インサイド・マンの紹介:2006年アメリカ映画。白昼起こった銀行強盗は、立て篭もり事件へと発展する。数十人の人質を取り、警察を翻弄する緻密に計画された犯行の裏には、この銀行が持つ大きな秘密が絡んでいた。事件中銀行内に居た人物全てが容疑者となった為、時系列を前後させ取調べ風景を挟み込みながら犯人を推測させつつ、謎多き強盗犯、横領疑惑のある刑事、そして暗躍する銀行会長とその弁護士の駆け引きを描いたクライムサスペンス。
監督:スパイク・リー 出演者:ダルトン・ラッセル(クライヴ・オーウェン)、キース・フレイジャー(デンゼル・ワシントン)、マデリーン・ホワイト(ジョディ・フォスター)、アーサー・ケイス(クリストファー・プラマー)、ビル・ミッチェル(キウェテル・イジョフォー)ほか
映画「インサイド・マン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「インサイド・マン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「インサイド・マン」解説
この解説記事には映画「インサイド・マン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
インサイド・マンのネタバレあらすじ:第1幕
マンハッタン信託銀行で白昼同等と銀行強盗が発生し、塗装業者に化けていた犯人はそのまま数十名の人質を取り、立て篭もります。銀行に起こった異変を警官もすぐに察知、強盗が篭城している事がすぐに知れ渡ります。この事件に市警察は、人手不足を理由にキース・フレイジャー刑事を担当にしました。恋人に結婚を迫られているフレイジャーですが、現在、別な事件で発生した証拠品横領の嫌疑で内務調査を受けている最中でした。篭城事件の知らせはすぐに、銀行の創設者である会長アーサー・ケイスの耳にも入ります。銀行強盗自体大事件ですが、彼にはその篭城されている銀行に問題があり、顔を青褪めて慌てます。
その頃強盗犯のリーダー、ダルトン・ラッセルは人質を地下に移し、通信手段の携帯、身元を特定できもの、何かしらの道具になりそうな鍵等全てを集めます。しかし子供の携帯ゲーム機は除外します。ですが行員の一人が携帯を隠し出し抜こうとすると、物陰に引きずり込みリンチを与える程冷酷です。ダルトン達は人質達に用意したマスクとつなぎ服に着替えるよう強要します。警察は銀行の包囲を完了させました。そこにダルトンは心臓が弱いと言う年配の男性を開放します。警察が犯人と同じ格好をした男性を乱暴に拘束し安全を確認すると、警察がドアに近付けば人質を二人殺すと伝言を託されていました。
緊迫を増す銀行を他所にケイスは、女弁護士マデリーン・ホワイトと会っていました。敏腕で知られる彼女は、ケイスから事件のあった銀行の貸し金庫に預けているある物を守りたいと依頼され、犯人との交渉を託されました。その銀行内ではダルトン達が何故か備品倉庫の床を掘り始めました。
インサイド・マンのネタバレあらすじ:第2幕
フレイジャーは犯人が移動に使った車や監視カメラの映像を見て、何かしら捜査の足がかりはないかと探っていました。そこに、またも人質が開放されてきます。その人質には金属ケースが首から提げられていました。金属ケースには、逃走手段のバスとジェット機を要求するメッセージが書き込まれていました。そんな所にケイスが現場にやって来て、捜査の進展状況を確認します。犯人の要求を聞きかじったケイスは、要望のものをすぐに全て用意すると申し出ます。ですがフレイジャーはそれを丁重に断りました。
そんな銀行内では、数人ずつ隔離された人質の一人がストレスから不満をぶちまけ騒ぎ始めます。ダルトンはその男を別部屋に隔離し、リンチを加えます。そんな事も知らないフレイジャーは、ダルトンに新たに要求された食料のピザを差し入れし、自分が事件の担当刑事だとという事を名乗ります。そのピザの箱には盗聴器が仕掛けてありました。ダルトンは、おもむろに女性の人質を一人選びます。そして別部屋に移動させると同時に自分の仲間の女性をその部屋に紛れ込ませてました。
フレイジャー達は、仕込んだ盗聴器から中の状況を探ろうとしていました。しかし、聞こえてくるのは英語ではありませんでした。内容が判らない彼らは非常手段で録音をスピーカーから流し、野次馬の中から聞き取れる人物を探し出します。その結果判ったのは、聞こえていたのはアルバニア元大統領の演説であるという事でした。
警察に偽の会話を聞かせていたダルトンは、子供がやっている犯罪ゲームを不道徳と諭し、392番の貸金庫を仲間に開けさせました。金庫の中身は小分けの袋と指輪のケース、そして謎の書類封筒でした。
その頃、捜査本部にホワイトが市長を伴いやってきました。要求は犯人との交渉です。ホワイトはフレイジャーが横領容疑で捜査を受けている事を指摘し、市長を使い間接的に圧力を掛けきました。そんな時にダルトンから要求の進捗状況を確認する電話がかかってきます。ダルトンは要求の進捗がまったく進んで居ない事に不満を感じましたが、謎々の答えに正解したら時間を延長しサンドイッチで我慢すると言います。フレイジャー等はその謎々の引っ掛けに掛かりそうになりつつも無事正解を答えました。銀行内では、ダルトンが掘らせていた穴が完成し、「良いトイレができた」と評価します。
インサイド・マンのネタバレあらすじ:第3幕
ホワイトはダルトンと直接会い、罪状を軽くする事と200万ドルを提案しますが、ダルトンは拒否します。それどころかホワイトに、ケイスが銀行を作ったその資本は、ナチスドイツと結託してユダヤ人から奪った財産だった事を暴露しました。そして貸金庫に隠されていた封筒にはその証拠があると言います。ホワイトは予想より大きな話に一旦引き下がります。銀行から出てきた彼女をフレイジャーが詰問しますが、彼女は何も答えませんでした。
フレイジャーは何かしら道理に合わない展開が続く事から、ダルトンの要求は時間稼ぎの布石ではないかと推理します。フレイジャーはそれを確認する為要求が通った事にして、その引渡しの前段階の為に人質の安否確認を名目に銀行内に入ります。人質達の安否を確認したフレイジャーは、自分が恋人に結婚を迫られている等と無駄話をしながら出口に向かいます。そんな彼にダルトンは愛は金で買えないと諭します。銀行を出るとき、フレイジャーは隙を突いてダルトンに襲いかかりました。しかしダルトンの仲間が駆け付け、銃を使いフレイジャーを引き離し、彼を外に追い出しました。
フレイジャーは、今までのやり取りからダルトン達は人質を殺す気がないと確信しました。しかしその矢先、ダルトンはフレイジャーに監視カメラを見るよう指示します。フレイジャー達がモニターを見守る中、ダルトンは頭に袋を被せた人質を、後ろから銃で撃ちました。袋は血しぶきで真っ赤に染まり、フレイジャーは怒りに任せ銀行に向かい、入口に出てきたダルトンを罵りました。警察は犠牲者が出た事で方針を変更、フレイジャーを解任して突入作戦を計画します。
警察の特殊部隊は人質を考慮しゴム弾を使用、作戦の不利を感じながらも突入作戦を実行に移します。それを横目にフレイジャーは、この事件を最初に発見した警官と無駄話をして愚痴を語り合います。その話の中で、彼は一つのひらめきを得、それに従い要求の書かれたケースを調べると、そこには盗聴器がありました。作戦が筒抜けだった事を知ったフレイジャーは、慌てて特殊部隊に作戦の中止を勧告します。しかしすでに作戦は動いていたので中止は出来ませんでした。
銀行内、警察の突入を察したダルトンは、脱出の準備を始めていました。人質を入口に集め、警察の突入寸前に彼らを外に追い出します。その中には同じ扮装をしている犯人も紛れて居ます。警察は、出てくる人々を片っ端からゴム弾で撃ち、全員を拘束しました。その後、銀行内を捜索しますが完全にもぬけの殻でした。それどころか何かが盗まれた形跡もありません。遺留品も見付かります。銃はトイガンでした。トイレには人質射殺を演出したトリックの種、袋と赤い染料の詰まった注射器がありました。
インサイド・マンの結末:第4幕
フレイジャーは、銀行内から出てきた全ての人物を容疑者として取調べします。しかし、彼らの話は全てがあいまいで裏付けが取れません。判るのは主犯のダルトンがその中に居ない事だけでした。犯人も特定できず被害も無い事件にフレイジャーの上司は揉み消しを命じます。フレイジャーはそれを渋々承服します。上司はついでと言わんばかりに彼の横領容疑が先程晴れた事を告げました。色々納得しないフレイジャーは捜査資料を見直します。すると、392の貸金庫がない事に気付きます。
フレイジャーは探りを入れる為にホワイトに会いに行きます。彼は市長が圧力を掛けてきた際、盗聴用機材の一つで市長との会話を録音していました。それを使い、ホワイトの知る何かを聞き出そうとします。しかし彼女は、ケイスが血生臭い過去で財を成した事を匂わせるだけでした。
ホワイトはケイスに会い、封筒は回収出来なかった事を話し、件の金庫には封筒以上の価値があるものが納まって居た事に気付いているのを匂わせます。ケイスは自分が友人を売り飛ばして財を得た事を独白し、金庫にはその友人のカルティエの宝石があったと言います。ケイスは多額の報酬を払い、ホワイトはそれを受け取って去ります。
そして行方が判らなかったダルトンは、1週間目にして姿を現します。そこは銀行の備品倉庫で、彼は棚に細工をして作った空間に潜んでいました。銀行の外には仲間も迎えに来ています。皆取調べを受け、警察を煙に巻いた男女です。彼らは銀行に入るフレイジャーの姿を見かけダルトンに知らせます。フレイジャーは裁判所命令を取り、392の貸金庫を開けに来た所でした。ダルトンは入口でフレイジャーに肩をぶつけつつも無事脱出を成功しました。合流したダルトンは、仲間のユダヤ人から指輪が無い事を咎められます。それに対しダルトンは、信用できる奴に預けて来たとうそぶきました。
フレイジャーが行員に金庫を開けさせると、ガムとメモとそしてカリティエの指輪が残されており、そのメモには指輪を追えと、フレイジャーの本質見透かしていたかのように書かれていました。フレイジャーはケイスの所に赴き、貸金庫の話をして鎌をかけますがケイスははぐらかします。フレイジャーはそんなケイスに指輪を見せ、指輪を追う事を宣言します。次に市長とホワイトが同席している場に行き、まず録音の入った盗聴器を渡し、戦争犯罪局の名刺を渡し、捜査を続行する事を匂わせます。
フレイジャーは彼女の待つ家に帰り、金では買えない物を確認する為に装備を置き始めます。その時、ポケットから小粒のダイヤが出てきました。彼は、銀行の出口で肩をぶつけられた事を思い出し、笑みを浮かべました。
強盗犯のリーダーであるダルトンと、捜査指揮を執る刑事のフレイジャーとの間に芽生え始めていく奇妙な関係が面白かったです。それぞれの立場はまるっきり正反対ながらも、激しい心理戦や駆け引きを通してお互いへの親近感が湧いていくシーンが印象的でした。銀行強盗をテーマにした映画ですが、人生の中でお金よりも大切なものについて考えさせられました。