LOOPER/ルーパーの紹介:2012年アメリカ映画。近未来、犯罪組織はタイムトラベルを暗殺に悪用していた。それを執行する者達はLOOPERと呼ばれ、ジョーは多額の報酬を得ていた。ある日彼は、未来の自分を暗殺対象にするのだが取り逃がしてしまう。仕事の失敗から組織に追われていたが、未来のジョーは過去で未来の犯罪王を追っていた。タイムパラドクスを題材にしたSF作品。
監督 ライアン・ジョンソン 出演者 ジョー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)、オールド・ジョー(ブルース・ウィリス)、サラ(エミリー・ブラント)、シド(ピアース・ガニォン)、セス(ポール・ダノ)、キッド・ブルー(ノア・セガン)、スージー(パイパー・ペラーボ)、エイブ(ジェフ・ダニエルズ)、オールド・ジョーの妻(シュイ・チン)ほか
映画「LOOPER/ルーパー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「LOOPER/ルーパー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「LOOPER/ルーパー」解説
この解説記事には映画「LOOPER/ルーパー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
LOOPER/ルーパーのネタバレあらすじ:序章
2074年、タイムトラベルは発明されたがその危険性から禁止されていました。犯罪組織はそのタイムトラベルを悪用し、暗殺に用いていました。この時代の人間は、個人識別の為に電子チップが埋め込まれており、死体がすぐに特定されてしまうで、組織は暗殺対象を30年前に送り込み、特定の出来ない過去で殺し、死体を処分していました。それを暗殺する人達はルーパーと呼ばれていました。2044年、貧富の差が極限まで達し、犯罪の蔓延する時代でジョーは、ルーパーの一人として多額の報酬を得ていました。ルーパーは指定された場所と時間に転送されてくる人間を撃ち、死体を処理するまでが仕事です。報酬は、暗殺対象が背負わされていた銀の延べ棒でした。報酬で豪勢に生き、麻薬に溺れる。そんな毎日を過ごすルーパーですが、終わりはあります。未来の自分が送り込まれ、撃ち殺す日がそれです。その時の報酬は金で、ルーパー達はそれを「ループが閉じた」と称し、30年後のその日まで生きて行きます。
LOOPER/ルーパーのネタバレあらすじ:第1幕
そんなある日、セスというルーパーの一人がジョーの部屋に逃げ込んできます。彼はその日「ループが閉じた」のですが、未来の自分を取り逃がしてしまいます。未来のオールド・セスは、「ループが閉じる」理由を語っていました。未来で片っ端から元ルーパー達を捉え、過去に送っている人物が居るのです。その人物はレイン・メーカーと呼ばれていました。ジョーは一旦セスを匿い、ルーパーの元締めエイブに会いに行きます。エイブはジョーがセスを匿っている事を見抜いていました。元々貧しい強盗だったジョーを、未来人でもある彼が見出していました。それに恩義に感じていたジョーにセスが逆らえる筈もなく、セスはエイブに引き渡されます。逃走するオールド・セスは、ふと右腕の「古傷」に気付きます。傷には伝言が刻まれていました。そこで若い自分が捕まった事を悟ったオールド・セスは伝言の指示に従います。しかし彼の指が一本一本消えて行き、右の足首が消えます。辿り着いて彼が死ぬ間際に見たのは、その「伝言」を刻まれ、これから30年生かされる若い自分の姿でした。
ジョーはセスの「死」を悼み、馴染みの娼婦に慰めてもらいながらも仕事を続けます。その日の仕事は変でした。指定時刻きっかりに来る筈の対象が遅れて現れ、しかも拘束もされていません。そしてその男のまなざしを見た時、ジョーはそれが未来の自分だと気付きます。慌てて引き金を引くジョーですが、オールドジョーは背負っている金塊で弾を防ぐと若いジョーを気絶させ逃走しました。目の覚めたジョーは、今度は自分が組織に追われる番だと言う事を悟ります。
LOOPER/ルーパーのネタバレあらすじ:第2幕
オール・ジョーは、ジョーが出来なかった「ループが閉じた」人生を送っていました。溜まった仕事の報酬で引退後の人生を過ごしていましたが、金はすぐに麻薬に消え、強盗を繰り返し、どん底まで落ちぶれた時、一人の東洋人女性と出会います。彼はその女性と、それまでとは打って変ったような穏やかな人生を過ごしますが30年後の今、レイン・メーカーに捉えられ、妻を殺され、過去にやってきました。オールド・ジョーは図書館に忍び込み、自分の手にメモした数列を元に、ネットで子供の情報を検索します。その時、自分の右腕に「伝言」が刻まれているのに気付きます。
呼び出し先はジョーの馴染みにしているカフェレストランでした。そこでオールド・ジョーは、ジョーに過去に来た理由を語ります。30年後の未来には、化け物のような力を持ち、街に君臨する犯罪王レイン・メーカーが現れていました。母が殺さる所を見た、人工の顎を持つ等という噂しかないその男は、たった一人でそれを成し遂げた化け物でした。判るのはこの近辺で生まれたという事だけでした。オールド・ジョーはその男から最愛の妻を守る為、子供の内に殺そうと過去に来ました。一切関わりのないジョーは、未来の悲劇に共感できません。彼が助かる為にはオールド・ジョーを殺すしかないので対立が鮮明化し、もみ合いになります。そこにエイブの部下キッド・ブルーらが現れました。ジョーは、オールド・ジョーが図書館でプリントアウトした地図の一部を破り、逃げ出します。執拗に追うキッド・ブルーですが、二人は命からがらサトウキビ畑に逃げ込みました。
LOOPER/ルーパーのネタバレあらすじ:第3幕
サラは一人サトウキビ畑の世話をしていました。その時畑の中から人の気配がして彼女はショットガン片手にその気配を脅します。気配の主ジョーは、揉め事を避けるように畑に潜んだまま彼女をやり過ごします。彼女も畑から出てこない彼を見逃し、家に入っていきました。しばらくして別な人影が現れます。サラはショットガンをもってまたも脅しに掛かりますが、その人影は彼女を恐れる事無く彼女の前に進んでいきます。ジョーは咄嗟に人影との間に割って入ります。しかしその人影は、食べ物を欲しがる単なる放浪者でした。ジョーはそのまま麻薬の禁断症状で気絶してしまいました。納屋に寝かされうなされ水を欲するジョーに、サラの子供シドは水を与えます。ジョーの素性を聞くシドにサラは、単なる放浪者だと説明しますが、鋭い観察眼でそれを嘘だと見抜きました。オールド・ジョーは自分と彼女の大切な記憶が、サラに変わっていく事に気付きます。彼は妻との記憶を保つ為、必死に集中しました。
納屋で夜を明かしたジョーに、サラは出て行ってくれと言います。ジョーは食い下がるようにここを狙っている男が居ると言い、地図の切れ端と数列のメモを見せます。その数列を見たサラは、反射的に持っていたショットガンを撃ちました。その数列は、シドの生まれた年月日と病院のコードだったのです。オールドジョーは数列から、候補者が3人居る事を突き止めていました。彼はその一人目の子供の下に訪れ、その子を撃ち殺しました。サラはジョーの言う事を信用しシドを守ってくれ願いますが、ジョーは未来の自分を殺して自分の身を守りたいだけでした。サラは納屋にジョーが居る事を認め、彼にシドには近寄るなと釘を刺します。
納屋と母屋の連絡方法がない事に悩んでいたジョーに、シドが蛙の玩具を改造したブザーを与えます。シドはサラにそれを適当に作った連絡方法だと与えますが、サラはそれが息子の作ったものだとすぐに見破りました。シドは凄く賢い子供でした。
サラの家に、ジョーを探すエイブの部下が来ました。エイブの部下は家の中を家捜ししてジョーの姿がないか確認します。ジョーも隠れながらやり過ごそうとします。そこに見知らぬ訪問者に緊迫するシドが2階から降りてきましたが、足を滑らせてしまいました。シドは階段を転げ落ちますが、サラはそんなシドではなく、ジョーをかばって家から転げ出ます。その時、爆ぜる様な力が家を揺らしました。エイブの部下はその力で跡形もなく吹き飛んでいました。念動能力者であるシドを見てジョーは、彼こそがレイン・メーカーだと確信しました。
LOOPER/ルーパーのネタバレあらすじ:第4幕
その頃オールド・ジョーは二人目を発見し、悩んでいました。二人目は馴染みの娼婦の息子だったのです。意を決し彼女の家に踏み込んだ時、記憶が繋がり、自分がレイン・メーカーを知っている事を「思い出し」ます。しかし、オールド・ジョーを追ってきたキッド・ブルーが現れ、彼を捉えました。キッド・ブルーはオールド・ジョーをアジトに連れて行きます。しかし拘束を脱したオール・ジョーに、エイブを含めた彼の部下達は全て殲滅されました。オールド・ジョーはサラの家に向かいます。ジョーはそれを待ち構えていましたが、オールド・ジョーは彼を出し抜き、車で逃げようとしていたサラとシドの前に立ちはだかります。車はひっくり返り、抜け出したサラはシドに畑に逃げ込むように指示します。そのシドをオールド・ジョーは撃ちました。弾はシドの顎に当たり大きな傷を作ります。逆上したシドは、オールド・ジョーを念動で拘束します。その力は制御が掛からず、サラも拘束していました。サラはシドに落ち着くよう説得します。念動を解いたシドはサラに促され再度逃げようとします。そこをオールド・ジョーが再び狙いますが、サラが二人の間に立ち塞がりました。
その時、若いジョーにこれからオールド・ジョーが得る記憶が浮かび上がってきました。未来の妻を守る為に撃つ男の銃弾で、息子を守る為に撃たれた母親、そして息子は逃げ切り、復讐の為に悪に道に入る。そのヴィジョンがジョーの脳裏を過ぎります。ジョーは全てのループを断ち切るため、自ら命を絶ちました。全てが終わり、変わった未来に母と息子は歩み始めました。誰もその先は判りません。
とても新しいと思います。冒頭部分ではこれまでに観た事のない、ある意味ショッキングなシーンを見せられた為、一気にこの作品に引き込まれました。なぜルーパーらの「ループを閉じる」仕事を、おのおの自分自身で行わなければならないのか?には疑問が残りますが、そうであるが故に生々しく感じられました。エンディングでのヤング・ジョーの判断とその行動は勇敢で、ハッとさせられました。