映画「天国にちがいない」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
天国にちがいないの紹介：2019年フランス,カタール,ドイツ,カナダ,トルコ,パレスチナ映画。映画監督エリア・スレイマンは新作映画の企画を売り込むため、故郷パレスチナ・ナザレからパリ、そしてニューヨークをめぐり旅する。故郷とはいったい何なのか。ナザレ、パリ、ニューヨークの独特の街並みや慣習を美しく描く。名匠エリア・スレイマンの10年ぶりの作品。
監督：エリア・スレイマン 出演：エリア・スレイマン（ES／本人）、タリク・コプティ（隣人）、ジョージ・クレイフィ（ウェイター）、ナエル・カンジ（主教）、アスマ・アザイザン（ベドウィンの女性）、グレゴワール・コラン（地下鉄の男）、ヴァンサン・マラヴァル（プロデューサー）、スティーヴン・マクハティ（タロット占い師）、ラチャ・ハイダー（フェメン）、ナンシー・グラント（プロデューサー）、ガエル・ガルシア・ベルナル（本人）ほか
この解説記事には映画「天国にちがいない」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
映画監督ESは、物思いにふけりながらテラスでエスプレッソを飲み、いつも通りの静かな暮らしを送っていました。
ある日、自宅の庭に目をやると、木からレモンの果実を勝手に取っている男がいました。「隣人よ、泥棒だとは思うな。ドアはノックした」その男はそう言いました。
ある日、ESがレストランでお酒を飲んでいた時のこと。向かいのテーブルの柄の悪い兄弟がウェイターにクレームをつけました。冷静なウェイターは酒をおごり、平和に解決しました。
海岸に立ち、海を眺めるES。帰るために車を走らせていると後方からパトカーが近づいてきました。その後部座席には目隠しをした若い女性がいました。
家の中を綺麗にすると、ESは飛行機に乗りました。着いたのは異国の地パリでした。
ESはカフェのオープンテラス席に座ると、行き交うお洒落なパリジェンヌたちに魅了されました。
翌日、外を見るとまるで懲戒令下のようにほとんど誰もいません。
ESはナポレオン像のあるヴァンドーム広場へやってきましたが、やはりひと気はありませんでした。しばらくすると轟音とともに何台も戦車が現れます。
地下鉄に乗ると、いたるところにタトゥーを入れた男から威圧的に睨まれました。
今日は軍事パレードの日。急にパリに普段の活気がよみがえりました。
ESがパリに来たのは新作映画を売り込むためでした。しかし訪れた映画会社のプロデューサーから言われたのは「パレスチナ色が弱い」と。
タクシーで走る夜の街。運転手に「どこの国から来たんだ？」と聞かれESは初めて口を開きました。「ナザレ」と。運転手は生まれて初めて会ったパレスチナ人に大興奮。イエスの故郷だと喜びました。ただし、アラファト議長をカラファトと言い間違えながら。
街の人々は、子供からお年寄りまで誰もが銃を持っていました。
公園に来たES。池の前には天使の羽をまとった1人の少女をニューヨーク市警が囲んでいました。捕り抑えた瞬間、少女は忽然と消えました。羽だけを残して。
映画学校の講義にやってきたES。教師から監督としてのアイデンティティを問われました。「あなたは真のよそ者ですか？」と。ESはただ黙っているしかありませんでした。
次にESは映画会社メタ・フィルムを訪れました。友人の俳優ガエル・ガルシア・ベルナルと共にプロデューサーを待っています。ようやくやってきた女性プロデューサー。ベルナルは彼女にESを紹介しました。「友人のスレイマン監督です。パレスチナ人でコメディを撮っている。次は中東の平和をテーマとした作品の予定」それを聞いた女性プロデューサーは「すでに笑っちゃう、健闘を祈るわ」と去ってしまいました。
失意のESはタロット占いを受けてみることに。占い師は言いました。「この先、パレスチナはあるかって？パレスチナは必ずある。ただし、我々が生きている間ではないが」
ESは空港にやってきました。ひとりの男の極私的な旅は終わりました。
自宅に戻ったESは、またいつものようにテラスでエスプレッソをすすります。隣人はレモンの木に水をやり、一瞬こちらを見ましたが何も言わずにまた水をまきます。
クラブでは賑やかな曲に合わせ、若者たちが踊っていました。いつもの日常は続いていきます。
以上、映画「天国にちがいない」のあらすじと結末でした。
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