父/パードレ・パドローネの紹介:1977年イタリア映画。イタリアの言語学者ガビーノ・レッダの自伝をベースにした人間ドラマ。父によって学問を奪われたガビーノは、父から離れた外の世界で勉学の喜びを知る。成長した息子と老いた父が繰り返す衝突と複雑な葛藤を描き出す。1977年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した。
監督:パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ 出演者:オメロ・アントヌッティ(エフィジオ・レッダ)、サヴェリオ・マルコーニ(ガビーノ・レッダ)、ファブリツィオ・フォルテ(幼少期のガビーノ)、S・モルナール(セバスティアーノ)ほか
映画「父/パードレ・パドローネ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「父/パードレ・パドローネ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
父/パードレ・パドローネの予告編 動画
映画「父/パードレ・パドローネ」解説
この解説記事には映画「父/パードレ・パドローネ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
父/パードレ・パドローネのネタバレあらすじ:過酷な幼少期
舞台はイタリア・サルデーニャ島。小学1年生のガビーノ・レッダは、家が貧しいために父エフィジオによって学校を辞めさせられてしまいます。羊飼いの仕事を叩き込まれるガビーノでしたが、昼夜問わず山に1人きりにされる恐怖に何度も逃げ出します。その度にエフィジオから激しい折檻を受け、気を失って倒れることもありました。勉強の機会を奪われ、読み書きも出来ず話し相手もいないガビーノは無口な青年に成長します。そしてガビーノが20歳になった時、ひとつの転機が訪れます。いつものように羊の番をしていたガビーノはアコーディオンを持った2人組の男と出会い、羊2頭と引き換えにアコーディオンを入手します。ガビーノは毎日のように練習を重ねました。エフィジオはガビーノの心が離れつつあると気づき、警戒します。
父/パードレ・パドローネのネタバレあらすじ:外の世界へ
その頃、羊飼いの1人セバスティアーノが以前から対立していた男に殺害される事件が起こります。財産の処分を任されたエフィジオは、安価でオリーブ畑を買うことにしました。これで豊かな暮らしが出来ると考えたレッダ家は、オリーブ畑の世話に汗を流します。しかしオリーブ油の市場価格が下がってしまい、希望よりだいぶ少ない儲けにしかなりませんでした。その上寒波の到来でオリーブが全滅、一家の夢は儚く消えます。一方、島の若い男たちはドイツに移住する計画を立てていました。ガビーノもそれに加わりますが、必要書類に父の署名が無かったため移住は認められず、1人家に帰るしかありませんでした。その後一家は財産のほとんどを処分し、銀行の利子で生計を立てることに。エフィジオは子どもたちの就職先を勝手に決め、長男のガビーノだけは軍に入るよう命令するのでした。
父/パードレ・パドローネのネタバレあらすじ:父(主人)からの解放
軍に入隊したガビーノは言語が分からず苦労します。ガビーノは友人から辞書を借り、まずは単語を覚えることから始めました。貪欲に知識を吸収していくガビーノ。学ぶことの喜びを知った彼は除隊して故郷に戻り、大学を受験したいと考えるようになります。エフィジオは許可しませんでしたが、結局ガビーノは家に帰って来ました。勉学を軽視するエフィジオはガビーノの行動が理解出来ず、昔のように徹底的に支配しようとします。朝から晩まで働かされ、勉強に集中出来ないガビーノは試験に失敗してしまいました。落ち込む息子を労わることなく、エフィジオは「わしが主人(パドローネ)であり父(パードレ)だ」と言い放ちます。ついに鬱憤が爆発したガビーノは不満をぶちまけます。それを聞いたエフィジオは無言で部屋を出て行き、ガビーノを殺害しようと考えます。戻ったエフィジオはガビーノと取っ組み合いの喧嘩を始め、家は大騒ぎになります。このままでは殺されると感じたガビーノは本土へ戻ることを決意。鞄を取りに父の部屋へ入ったガビーノは、ベッドに座り込む父の足に思わず顔を埋めました。そんな彼を、エフィジオは殴ることも撫でることも出来ないのでした。
父/パードレ・パドローネの結末:現在
ガビーノは島を出た後、サルデーニャ方言の研究で学位を取得。教職に就くも体調を崩し、自伝を書くため故郷に戻って来ました。今でも時折島から逃げ出したくなるガビーノ。それでも本土で得た権力を島で利用しないのは、そうすれば父に負けたことになると思っているからです。ガビーノは幼い頃のように、たった1人山の中で座り込みます。どこか悲しげな彼の背中が映り、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画「父/パードレ・パドローネ」のあらすじと結末でした。
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