トム・アット・ザ・ファームの紹介:2013年カナダ・フランス合作。2015年カンヌ映画祭史上最年少審査員に選ばれた監督・グサヴィエ・ドランが監督主演で贈る問題作。田舎町で起こる人々の心の葛藤から世界問題に迫る。
監督:グザビエ・ドラン 出演:グザビエ・ドラン、ピエール=イブ・カルディナル、リズ・ロワ、エブリーヌ・ブロシュ、マニュエル・タドロスほか
映画「トム・アット・ザ・ファーム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「トム・アット・ザ・ファーム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
トム・アット・ザ・ファームの予告編 動画
映画「トム・アット・ザ・ファーム」解説
この解説記事には映画「トム・アット・ザ・ファーム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
トム・アット・ザ・ファームのネタばれあらすじ:恋人の葬儀に参列した主人公が感じた家族の矛盾
トム(グサヴィエ・ドラン)はパリの広告代理店に勤めています。交通事故で亡くなったパートナーのギヨームの葬儀に参列する為に、彼の実家を訪れるのですが、そこで目の当りにしたのは、ギヨームから聞かされていなかった陰鬱とした雰囲気でした。ギヨームの母アガット(リズ・ロワ)は、トムをギヨームの親友だと思い歓迎し、葬儀でのスピーチをするように勧めます。その一方で、恋人のサラ(エヴリーヌ・ブロシュ)が来ないのは可笑しいじゃないと言うのです。何かが違うと感づいたトムは、葬儀の後、すぐに帰ろうとします。しかし、彼を止めたのはギヨームの兄フランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)でした。フランシスは恐ろしい形相で、トムにしばらくここに留まるように言うのです、彼は、弟とトムの関係は知っているし、ここは田舎だから、お前は弟の親友だと嘘を突き通せと脅迫して来るのでした。
トム・アット・ザ・ファームのネタばれあらすじ:町中の人から避けられるギヨーム家の真相とは
葬儀の間、トムは町中の人々が、嫌々ながら参列している雰囲気を肌身で感じます。葬儀が終わった後、サラが現れるのですが、サラはどうやらギヨームの『世間体を保つ為の偽りの恋人』である事が判明します。その為、葬儀に何も知らずやってきたトムに、ここから逃げる様に即すのです。トムは田舎に、ひっそりと立っているバーの店長から、フランシスが居ない間に、どうしてギヨーム家はあれだけ嫌悪されているのか、その真相を知ることになります。ギヨームがゲイだという事はこの田舎では受け入れられず、家族は存在自体が晒し者の様にされてきたのです。フランシスは弟を笑いものにした若い男に重傷を負わせたため、ならず者扱いされていました。世間には、穏やかな顔をしている二人の母アガットも内側には怒りを溜めています。家族に評判のサラダを作って、いきなり家族の目の前で捨ててしまうシーンがあるのですが、あれはアガットが世間体をつくろうことにうんざりしている証拠ではないでしょうか。
トム・アット・ザ・ファームの結末:エンドクレジットに流れる曲の意味は
クライマックスは、倉庫の中でトムとフランシスが二人組で踊るのですが、踊るというよりも暴力的にお互いを振り回している様にも見えます。BGMもガンガンなり、とても踊るといえるものではないのです。フランシスは、この町、待遇、家のたいする恨み辛みをすべてトムに大声でぶつけます。弟は町から出て行き、死んだ事で何もかもから自由になったけれど、自分は不自由なままだといいたげな感じです。トムは、そんなフランシスの元を去る事にします。うんざりだという捨て台詞を残して。ラストに流れる曲は、Going To A Townという曲で、歌詞には、アメリカにはうんざりだという内容が出てきます。フランシスは、トムを送るときに来ていたのはUSAのロゴが入っていた皮ジャンです。都会に憧れこの町を出て行ったギヨーム、力でねじ伏せようとする米国にうんざりな様に、相手を飼いならそうとする人間にもうんざりしたトム。二人を対照的に描いた、映画は、すばらしい出来だったと思います。
トム・アット・ザ・ファームの紹介:監督は、今年若干25歳、グサヴィエ・ドラン
監督主演は、今年若干25歳で、カンヌ映画祭の史上最年少審査員に選ばれたグサヴィエ・ドラン。彼の演出法は、いまや世界中で高い評価を得ています。
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