ:女優・藤原千代子は今
立花は銀映撮影所70周年記念に女優・藤原千代子のインタビュー番組を作ろうとしていた。かつて撮影中に落とした千代子の宝物の鍵を持っていた立花は、インタビューの前にそれを返した。
大戦中、女学校時代にスカウトされた千代子は親に反対された帰りに、特高に追われている画家の青年と出会う。追ってきた特高に咄嗟に違う方向を示した彼女は彼を蔵に匿った。その人はいつか故郷で絵を描きあげたいと彼女に語り、満州にいる仲間の所に行くと千代子に語った。彼は持っている鍵を千代子に見せ、一番大切なものを開ける鍵だと話した。翌日、女学校の帰りに、千代子は雪に落ちた鍵を見つける。家に特高が来ており、番頭から無事に駅へ逃げたと教えられ、駅げ急いだが、列車は発ってしまい千代子の所には鍵だけが残された。
千年女優のネタバレあらすじ:女優となり満州へ言った千代子
鍵の君にひとめ会いたいと、女優となり満州へ行った千代子。先輩女優・詠子に八卦をしてもらえばと勧められるままに占ってもらうと、彼は北にいると言う。撮影を放り出して北へ向かった千代子。しかしその途中電車が馬賊に襲われてしまう。場面は変わり火のついた天守閣。姫の役の千代子は糸車を繰るあやかしの老婆に千年恋に身を焼く薬湯を飲まされてしまう。映画が変わるように場面が変わり、火事の京都で鍵の君と再びで会う。しかし鍵は渡せぬまま、追われる身の彼はいつか約束した場所でと言って、行ってしまう。次に会ったのは囚人として収監されていた所を保釈された千代子。自分とは入れ違いに収監される鍵の君を見つけ咄嗟に追いかけるがすんでの所で扉は閉じてしまった。大戦が終わり、千代子は彼を匿っていた蔵に自分が女学生だった頃の似顔絵と、いつかきっとと言うメッセージを見つける。
千年女優のネタバレあらすじ:千代子の鍵を巡って
立花の取材中に発作を起こし倒れる千代子。立花は後日改めようとしたが、彼女は話を続けた。戦後、手がかりがなくなり、それでも千代子は自分が映画に出ることで、鍵の君が自分を見つけてくれるのではないかと信じていた。その頃、若かりし立花は銀映スタッフとして千代子の撮影現場に配属された。
結婚適齢期の千代子は監督の大滝に告白されるものの、鍵の君のことがあり踏み切ることが出来なかった。実家でもお見合いを勧められ断ると、少なからず鍵の君の事を知る母は、思想犯はとっくに釈放されているのに、生きているのか死んでいるのか分からない男はあてにできないと発破をかける。しかし、千代子は自分から会いに行くと頑なに断った。しかしとある撮影中に鍵をなくした千代子は、大滝と結婚した。そして、掃除をしていると大滝の書斎で鍵を見つけてしまう。実は千代子と結婚したい大滝と、千代子の若さがを羨んだ詠子が鍵をなくした体で隠していたのだった。三人が鍵のことで言い争っていると、
千代子のもとに、かつて鍵の君を追っていた特高が手紙を持ってやってくる。そこには、鍵の君の故郷が北海道であることが描いてあった。千代子がそのまま夜行、トラック、バスを乗り継ぎ北海道の雪原を歩へ。雪深い中を歩いているとやがて場面は月面へ。まるで雪原のような月面に千代子はイーゼルを見つける。辿りつくと、絵の中に歩き去る鍵の君の絵が描かれていて、彼は手を振り、絵の中に消えて行った。どこまでも会いに行くと叫ぶ千代子。
千年女優の結末:永遠に旅立つ千代子
とある映画のシーンで一人ロケットに乗る千代子。しかし撮影中に地震が起き、千代子と立花がセットの下敷きになってしまう。そこで千代子が落とした鍵を立花は拾った。その撮影中の事故の後、千代子は姿を隠した。理由は、鍵の君に自分の老いた姿を見られるのが嫌というものだった。インタビューはそこで終了。千代子は救急車で運ばれた。病院へ行く道で、立花は、特高が自分に鍵の君である絵描きは特高が拷問の末に殺していて、千代子はずっといない人の影を追っていたのだとアシスタントのカメラマンに話した。
病院のベッドで千代子は立花に、これで彼に会いにいける、鍵もここにあるのだし。でも、会えるかどうかはどちらでもいいのだと語り、目を閉じた。
場面はふたたびロケットの中の若い千代子になり、「あの人を追いかけている私が好き」と締めくくられる。
千年女優のレビュー・感想:千代子の人生と映画作品のリンク
作品は、映画女優、篠原千代子のドキュメンタリーを作ると言う形で進められ、その時々に見合った回想と千代子の出演作の場面がリンクしている。面白いのは回想をしているうちに、千代子本人が、映画の場面を思い出すように自分の過去を思い出ていて、インタビュアーである立花が千代子を助ける役として登場する。立花は千代子の好きな蓮の花を社名のロータスにするほどの、千代子のファン。話の中では千代子の回想の中にいる若い自分と遭遇する事もある(あくまでも千代子の回想の中なのでタイプリープパラドックスは起きない)。もう一人、糸を繰る老婆もまたキーになっている、彼女は千代子の転機に必ず現れ、最後は、ヘルメットに映った千代子の顔と重なる。老婆は千代子に恋に身を焦がすという呪いをかけ、現実の彼女は鍵の君を今際の時まで追いかけ、映画の中ではヒロインを繰り返し演じることになる。この「繰り返し/円」は、千代子の庭の蓮が象徴する輪廻や、老婆の糸車、エンディングのシーンからオープニングのシーンに繋がる「千年女優」と言う作品を通じての大きな円をなしている。
「千年女優」感想・レビュー
-
パーフェクトブルーが面白かったので期待して見たのですが、テーマがいまいち伝わってこないし展開も単調で、初恋に執着しすぎる千代子が異様に見えてしまい楽しめなかった。
鍵の男が何者だったかとか、引退した千代子がどんな生活をしてたのかが気になります。
ラストの死へ向かう終わり方が決してネガティブではなく描かれていたのは良かったし、平沢進さんの個性的な音楽も素敵でした。
女優の半生を見るという意味で非常に興味深く見ることが出来ました。
この映画の一番の魅力は時間軸が絡まって進む点と、女優としての作品の世界なのか、主人公である藤原千代子の実生活の世界なのかが絡まって進む点だと感じました。
時代劇からSFまでの世界が映画の中で次々と切り替わる部分のスピード感は、息をするのを忘れるほど引き込まれました。
藤原千代子は最近亡くなった某女優を彷彿とさせるな~、と個人的に感じています。