マイ・ニューヨーク・ダイアリーの紹介:2020年アイルランド, カナダ映画。90年代のニューヨーク。作家を夢見るジョアンナは老舗出版会社でJ.D.サリンジャー担当の女上司マーガレットのアシスタントとして働き始める。仕事は世界中から毎日届くサリンジャーへの熱烈なファンレターの処理。送られてくるのは、小説の主人公に自分を重ねる10代の若者、戦争体験を打ち明ける退役軍人、作家志望の娘を亡くした母親などから。ジョアンナは彼らの思いのこもった心揺さぶられる手紙に定型文を送り返すことに嫌気がさし、個人的に手紙を返してしまう。そんな中、ジョアンナが受けた電話の相手はあのサリンジャーだった。電話だけのやりとりを繰り返すうちにやがてジョアンナは自分自身を見つめなおすことになる。原作はジョアンナ・ラコフの自叙伝『サリンジャーと過ごした日々』。サリンジャー担当のベテランエージェントと新人アシスタントの知られざる実話の物語。
監督:フィリップ・ファラルドー 出演:マーガレット・クアリー(ジョアンナ)、シガニー・ウィーバー(マーガレット)、ダグラス・ブース(ドン)、サーナ・カーズレイク(ジェニー)、ブライアン・F・オバーン(ヒュー)、コルム・フィオール(ダニエル)、セオドア・ペレリン(ウィンストン・セーラム在住の青年)、ヤニック・トゥルースデール(マックス)、ハムザ・ハック(カール)、レニ・パーカー(パム)、エレン・デヴィッド(就活エージェント)、ロマーヌ・ドゥニ(A評価が欲しい少女)、ティム・ポスト(J.D.サリンジャー)、ギャヴィン・ドレア(マーク)、マット・ホランド(クリフォード・ブラッドベリ)ほか
映画「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」解説
この解説記事には映画「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マイ・ニューヨーク・ダイアリーのネタバレあらすじ:起
ニューヨークの北の郊外で育った幼少期のジョアンナは、平凡を嫌い“特別”になりたいと思っていました。再びニューヨークを訪れたときにその思いが沸き起こります。大学のある西海岸バークレーでは恋人カールが待っていますが、心境が変わりニューヨークに残ることにしました。
1995年秋。ニューヨーク。
職探しのために人材紹介会社を訪れたジョアンナは、ニューヨーク老舗の出版エージェンシーを紹介されました。面接は無事合格し、ベテランエージェントのマーガレットのアシスタントとして働くことに。
興奮するジョアンナを見て、マーガレットはある忠告をします。それは「何があっても“ジュリー”の連絡先を誰にも教えてはダメ。頭が変で人嫌いという噂は全部ウソなの」と。面接を終えたジョアンナがふと本棚に目をやると、そこにあったのは『ライ麦畑でつかまえて』。“ジュリー”とはあのサリンジャーのことだったのです。
ニューヨークで新たな人生を築こうと決意したジョアンナは、書店で知り合った小説家志望のドンと親しくなり、恋人となりました。
マイ・ニューヨーク・ダイアリーのネタバレあらすじ:承
ジョアンナの仕事は毎日サリンジャーに届く大量のファンレター全てに目を通し、定型文の返信をすることでした。その内容はどれもこれも思いのこもったものばかり。ジョアンナはなかでもノースカロライナ州ウィンストン・セーラム在住の青年から届いたファンレターに心を動かされました。
-僕は『ライ麦畑』を3回読みました。ホールデンを想うと最初ニヤニヤしましたが、気付いて落胆します。彼を思うのは感情的になったときのみ。僕は感情に飲まれてしまうのです。
彼に返信を送ることができず、ジョアンナは手紙をそっと引き出しにしまいました。
そんな中、マーガレットの離席中に1本の電話が鳴りました。声の相手はなんとサリンジャーでした。ジョアンナは簡単な自己紹介を済ませ、サリンジャーから旧作『ハプワース16、1924年』を出版することを知らされます。30年ぶりの出版の知らせにマーガレットは大興奮の様子でした。エージェントの仕事は作家に道を開くことでしたが、サリンジャーに限っては、話は全く逆になるのでした。
そんな中、ジョアンナは西海岸にいる恋人カールから手紙を受け取ります。しかしどうしても手紙を読むことができませんでした。
マイ・ニューヨーク・ダイアリーのネタバレあらすじ:転
ファンレターは世界中から届きました。戦争体験を打ち明ける退役軍人、作家志望の娘を亡くした母親など。そして、落第しかけているという学生からも手紙が届きました。
-学校の先生が、サリンジャーに手紙を送り、彼が返事をくれればA評価を付けると言うのです。どうか返信を下さい。
そんな手紙に居ても立っても居られなくなったジョアンナは自分の署名で返事を書き始めました。「Aがほしければしっかりと勉強をしてください。ホールデンの精神を支持するなら、人からの評価を気にせずに」と。
後日、その少女がジョアンナを訪ねて会社にやってきました。「なぜあなたが説教を?あなたのせいで私の夏休みはなくなった!」と。ジョアンナは落ち込みました。
さらに不幸が続きます。ある朝、ジョアンナが出勤すると社内が沈痛な雰囲気に包まれていました。仲間のダニエルが自殺をしたというのです。マーガレットはダニエルの愛人で、躁うつ病の彼を、彼の妻と共に長い間看病してきたのでした。みんなが深い悲しみに沈みました。
マイ・ニューヨーク・ダイアリーの結末
マーガレットを見舞うために自宅を訪れたジョアンナ。マーガレットは初めて本を担当したときのことやダニエルとの馴れ初めなどを話してくれました。仕事に厳しいマーガレットでしたが、彼女のソフトで弱い一面を見たジョアンナは強く抱きしめ別れました。
これまでにサリンジャーの作品を読んだことのなかったジョアンナは、ファンレターにこめられた彼らの熱い思いの訳を知りたくて、小説を手にとりました。彼の小説は、残酷で、ユーモアあふれ、そして正確でした。ジョアンナが想像していたものとは全く異なり、サリンジャーが大好きになりました。
ジョアンナが担当した作品の出版が決まり、マーガレットから手柄を褒められました。これからは担当作家を持つことができるのです。しかし、ジョアンナは辞めることを決意していました。
後日、ジョアンナは自身が執筆した詩を手に<ザ・ニューヨーカー>を訪れました。編集者に売り込むためでした。
会社に戻るとマーガレットにお客が訪れていました。聞き覚えのある声、それはサリンジャーでした。ジョアンナはしまっていたノースカロライナ州ウィンストン・セーラム在住の青年のファンレターを取り出すと、サリンジャーのポケットへ忍ばせました。
そしてマーガレットの部屋の扉が開きます。
「ジョアンナ!ついに会えたね。嬉しいよ!」
ジョアンナの笑顔は希望にあふれていました。
以上、映画「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」のあらすじと結末でした。
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