小説家を見つけたらの紹介:2000年アメリカ映画。ブロンクスに住み、地元高校に通う16歳のジャマール・ウォレスは、自分を取り巻く環境と、自身の内面との相違から、人生について悩んでいた。ある日、名門校から奨学生としてのオファーが来る。時を同じくして、ピューリツァー賞を受賞したこともある小説家で、隠遁生活をしているウィリアム・フォレスター老人と偶然知り合い、ジャマールは文筆の指導を請うのだった。年の離れた二人の友情が描かれたヒューマンドラマ。
監督:ガス・ヴァン・サント 出演:ショーン・コネリー(ウィリアム・フォレスター)、ロブ・ブラウン(ジャマール・ウォレス)、F・マーリー・エイブラハム(ロバート・クロフォード教授)、アンナ・パキン(クレア・スペンス)、バスタ・ライムス(テレル・ウォレス)、マット・デイモン(スティーヴン・サンダーソン弁護士)ほか
映画「小説家を見つけたら」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「小説家を見つけたら」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
小説家を見つけたらの予告編 動画
映画「小説家を見つけたら」解説
この解説記事には映画「小説家を見つけたら」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
小説家を見つけたらのネタバレあらすじ:出会い
ニューヨーク、ブロンクス区。道端に捨てられた車が燃えている横を、パトカーは無視して通り過ぎる。そんな治安の悪い地域でジャマール・ウォレスは生まれ育ち、地元の高校に通っていた。悪友らとバスケットボールをしたり、悪ふざけをしたり、環境に溶け込んだ生活を送っていたが、たくさんの本を読み、自身もノートに文章を書き留めていることは友人には内緒だった。ある日、彼らは度胸試しをすることになった。いつも使っているバスケットボールコートの真向かいのマンションに住み、家から一歩も出ない変わり者で、よく窓から双眼鏡で彼らのゲームを覗いている老人「ウィンドー」の家に忍び込み、証拠の品を持って帰ること。それが挑戦を受けたジャマールのミッションだ。「ウィンドー」が寝静まった頃を見計らって忍び込み、ペーパーナイフを自分のバックパックに納めたジャマールだったが、寝ているはずの「ウィンドー」が現れた。驚いた彼はバックパックを置いたまま逃げ帰ってしまった。翌日、どうやって取り戻したものか、マンションの前で考えているジャマールの頭上から、彼のバックパックが落ちてきた。ペーパーナイフは入っていなかったが、ノートは無事だった。いつものようにノートに書き留めようと開いた彼が見たものは、「表現がチープ」「この文章は秀逸」「もっと具体的に」。一面に赤ペンで書き込まれたコメントだった。最初はムカついたが、もっと教わりたくなったジャマールは、「ウィンドー」を訪れた。しかし、けんもほろろに追い返される。懲りずに再訪するジャマールに、とうとう「ウィンドー」家の扉は開かれた。そこにいたのは、偏屈で頑固な老人ウィリアムだった。気が合うはずもなく、最初の訪問は早々に終わった。
小説家を見つけたらのネタバレあらすじ:転校
ジャマールは、周りから浮かないよう、授業中も知識を隠しているが、テストでは高成績を収めていた。そんな彼の成績とバスケットボールの腕前に目を留めた名門進学校である私立メイラー・キャロウ校から、奨学生のオファーがあった。真面目で優しい母親と、弟想いの陽気な兄は喜んでくれたが、転校するべきか迷う彼は、ウィリアムを訪れた。ウィリアムは言う。ジャマールがノートに書き綴っていたものは、彼の人生への迷いで、「今の学校ではその答えは見つからない」と。そんな折、メイラー・キャロウ校の見学で知り合った少女クレアとの話の中で、ウィリアムが、処女作で最優秀小説賞を受賞した有名な小説家ウィリアム・フォレスターであることを知った。そして、それ以降は小説を出版していないことも。ウィリアムがフォレスターだと知ったジャマールは、ますます文章を教わりたくて、ウィリアムに教えを請うのだった。ウィリアムは、「誰にも話さないこと」「個人的な質問をしないこと」などの条件で教えることを承諾した。ジャマールはメイラー・キャロウ校へ転校する。そして、ウィリアムの特訓も始まった。ある日、ジャマールはウィリアムを連れ出した。部屋に飾ってあるサインボールや写真から、ウィリアムが昔、ヤンキースタジアムに行っていたことを知って、誕生日にスタジアム観戦をプレゼントしたかったのだ。久々の外出で目眩を覚えたウィリアムだったが、もう一つ特別なプレゼントが待っていた。ジャマールの兄のコネで、試合が終わったスタジアムのマウンドに立つことだった。そこでジャマールは、ウィリアムの兄の死が原因で、ウィリアムが二作目以降を出版しなかったことを知った。
小説家を見つけたらのネタバレあらすじ:盗作嫌疑
進学校に入り、才能を隠す必要がなくなったジャマールは、授業でも良い成績を収めるようになった。元々の才能に加え、ウィリアムの特訓のおかげで、文章力も更に向上する。メイラー・キャロウ校のクロフォード教授は、最初はジャマールの出来の良さを称賛したが、短期間に上達する才能を理解できず、ジャマールに疑問を抱くようになる。そしてジャマールに警告する。「うますぎる」と。嫌味なクロフォード教授に目に物見せてやりたくなったジャマールは、授業で教授に恥をかかせてしまった。そして、ウィリアムが題名を与えて、ジャマールが書いた文章を、ウィリアムのマンションから持ち出さないよう言われていたにも関わらず、学校で開かれる作文コンテストに提出してしまう。しかしその題名は、過去にウィリアムが書き、雑誌に掲載されていたものだった。ウィリアム・フォレスターの許可を得たかを詰問されたジャマールだったが、ウィリアムのことは人に話さないと約束したことを守り、沈黙した。結果、盗用が疑われ、コンテストからは外された。そして、懲罰について評議会の詮議を待つことになってしまった。ジャマールは、ウィリアムに口添えを頼むが、ウィリアムは断る。理事会からは、今後はバスケットボールのみに専念し、チームを優勝させるよう通達されたが、これまでバスケットボール部を勝利に導いて来たジャマールも、得意なはずのフリースローを外してしまい、敗れてしまった。これで、学校への残留も危うくなった。テレビで、その試合の中継を見ていたウィリアムは、すっかり空気の抜けてしまっていた自転車のタイヤを膨らませ、自ら外へと出るのだった。
小説家を見つけたらのネタバレあらすじ:友情
作文コンテストの日がやってきた。周りから白い目で見られる中、ジャマールは自分からは学校を辞めない意思を示し、出席した。そして、コンテストも終わり、解散になろうとした時、ウィリアムが現れた。ウィリアムは、自分が持参した作文を朗読した。ジャマールは、黙って聞いている。そして、ウィリアムは言う。「口を閉ざされた友人のために、私は来たのだ。私が友人を守ろうとしなかった時も、友人は私を守ってくれた。その友人の名はジャマール・ウォレスだ。」と。クロフォード教授は、はじめウィリアムが朗読した作文を称賛した。しかし、ウィリアムが、コンテストに提出されたジャマールの作文が自分が与えた題名からジャマールが書いたものだと証言し、今ウィリアムが朗読した作文も、実はジャマールが書いたものだったと分かり、動揺して評決は覆らないと食い下がった。しかし、ジャマールの才能は周囲が認めるものとなり、ついに嫌疑は晴れるのだった。そしてウィリアムは、生まれ故郷へと旅立つ決心をした。
小説家を見つけたらの結末:人生の冬における実り
ジャマールは卒業間近、多くの大学からの勧誘が来る毎日。ウィリアムとは手紙のやり取りを続けていた。そんな中、ウィリアムの弁護士がジャマールを訪れ、彼の死が伝えられた。マンションをジャマールに残したのだった。遺作、いや第二作と共に。そして、その作品の序文は、ジャマールへ託されていた。
以上、映画「小説家を見つけたら」のあらすじと結末でした。
「小説家を見つけたら」感想・レビュー
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本日テレビで放映、迷ったがスイッチを入れ観賞した。
文章の手ほどきを受けようと、断られても喰い下がった彼の勇気と行動に感動した。最後はハッピーな結末に感激。彼の未来は明るいと感じさせるジ・エンドが素晴らしい。 -
陳腐な感想ですが…久々に良い映画を観たなと感動が静かにわき上がる思いです。息子を信頼するお母さん、弟思いの優しい兄が脇を固めて父親はいないけど羨ましくもありました。
ショーンコネリーが素晴らしくて流石としか思えませんでした。
もっと多くの人に見て欲しい映画です。 -
いい作品でした。
ストーリー展開も良く、引き込まれたままラストまで魅入ってしまいました。
ただ、ショーンコネリーがなぜ『ウィンドー』してたのか、小鳥などのウォッチングではなく、バスケをしていない時の高校生まで。
その点がわかりづらかった。
他は申し分無かったです。
チラっとマットディモンが出たのはニクかった。
やはり『グッドウィルハンティング』を思い出させる秀作でした。 -
BGMが少ない静かな映画…そしてラストに詩と共に音楽が流れる。
やられた!涙が出ました。あたたかくて感動的な映画でした。お勧めです。
感想を文章にすることすら憚られる、久しぶりに素晴らしい映画でした!