成功したオタクの紹介:2021年韓国映画。2018年にあるK-POPスターが性加害事件で逮捕され、韓国芸能界を揺るがした「性バーニング・サン事件」。本作は犯罪者となったスターの熱狂的ファンで”成功したオタク“との異名を持つオ・セヨン監督が、自身と同じような経験をしたファンに取材し、その心境を映し出していくドキュメンタリーです。
監督:オ・セヨン 出演者:オ・セヨンほか
映画「成功したオタク」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「成功したオタク」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「成功したオタク」解説
この解説記事には映画「成功したオタク」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
成功したオタクのネタバレあらすじ:起
2018年、韓国・ソウルの江南区にあるナイトクラブ「バーニング・サン」で性加害事件が発生しました。後に「バーニング・サン事件」と呼ばれるこの事件は男性客がセクハラを受けていた女性客を助けようとして暴行を受けたことがきっかけとなり、このクラブを利用していた韓国芸能界スターたちが性的暴行や売春斡旋、違法薬物取引などの犯罪行為に関与していた疑惑が浮上、芸能界や政財界を巻き込む一大スキャンダルへと発展したものです。
本作の監督であるオ・セヨンはこの事件に関与した某K-POPスターの熱狂的なファンでした。中学生時代から推し活を始め、積極的に推しのスターに自分の存在を認知してほしい一心で必死にアピールし、その甲斐あってスターに認知してもらえるようになりました。またオ・セヨンはファンとしてテレビにも出るようになったことから”ソンドク(”成功したオタク“の略語)“と呼ばれるようになりました。
ところが、このスターはバーニング・サン事件に関与したことが明らかになり、グループチャットに隠し撮りした性的な動画を流した容疑で逮捕されました。オ・セヨンは推しが突然犯罪者となってしまった事実に打ちのめされ、やがてこのスターのファンであったことを恥じるようになっていました。
オ・セヨンは推しのスターの裁判の傍聴に参加しました。そこで彼女が見たものは、これまでの華やかな姿とはかけ離れた、質疑応答に対してうなだれたまま答えられない有り様でした。やがてオ・セヨンは事件の後も未だにそのスターを応援しているファンがいることを知り、なぜファンを続けるのだろうかと疑問を抱きました。そこでオ・セヨンはファンを続けている者や辞めた者など、自分と同じように推しのスターが犯罪者になったという経験を持つ人たちに取材を開始することにしました。
成功したオタクのネタバレあらすじ:承
オ・セヨンは助監督を依頼する予定だった女性もまた性加害者となった人物のファンだったことを知り、二人でグッズのお葬式を行うことにしました。オ・セヨンはその女性と共にグッズを売るべく整理を始めたところ、自身がかつて推し活をしていた頃の記憶が蘇ってきました。
かつて推しからもらったサインには、勉強を頑張って学年1位を取り、いい大学に行けというメッセージが添えられていました。その言葉通りに頑張って学年1位を取り、ソウルの大学に進学したのですが、まさか自分の背中を押してくれた人物が犯罪に手を染めることになるとは思っておらず、再び憤りを感じたのですが、その一方で推しは本来はそんな人じゃなかったのではないかという思いも込み上げていました。オ・セヨンと女性は当初はグッズを処分するはずだったのがいつしか互いのグッズを自慢し合うようになっていきました。
成功したオタクのネタバレあらすじ:転
オ・セヨンは自身やファンの体験を通し、今でも推し続けている人の気持ちが少し理解できるかもしれないと感じました。オ・セヨンの取材を受けたファンたちの反応は様々で、推しは元々イメージで売ってきた人なのだと思って気持ちが冷めた人、最初は事件を受け入れられず困惑したという人、思い出を汚されたと感じた人、そして推しに対して怒りが込み上げながらも思い出までは捨て切れないという複雑な感情を抱いている人、また誰か次のスターを推すことへの不安、今でもファンを続けるのならば殴ってやりたいという声など、様々な声が挙がりました。
オ・セヨンは以前、推しが逮捕される前に不起訴となった事件の報道に対して中傷してたことから記事を書いた記者に連絡を取り、会うことにしました。記者との話し合いでオ・セヨンはファンが推しに対して盲目になってしまう心理に理解を示したうえで、その構造が政治スキャンダルで政権の座を追われ、投獄された元大統領パク・クネの支持者とも似ていると語りました。
オ・セヨンはパク・クネの支持者による集会に顔を出し、獄中のパク・クネにを送っているという人らの声に耳を傾けました。
成功したオタクの結末
オ・セヨンは自分の一番身近にいる人物で、なおかつ自分と同じような体験をした人、すなわち自身の母にインタビューしました。オ・セヨンの母はセクハラ疑惑に問われ、報道後に自殺したとある俳優のファンでした。オ・セヨンの母は罪を犯したなら謝罪して反省すべきであり、自殺するのは違うと語りました。
オ・セヨンは母が自分は以前に推しのスターに感謝すると発言していたことに触れ、その真意を尋ねました。すると、オ・セヨンが中学生時代、母は夜勤が多く姉は高校の寮暮らしで、オ・セヨンは家に一人きりでいることが多かったのですが、好きなスターがいるおかげで寂しくなく過ごせたというのです。
オ・セヨンはこれまでの取材、そして母の言葉を聞いたことから、ひとつの結論に達しました。それは誰かを好きになることは幸せなことであり、全ての推し活は幸せな行為のはずだ、全力で推し活を楽しんで幸せと思えたならそれこそが“成功したオタク”なのではないかということでした。そしてオ・セヨンは今はまだ誰かを推そうという気持ちにはなれないものの、いつかまた誰かの“ソンドク”になりたいと語りました。
以上、映画「成功したオタク」のあらすじと結末でした。
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