人生はマラソンだ!の紹介:2012年/オランダ映画。資金繰りに困った自動車修理工場の社長と従業員が4万ユーロをかけて、ロッテルダムマラソンに出場!果たして工場は守れるのか?がんばるオジサン達のホロっと泣けるストーリー。
監督:ディーデリック・コーパル 出演:ステファン・デ・ワレ、マルティン・バン・ワーデンベルク、フランク・ラメルス、マルセル・ヘンセマ、ミムン・オアイッサほか
映画「人生はマラソンだ!」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「人生はマラソンだ!」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
人生はマラソンだ!の予告編 動画
映画「人生はマラソンだ!」解説
この解説記事には映画「人生はマラソンだ!」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
人生はマラソンだ!のネタバレあらすじ:七年分の滞納発覚。工場差し押さえ?
ギーアの経営する自動車修理工場は今日ものんびり営業中。若いユースに仕事を任せ、ギーア、キース、レオ、ニコはカードに興じている。ギーアは目下反抗期中の息子に手を焼き、認知症の母に途方にくれている。キースは敬虔で厳しい妻に耐え切れず家ではもっぱら屋根裏で鉄道模型に囲まれ隠れて喫煙。レオは育児放棄されている妻の連れ子の世話をしながら妻の帰りを待つ日々。
ある日、美女が高級車のランプがおかしいと車を乗り付けると、そそくさと仕事を始めつつ彼女を引きとめようとバックヤードへコーヒーを作りに。カップを探していると、戸棚から滞納した税金の督促状を発見。ギーアに問いただすと滞納は七年、工場はすでに差し押さえられているということが知れてしまう。近くのバーで付けでビールを飲みながら話合うが埒があかない。エジプト人のユースの解雇するか、給料を減らすか、足の不自由なユースを雇う事でもらっている助成金はいくらなのか、計算し始める始末。
人生はマラソンだ!のネタバレあらすじ:走って稼ぐだと?よし、スポンサーを探せ!
昼休み、ユースが読んでいる雑誌がランナー雑誌だと知ると、みんなで彼の足が不自由な事を言及。しかし、以前はマラソンを走ってスポンサー料で稼いでいたと、ユースが話すと、目の色が変わる。目標は半年後の地元ロッテルダムマラソン、スポンサー料でガッポリ・・・とムシのいい話をし出す。ユースはそんなに簡単なものじゃないと言うが、乗り気になったギーアたちはそれぞれ馴染みの店へスポンサーになってくれるように頼みに行き、お断りされてしまう。最後の手段、ユースの親戚の中古ディーラーにしぶしぶ頭を下げにいく。そこで完走したら4万ユーロ、出来なければ工場を譲るという約束を取り付ける。しかし、マラソンの走行距離自体を知らない面々、42.195キロだと知り翌日から練習ものの、メタボ体質のままいきなり走れるわけが無く、ユースにコーチを頼む事にする。そんな折、最近咳き込むたびに血を吐いてしまうギーアは病院で食道癌、肺に転移していて手術するには手遅れ、化学療法しか残されていないと宣告される。余命は長くて半年、ちょうどロッテルダムマラソンの頃まで。直ちに入院して治療を始めるように言われるが、ギーアは医者の言う事を完全に無視、診察券を捨てる。
人生はマラソンだ!のネタバレあらすじ:血と汗と涙と、お色気?
ニコはランニングシューズを買い求めた店の店員(男)が気になり始め、マラソンへのモチベーションが上がる。
少しずつだが練習に軌道が乗り始めた頃、アムステルダムでの試走があるので1時にアムステルダムに「列車で」来るように言われる。若造、しかもエジプト人の彼に言われるのが気に入らない面々は車でアムステルダムへ、案の定、駐車場はどこも一杯、路上駐車をしようにも細い道で身動きが取れない。何とか駐車できた頃にはもちろん遅刻。せっかくアムステルダムに来たのだから、パブで遊び、売春街でニコに女を買わせる。ニコは見栄を張るものの未遂。さて、ロッテルダムに帰ろうとするが、車は駐車禁止の切符を切られ、タイヤをロックされてしまっていた。そこへロッテルダム行きのボートが通りかかり、無事にロッテルダムへ帰還。工場に顔を出すと、ユースがスポンサーの親戚も見に来ていたんだと怒る。そこで不満爆発、キースがユースは助成金のために雇われているんだと言ってしまう。ショックを受けたユースは工場を出て行くが、もう一年も助成金はもらってないとギーアがすぐに捕まえる。そこでうっかり吐血してしまったギーアにユースは体調を問いただす。およそマラソンの日までの余命であることは、他の仲間と家族を心配させないため、二人だけの秘密にする事を約束する。少し改心して練習を始め調子も出てきた頃、練習中に家に寄ったレオは妻の浮気現場を目撃、もう客はとらないと約束したのに、と、机の上の覚せい剤にも激昂、連れ子は自分が育てると宣言し家を出る。時折練習に使うジムで、レオの連れて来た赤ん坊はジムの女性たちに大人気。ニコはニコで靴屋の店員と一緒にトレーニングできるのでまんざらではない。おかげで30キロ走は見事完走し、あとの12キロは気力で乗り切ると、ユースは言う。すっかり食の細くなったギーアの奥さんは、マラソンをする彼に何か隠し事はしてないか聞く。仕方なく工場の事を打ち明けると、浮気を疑っていた彼女は安心する。一方息子は走ることはばかばかしいと、反抗するばかりだが、ギーアはそんな息子にハグをする。
人生はマラソンだ!の結末:全員がゴールするまで。
レース数日前、敬虔なクリスチャンのキースの妻は彼が日曜日にマラソンに出ることを許せない。今までも日曜日の練習だけは出来なかったキースは、妻のためとは言えず、足が痛くて俺は走らないと言い出す。ユニフォームもできてすっかり準備万端だったのにうな垂れるメンバー。マラソン当日、開場は着々と準備が進み人が集まってくる。キースは礼拝を受けているのに身が入らずとうとう、教会を出てみんなの待つ工場へ向かう。キースの到着に、全員はスタート地点まで急ぐ。ちょうど開場ではスピーチの真っ只中、何とか間に合った彼らは無事にスタートしニコをリーダーにマイペースに完走を目指す。しかし、途中からギーアが遅れ始める。追いつくから先に行けという言葉に三人はマイペースに走り、沿道に応援に来ていた家族に会う。ギーアの妻は彼がいない事を心配するが後についてくるという言葉を信じる。一方、すっかり後方のギーアはテレビレポーターに捕まって走りながらインタビューを受けていた。おかげでユースの親戚のディーラーの宣伝はばっちり、そんな中継を息子も若者のたまり場で見ていた。ギーアが心配なユースは血を吐いているのを見つけは知るのを止めるように言うが、「走りたいんだ」と言って彼は聞かなかった。キースの妻は日曜日を教会で過ごさない夫に静かに怒っていたが、テレビの前で中継を見るかどうか迷った挙句、花瓶の花を持ってゴール地点に向かう。三人がゴールした頃、ギーアは最下位走者として中継される、しかし、ゴールの300前で倒れ、そのまま病院へ搬送、緊急手術の甲斐も無く死んでしまう。そこでギーアが秘密にしていた事を知る。妻と息子が別れを告げた後、工場のメンバーもお別れに部屋へ入るとギーアは穏やかな顔をしていた。遺品として渡されたユニフォームを見て、あることを思いつくメンバー達。ギーアに再びユニフォームを着せ、片付けの始まっているゴールまでの300メートル、彼を車椅子で連れて行くことだった。それから6ヵ月後、工場はいつもどおり。ただユースがカード仲間に加わり、ギーアの息子がもっぱら働いている。部屋の柱には、ギーアの遺影と完走者に与えられるメダルがかけられていた。
以上、人生はマラソンだ!のあらすじと結末でした。
人生はマラソンだ!について:群像劇の見られるオランダの事情
五人それぞれが事情やコンプレックスを抱えているのが物語の端々に見られる。一見、典型的なギーアの家庭も反抗期の息子と、ギーア本人が癌と言う爆弾を抱えている。キールは敬虔で厳格すぎる妻。逆にレオは売春婦(合法)だった妻とその連れ子。ユースは移民、足が不自由を理由に差別的な扱いを受ける。ニコはおそらく同性愛者だがそれを隠している。そんな面々がマラソンの練習と言う共通の体験をすることでそれぞれ変化していく。それはメタボだった身体がだんだんと変化していくのと似ている。
また、ロッテルダム住民から見たアムステルダムのイメージと言うのもおもしろい(道が狭い、繁華街、同性愛者が多い?など)
300メートル残っていたのは無念だったと思うが、走りたいと言って、死ぬまで走ったのはギーアの本望ではないだろうか。
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