幼い依頼人の紹介:2019年韓国映画。2013年に韓国で実際に発生した「漆谷継母児童虐待死亡事件」を基にしたクライム・サスペンス作品です。出世だけを望んでいた弁護士志望の男が、ひょんなことから知り合った10歳の少女に幼い弟の殺害容疑がかけられたことを知り、真相解明と少女を救うために奔走する姿を描きます。
監督:チャン・ギュソン 出演者:イ・ドンフィ(ユン・ジョンヨプ)、ユソン(ジスク)、チェ・ミョンビン(キム・ダビン)、イ・ジュウォン(キム・ミンジュン)、コ・スヒ(ミエ)、ソ・ジョンヨン(ムンジョン)、ウォン・ヒョンジュン(キム・ジョンナム)、イ・ナラ(ソジョン)、チョン・ジュンウォン(ゴヌ)、イ・ヒョンギュン(ビョンジュ)、イ・ジフン(ヒョンソク)、イ・ロウン(チャンホ)、イ・ボム(担任)、チョン・ヒデ(ドンチョル)、キム・シヨン(検事)、ピョン・ジュヒョン(班長)、ペク・スンチョル(国選弁護士)、キム・ボヨン(判事)、チョ・ドッキュン(キョンジェ)ほか
映画「幼い依頼人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「幼い依頼人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
幼い依頼人の予告編 動画
映画「幼い依頼人」解説
この解説記事には映画「幼い依頼人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
幼い依頼人のネタバレあらすじ:起
韓国。ロースクールを卒業し、就職活動中のユン・ジョンヨプ(イ・ドンフィ)は、面接官からアメリカで実際に発生した「キティ・ジュノヴィーズ事件」について訊かれました。この事件は被害者が暴漢に刺殺されるまでの35分間、38人の目撃者がいたにも関わらず誰一人として暴漢を止めず黙視していたのです。
他に面接を受けている者たちから、目撃者も有罪だと挙げる声が相次ぐ中、ジョンヨプは目撃者たちも凶悪犯から自分の身を守るためにやむを得なかったとして無罪だと主張しました。
ジョンヨプは弁護士になって出世しようと考えていましたが、中々就職先は見つかりませんでした。ジョンヨプの友人たちはこの日も面接に落ちたジョンヨプを慰め、出世の近道はやはりソウルに出ることだと主張しました。
ジョンヨプの住む地域には、10歳の少女キム・ダビン(チェ・ミョンビン)が、7歳になる弟のミンジュン(イ・ジュウォン)と共に暮らしていました。ダビンとミンジュンの母は亡くなっており、父のジョンナム(ウォン・ヒョンジュン)は育児に消極的なため、幼いミンジュンの世話はいつもダビンが見ていました。
そんなある日、ジョンナムはジスク(ユソン)という女と再婚しました。ダビンとミンジュンの継母となったジスクは、最初のうちは育児を仕事と両立しながらこなしていましたが、次第に慣れない育児への苛立ちを露わにすると、ダビンとミンジュンに虐待を加えるようになっていきました。
耐え兼ねたダビンは警察や学校に駆け込み、ジスクからの暴力を訴えましたが、当のジスクは警察に対しては愛想よく、問題ないと振る舞って虐待を全面否定しました。学校側もまともに取り合おうとせず、ダビンはひたすらミンジュンを守ることで精一杯な日々を過ごしていました。ジョンナムは、ダビンとミンジュンはあくまでも区役所から手当をもらうための金づる程度にしか考えておらず、ジスクの虐待を見て見ぬふりをしていました。
幼い依頼人のネタバレあらすじ:承
ジョンヨプは社会福祉士の資格を有していることから、姉の勧めで一時的に地元の児童福祉館に就職することにしました。そんなある日、児童福祉館に警察から通報があり、ジョンヨプは先輩の社会福祉士ソジョン(イ・ナラ)と共に初めてダビンとミンジュンはジョンヨプと出会いました。ジョンヨプはダビンとミンジュンの様子がおかしいことに気付き、二人にハンバーガーを食べさせました。
ダビンから母親とはどういう存在なのかと問われたジョンヨプは、自分の母も幼い頃に亡くなったのでよくは知らないが、母は生前おねしょが治らない自分のために自宅の天井に夜光ステッカーを貼ってくれたという思い出話をしました。ミンジュンはジョンヨプの車に置かれていたゴリラのぬいぐるみを見て欲しがりましたが、それはジョンヨプの甥のものであり、ジョンヨプは代わりに姉弟を動物園に連れていくことにしました。
これを機にダビンとミンジュンはすっかりジョンヨプになつくようになり、毎日のように児童福祉館に通うようになりました。そんなある日、ジョンヨプはダビンから1枚の写真を見せられました。それはダビンとミンジョンの母の写真なのですが、顔の部分だけがなぜか切り取られていました。
やがてジョンヨプはソウルの弁護士事務所への就職が決まりました。ジョンヨプはミンジョンにゴリラのぬいぐるみをプレゼントし、ダビンには連絡先を記した名刺を渡しました。そしてジョンヨプは児童福祉館を辞めて弁護士事務所に就職、ダビンやミンジュンとは疎遠になっていきました。
幼い依頼人のネタバレあらすじ:転
その頃、ダビンとミンジュンはジョンヨプとの再会を待ち望んでいましたが、ダビンがジョンヨプから渡された名刺がジスクに見つかってしまい、ジスクはダビンに激しい暴行を加えました。翌日、ダビンが学校で倒れたことを知ったジュンヨプが病院に駆け付けると、ダビンは耳の鼓膜が破れていました。
ダビンは、鼓膜の怪我はあくまでも自分が転んでできたものだと主張しながらも、ミンジュンと一緒にどこかへ連れて行ってほしいと切実に頼みました。ジョンナムはダビンの怪我には全く無関心であり、ジョンヨプは何もできない自身の無力さに気付かされました。
ジョンヨプは弁護士として働きながらも、ダビンのために何かできないかと考えていました。一方、ダビンとミンジュンはジスクから相変わらずの虐待を受け続けていましたが、近所の住民たちは事実を知りながらも無関心を装い、誰一人として通報する者はいませんでした。
それどころか、ジスクはミンジュンが金を持っていることを知り、その金はジョンヨプから以前に何か買って食べるように渡されたものとは知らずに、自分の財布から盗んだものだと思い込みました。激怒したジスクはダビンにミンジュンを殴るよう命じ、ダビンはやむなく軽く平手打ちをせざるを得ませんでした。
ジョンヨプがミンジュンの死を知ったのは、それから間もなくのことでした。ダビンはジスクに命じられ、自分がミンジュンを殺したと自白されられており、警察もジスクを逮捕することはできませんでした。
自らの無力さを改めて思い知らされたジョンヨプはダビンのために戦う決意を固め、事件とは関わるなと言う弁護士事務所を辞めて地元に戻り、友人のムンジョン(ソ・ジョンヨン)らの力を借りながらダビンの無実を訴える活動を始めました。
ジョンヨプらはジスクについて調べるうち、彼女には過去に学歴詐称や詐欺罪での服役の過去など問題行動があったことが明らかになりました。そしてジョンヨプらの運動が功を奏し、ジスクは警察から出頭要請を受けることとなりましたが、肝心の証人であるダビンは大人たちに裏切られたとの思いから心を閉ざしてしまっており、ジョンヨプにすらも冷たく接してしまいました。それでも諦めないジョンヨプはダビンの同級生チャンホ(イ・ロウン)を通じてダビンに差し入れを贈りました。
幼い依頼人の結末
ダビンは最初のうちはジョンヨプからの差し入れに手を付けようとはしませんでしたが、その中には以前ジョンヨプが母の思い出として語っていた星形の夜光ステッカーと、ジョンヨプのメッセージが込められた音楽プレイヤーが入っていました。ジョンヨプからのメッセージを聞いていたダビンはジスクに見つかってしまいましたが、チャンホからの連絡を受けたジョンヨプがダビンの家に乗り込んで彼女を助け出しました。
ジョンヨプはダビンを姉夫婦の元に預けました。ジョンヨプがミンジョンに渡したゴリラのぬいぐるみはジスクによって捨てられており、ジョンヨプはダビンに「気にするな」と声をかけました。やがてジョンナムがダビンを連れ戻しに来ましたが、ジョンヨプは「ダビンは俺の依頼人だ」と告げて追い返しました。
翌日、ジスクは逮捕され、公判が始まりました。ジスクはミンジョンを殺したのはダビンだと主張し続け、怯えるダビンは反論すらできませんでした。証拠がないため中々ダビンの無実を証明できず、苦悩するジョンヨプでしたが、甥の一言によりゴリラのぬいぐるみにはカメラが内蔵されていることを知りました。幸いにもぬいぐるみはチャンホが回収してくれており、ジョンヨプは早速ぬいぐるみを法廷に持ち込みました。
ダビンは勇気を振り絞ってジスクから虐待を受けていた事実を証言、ジョンヨプはぬいぐるみ内のカメラに克明に収められていたジスクの虐待の様子を映し出しました。これによりダビンの無実とジスクの罪が証明され、ジスクは児童虐待及び傷害致死罪で懲役16年、ジョンナムは児童虐待放置の罪により懲役5年の有罪判決を受けました。
6か月後、ジョンヨプはダビンにある写真を渡しました。ジョンヨプは顔が切り取られたダビンの母の写真に一緒に写っていた人物たちを探し出し、母の顔写真を手に入れたのです。ダビンはこれでミンジュンも天国で母に会えるだろうと喜びました。
以上、映画「幼い依頼人」のあらすじと結末でした。
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