ビッグ・アイズの紹介:アメリカ/2014年作品。60年代アメリカのポップアートを席巻したビッグ・アイズシリーズ、作者を名乗るウォルター・キーンはセレブ街道まっしぐら、しかし彼には秘密があった。
監督:ティム・バートン 出演者:エミリー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ、クリステン・リッター、ジェイソン・シュワルツマン、ダニー、ヒューストンほか
映画「ビッグ・アイズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ビッグ・アイズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ビッグ・アイズの予告編 動画
映画「ビッグ・アイズ」解説
この解説記事には映画「ビッグ・アイズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ビッグ・アイズのネタバレあらすじ:初めての逃亡と恋
マーガレットは無柄梅のジェーンをつれて、夫と別居する。着の身着のままで車を走らせサンフランシスコで、職業経験はなかったものの絵の勉強をしていたのでベビーベッドの背に絵を描くと仕事を得る。休日は公園で他の画家たちに混じり、大きな瞳の絵を売り、似顔絵を描く日々。近くで同じく絵を売っていたウォルター・キーンと出会う。独特な絵を描く彼女に目を付けたウォルターは食事に誘い、訪れたレストランに飾ってあるパリの街の絵を自分が描いたのだと言う。パリの美術学校で勉強したとも。同じ絵描き同士意気投合し、何回かデートをした後、ハワイで挙式。マーガレットは自分の作品にキーンと署名するようになる。
ビッグ・アイズのネタバレあらすじ:ビッグアイズの成功
ウォルターは自分の絵を画廊に売り込もうとするが門前払いの日々、ある日ライブハウスで壁を貸してもらって展示をさせてもらう事になる。そこへマーガレットの描いたビックアイズシリーズも並べると、たちまちセレブの目に留まる。誰が描いたものか聞かれるとウォルターは自分だと言う。結果、セレブが購入したアート作品として新聞に載ることになり、ビッグアイズシリーズとウォルターは有名に。門前払いをされていた画廊の前に、自分の画廊を作りビッグアイズシリーズを大々的に売り込む。一方マーガレットはウォルターに言われるまま自分の娘にもわからないように、部屋に閉じこもって絵を描く日々。ビッグアイズシリーズが自分の作品だとは言い出せず、画廊でもウォルターがビッグアイズについて話すのを聞くばかり。
ビッグ・アイズのネタバレあらすじ:夫の変貌
次第にウォルターは商売にのめりこんでいく。画廊のちらしを持ち帰る人がいるのを見るや、大量のポストガードやポスターを作り売りさばく。いつしか、マーガレットが買い物をするスーパーの一画でも大きな瞳のプリントされたものを見かけるようになる。やがて彼らは郊外の豪邸に住むようになる。ウォルターはセレブ気取り、マーガレットはそんなウォルターに嫌気がさしてくる。そんなある日、以前ウォルターが描いたはずのパリの街角の絵が劣化し署名の部分がはがれかけているのを見つける。訝しく思った彼女はその絵の具をはがしてみるとまったく違う署名が出てきた。ウォルターはパリの美術学校でなど勉強していなかった。大きくなった娘のジェーンは、母が閉じこもる理由をうすうす感づいていた。マーガレットは説明しようとするが、ウォルターに先に知られてしまい、アトリエに閉じ篭ると鍵穴から火のついたマッチを投げ入れられる、油彩の油もあるアトリエで身の危険を感じたマーガレットはジェーンをつれてハワイへ逃げる。
ビッグ・アイズの結末:決断と法廷
マーガレットが出て行ってしまい新作の発表ができなくなってしまった、ウォルターは、何とか彼女の居場所を突き止め、離婚をする代わりに絵を100枚描いて譲渡するように条件を付ける。従おうをとするマーガレットだが、たまたま勧誘に来た宗教団体の奥様方に抱えている悩みを話し、裁判を起こす事に。気弱なマーガレットが裁判など起こすわけがないと思っていたウォルターは弁護士も立てず、法廷へ。口下手でもある彼女を丸め込むつもりだった。しかし、裁判官に、証拠として絵を描くように命じられる。裁判官、傍聴人が見守る中、一時間。マーガレットは着々と筆を進めるが、ウォルターは描くそぶりすら見せない。結果マーガレットの描いた絵は証拠物件となる、ウォルターは描かないことで、ビッグアイズシリーズの作者だと言う主張を曲げなかった。かくして、彼は生涯絵を描く事はなかった。マーガレットは今も絵を描いている。
ビッグ・アイズの感想:ティム・バートンの描く夢の象徴
ビッグ・アイズシリーズの名のとおり、マーガレット・キーンの作品は子供の瞳が大きい。ウォルターはこの瞳の大きさを、自分が東欧を旅する中で見てきた子供の瞳と嘘の説明をした。マーガレットの見解もあるが、私はこの瞳の大きさは、口下手なマーガレットが彼女なりに世間と向き合い関わろうとしたゆえの瞳の大きさではないかと思う。ティム・バートンにはめずらしく、実話に基づく話であるが、それでもやはり、結婚式の場面はおとぎの国のようだし、スーパーで大きな瞳に見つめられる錯覚に陥るシーンは彼らしい演出だと思った。
「ビッグ・アイズ」感想・レビュー
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図らずも2022ネン6月にマーガレットキーンさんがお亡くなり タイムリーに観ることができました。60年代のシスコのノースビーチ(74年に当地を訪れた)
ハワイのロイアルハワイアンホテルもでてきて楽しく見ました。それにしてもクリストフ・ヴァルツ演じるウォルターはクソですね -
いつの時代も人の才能を食い物にするペテン師は存在するのだなと、その厚かましさに唖然とします。
鬼才・テイム・バートン監督の「ビッグ・アイズ」は、ポップアート全盛期の1960年代、一大ブームになった「ビッグ・アイズ」シリーズの”ゴーストペインター”だった、マーガレット・キーンの衝撃の半生を描いた作品だ。
夫と別れ、娘を養うために、絵を描き始めたマーガレットは、パリで絵画を学んだというウォルターと再婚します。
彼女の絵に商機を見たウォルターは、「自分が描いた」と売り込むのです。
こうぎする妻を丸めこんだウォルターは、絵を安価なポスターなどにして、大量に売り出し、人気が沸騰します。マーガレットは、豪勢な生活を手にする一方で、胸を痛めながら、絵を描き続けるが——–。
「エド・ウッド」以来という実話に基づく、この物語は、幻想的で不可思議な、ティム・バートンらしさは、かなり控え目になっており、リアルな悲喜劇が繰り広げられる。
ティム・バートン監督にも影響を与えたという、どこか悲しげな子供たちの絵は、マーガレットの心の投影になっていると思う。
マーガレットを演じたのは、エイミー・アダムス。
内気で夫に操られる女性の悲しさと強さを体現し、ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞に輝いている。さらに異彩を放つのが、ウォルターを演じた、曲者俳優クリストフ・バルツだ。
人を食ったような演技は、今回も健在で、商才に長け、アート界に革命を起こしながら、自信たっぷりに嘘八百を並べたてる詐欺師に、説得力を与えていると思う。「女の絵は売れない」とウォルターは言い放つ。
まだ、女性が社会の前面に立つのは難しかった時代。
虐げられた女性が、勇気を持って、一歩を踏み出す逆転劇としても痛快だ。
ティム・バートン監督作品だということで観てみました。実話ということもあり、エンターテイメント生は低いのですが、女性の地位が低く生きづらい時代背景が描かれていました。予想通りのエンディングとはいえ、法廷シーンが滑稽で観終わった後には爽快でした。