クリムゾン・リバーの紹介:2000年フランス映画。フランス、アルプスの麓で、近くにあるゲルノンの大学図書館司書が変死体で発見される。捜査を横目に関係者が次々と殺され、それにはこの周辺で行われていた忌まわしい因習が深く関わってきていた。その頃遠く離れたのザルザックでは少女の墓が荒される。捜査を進めるとその先にはゲルノンで起きた忌まわしい何かが関わっている事が判り、担当する刑事はゲルノンに向かう。二つの事件、二人の刑事が合流するとき、事件の全容が解明される。ジャン・レノ主演のサスペンス・ミステリー映画。
監督:マチュー・カソヴィッツ 出演:ジャン・レノ(ピエール・ニーマンス警視)、ヴァンサン・カッセル(マックス・ケルケリアン警部補)、ナディア・ファレス(フェニー・フェレイラ)、ドミニク・サンダ(アンドレ)ほか
映画「クリムゾン・リバー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クリムゾン・リバー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「クリムゾン・リバー」解説
この解説記事には映画「クリムゾン・リバー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クリムゾン・リバーのネタバレあらすじ:第1幕
フランス、アルプス山中で、高い崖に引っ掛かった変死体が見付かります。死体の身元は近くのゲルノンにある大学図書館司書のケロアで、異常殺人事件に慣れていない地元の警察組織である憲兵隊はパリから殺人捜査の専門家を呼び寄せます。やってきたのは名刑事と名高いニーマンス。彼は死体発見現場を見ると検視が行われる大学へと向います。大学はフランスでも最古の部類に入り、町と一体化してエリート教育に熱心で自家発電施設などを持ち、付属の病院は村人の村人も無料で診療が受けられました。死体は胎児のポーズを取らされ、目をえぐるなど、酷い拷問の後が残されていました。目には水が溜まっており、それは解析に回されました。抜かれた眼球に何か手掛かりがあるのかと思いニーマンスは、地元の眼科医、シュルヌゼに会いに行いきます。彼に死体の写真を見せると動揺を見せはしましたが、この辺の事情と目に関する話を聞かせてくれます。あの大学が含む町ゲルノンでは、純血を保つ為近親婚が続けられていました。その為、遺伝的な眼病が蔓延しています。しかし何故か、2世代ほど前から近隣の村人にも増えていました。
その頃遠く離れたザルザックでは、小学校で不法侵入、そして墓地で墓荒らしが発生して捜査が始まります。担当する刑事マックスが墓荒らしの現場に向かうと、十歳で死んだ少女ジュディットの大きな墓に鍵十字が書き込まれていました。とりあえず、容疑者はネオナチだろうと次に小学校の不法侵入事件を調べます。被害は無いと思われましたが、ふと先程の墓の主の記録があるか調べると、それが抜き取られていました。その少女の死因を詳しく調べると、彼女はトラックに轢かれ死亡、身元が判らない程潰されていました。その時一緒に居た母親と、母親の握り締めていた指が証になったと言うことでした。その時母親は、気が触れたようで悪魔の仕業だと訴えていたといました。
クリムゾン・リバーのネタバレあらすじ:第2幕
ニーマンスは学長に会い、被害者の事等を聞きます。この町では代々仕事を受け継ぐのが伝統となっており、ケロアの父親もまたこの大学で司書をしていました。ケロアの部屋を調べてみると、“我々は支配者であり奴隷 至る所にいて、どこにもいない 深紅なる川の支配者”と表紙に書かれていた彼の論文や、胎児のポーズを含む幾つかのグロテスクな写真が残されていました。
ニーマンスは第一発見者の女性、ファニーがロッククライミングの訓練をしている所を尋ねます。彼女は雪氷学者で、散歩中に死体を発見したそうです。ファニーの研究は、氷河からの水の流れや雪崩対策等に応用されていました。ニーマンスが何気なく、被害者と彼女は共通点があり、大学で働きながら学ぶエリートの一員がそれだと言うと、ファニーは気分を害したように行ってしまいました。そこにニーマンスの携帯電話に検視官から目の水の解析報告が入ります。水は酸性雨で70年代以降降っていない筈でした。その時、ニーマンスの目に広大なアルプス山脈が映りました。
マックスは、ジュディットの母親に会いに修道院を訪れていました。母親は闇の誓いをという暗闇で過ごす修行をして居ました。彼女はゲルノンの出身で、彼女の口からは娘は悪魔に追われ、悪魔に殺されたという取り留めの無い話しか聞けませんでした。悪魔は娘の顔を恐れているとも言われました。帰り際、マックスがドアから差し込む灯りで彼女を見ると、その目は光を失っていました。
ニーマンスはヘリでファニーをガイドにアルプスの氷河に向かってました。ヘリを降り、彼女の案内では死体の目から出てきた水と同じ成分を持つ氷河のクレパスに向かいます。そこは絶壁で、ここに何かの手掛かりがある筈だとニーマンスはクレパスの底にまで降ります。底には水の流れが作った空洞があり、その奥には、もう1体の死体がありました。それは町の産婦人科セルティス医師でした。
マックスはネオナチの溜まり場に赴き、彼等を叩きのめして情報を聞き出します。犯行を否定した彼らは、墓から白い車が逃げて行くのを見たという事です。その車の調べると、同じ車種がゲルノンにも1台ある事がわかりました。
クリムゾン・リバーのネタバレあらすじ:第3幕
マックスは車を追ってゲルノンのセルティスの家を訪れていました。応答が無いのでその家に忍び込もうとしていた時、ニーマンスと出会います。お互いが刑事だと解り、ニーマンスは入口を蹴破りセルティスの家に入り込みます。家の中は犬が入れられている檻が沢山あり、その犬を解剖して何かの実験を行っていたようでした。
ニーマンスはマックスを連れて検視に立ち会います。セルティスは同じポーズをとらされていましたが、拷問の後はありませんでした。最初目は抉られていないと思われていましたが、良く調べてみると病院にあるような義眼にすり替えられていました。そのことからニーマンスは直感的にシュルヌゼ医師の下に向かいます。しかしシュルヌゼ医師は、拷問を受け窓枠に貼り付けにされるという無残な姿で殺害されていました。ニーマンスとマックスは、そこから走り去る人影を見ます。慌てて追いますが、ニーマンスは銃を奪われしまいました。銃口が彼に向けられ、引き金が引かれます。しかし、撃ち尽くされるまで放たれた銃弾は全て、警告のように外されました。人影は銃を捨て更に走って逃げます。それをマックスが追いますが、まるで長距離アスリートのような走りに振り切られてしまいました。
マックスが殺人現場に戻ると、銃から出た指紋の照合を執り行っている所でした。指紋は犯罪者としては登録がありませんでしたが、彼が持っていたジュディットの指の指紋資料と照合すると一致しました。全てが大学関係者で結ばれている事から二人は大学に何かあると睨みます。ニーマンスは警察署前で、別な事情聴取を受けていたファニーと出会います。彼はファニーを家に送ると彼女の家に招かれコーヒーを一杯飲みます。彼女は大学を憎み、他人に尊敬の念の無いエリートを嫌っていました。しかし学長の息子と婚約をしていた事もありました。ファニーはニーマンスに自分が犯人かと問いますが、彼は彼女が犯人だと思えなかったので否定しました。
クリムゾン・リバーの結末:第4幕
ニーマンスは大学に行き、ケロアの論文を読ませている憲兵隊長に感想を聞きます。隊長はその論文をまるでナチスの優生学だと嫌悪しました。ニーマンスがケロアの司書席に立つと、そこは他より一段高く、席次まで決まっている図書館においては、羊飼いが座る場所に見えました。そこに学長がやってきます。大学のからくりがそこはかとなく判って来たニーマンスは、大学の悪事をいつか暴いてやると責めます。自尊心を傷つけられた学長は、実はニーマンスが本庁で問題視されている事を指摘し、脅しました。
マックスは、再度ジュディットの墓に出向き、墓に備えられていた遺影を見つけました。ゲルノンに戻りそれをニーマンスに見せると、その顔がファニーであることに気付きます。慌ててファニーの家に戻るニーマンスとマックス、そこで大学が行ってきた推理を話します。大学は優生学に基づき近親婚を重ねエリートを生み続けてきました。しかし遺伝的疾患者が生まれ始め、新しい血を必要とし始めました。それを公にでなく、赤ん坊をすり替えるという手法で表向き純血を保ちながら混ぜ始めました。ニーマンスは大学は養殖所だと言い放ちます。その時、ニーマンス達の車を他の車が襲います。何とか撃退してその車を調べると、運転手は学長の息子でした。九死に一生を得てファニーの家に辿り着くと、そこは既にもぬけの殻でした。彼女の部屋には隠し部屋があり、そこには人を拷問をした痕跡もありました。ファニーはジュディットと入れ替えられた被害者と思われ、ニーマンスは、セルティスの遺体を含め、様々なヒントを与えてくれた彼女は捕まえてくれというメッセージを送っているのだと解釈しました。部屋に飾ってあった手榴弾がなくなっている事に気付いたニーマンスは、ファニーの専攻から雪崩を起こして大学を埋める気だと悟ります。
ニーマンスとマックスは、ロープウェイで山頂に向かいます。山頂には、雪上車に乗り込むファニーがいました。彼女を必死に説得するニーマンス達の背後に人影が浮かび上がります。それはファニーと同じ容姿を持つ女性でした。ジュディットで彼女は双子だったのです。すり替えたのはファニー一人で、何かの拍子でもう一人が生きている事を知った二人の母親は娘が奪われた事に気付き、復讐の為に計画した事でした。指は死んだ女の子の身元に説得力を増す為、ジュディットから切り落とされたものでした。ジュディットはマックスを昏倒させニーマンスから銃を奪い、ファニーに撃つ様強要します。思い悩んだファニーはジュディットを撃ち、気がついたマックスはファニーを撃ちます。この二つの銃声で雪崩が起こり、ニーマンスはマックスとファニーを雪上車の影に引き摺り込みます。しかしジュディットは取り残され、雪崩に飲み込まれしまいました。しばらくして雪崩に駆けつけた救助隊がニーマンス達を救助し、事件に幕は下りました。
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