フレンチ・コネクションの紹介:1971年アメリカ映画。新鋭ウィリアム・フリードキン監督がはみ出し者の刑事の活躍を荒々しいドキュメンタリータッチで描く。凄まじいカーチェイス場面は映画史に残る見事さ。アカデミー賞では作品、監督、主演男優賞など5部門を受賞。
監督:ウィリアム・フリードキン 出演:ジーン・ハックマン(ジミー・ドイル (ポパイ))、ロイ・シャイダー(バディ・ルッソ (クラウディ))、フェルナンド・レイ(アラン・シャルニエ)、トニー・ロー・ビアンコ(サル・ボカ)、マルセル・ボズフィ(ピエール・ニコリ)、ほか
映画「フレンチ・コネクション」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フレンチ・コネクション」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
フレンチ・コネクションの予告編 動画
映画「フレンチ・コネクション」解説
この解説記事には映画「フレンチ・コネクション」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
フレンチ・コネクションのネタバレあらすじ:起
フランスのマルセイユ。私服の刑事が髭を生やした上品な初老の紳士アラン・シャルニエを見張っています。シェルニエは見かけとは違い、ヘロインの密輸網を牛耳る犯罪者なのです。見張りに気づいていたシャルニエは手下のニコリに刑事を殺させます。一方、ニューヨークのブルックリンでは麻薬の売人を捕まえようとドイルとルソーの二人の刑事が変装して怪しい店の前に。取引があると踏み込んだ二人は、逃げ出した売人を捕まえます。
フレンチ・コネクションのネタバレあらすじ:承
逮捕のせいで上機嫌のドイルはルソーを誘ってナイトクラブへ。そこはマフィアたちにとっての社交の場でもあります。ふと見ると見慣れない若い夫婦が羽振り良さそうに振る舞っています。彼らを怪しんだドイルたちは尾行を開始。夫婦は小さなデリカテッセンを経営していますが、それだけではあんな社交ぶりなど不可能です。調べてみると、夫であるサル・ボカはニューヨークの大物マフィア、ワインストックの手下でした。
フレンチ・コネクションのネタバレあらすじ:転
ワインストックは麻薬取引で大儲けしており、近々フランスからのヘロイン密輸の段取りをつけるため、サルと話し合っていたのです。ここで財務省麻薬取締部の捜査官たちが参加、本格的に捜査が始まります。やがて、フランスからシャルニエが到着。怪しい噂のある彼にドイルたちはピッタリ張り付き、怪しい動きを察知しようとしますが、彼はなかなか尻尾を掴ませず、尾行も地下鉄をうまく利用して巻いてしまいます。しかし、しつこいドイルにシャルニエも苛立ち、ニコリに彼を殺させようとします。部屋に帰ってきたところを狙撃しますが、間一髪助かるドイル。必死にニコリを追いかけ、地下鉄の駅へ。
フレンチ・コネクションの結末
電車をハイジャックしてなおも逃げるニコリを、ドイルは高架下を通って車で追いかけます。運転手が倒れたため緊急停車した地下鉄から降りてくるニコリをドイルは容赦なく撃ち殺します。翌日、フランスからやってきたテレビ・タレントの車が怪しいと見たドイルはそれを解体して大量のヘロインを発見。わざともとに戻して、そのまま取引をさせようとします。いよいよ麻薬取引現場。全員を逮捕しようとする捜査官たちですが、シャルニエはその裏をかいて逃亡。ドイルはそれを追いかけますが、結局取り逃がしてしまいます。
以上、映画「フレンチ・コネクション」のあらすじと結末でした。
「フレンチ・コネクション」感想・レビュー
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この「フレンチ・コネクション」を初めて観た時、高架線の上と下で、電車と車が繰り広げる、猛烈なカーチェイスに目を見張ったものだ。
あらためて観直しても、追跡場面の迫力は、色褪せてなかった。
だが、それ以上に、手持ちカメラをフルに活用して、ニューヨークの街や地下鉄を無許可のゲリラ的な隠し撮りで撮った映像の、ライブ感満載の不安定なスピード感に惹きつけられた。そして、それは地べたを這いずり回って捜査する、刑事の視線が捉えた風景のようにも見えた。
ニューヨーク市警で薬物捜査を担当する、ジーン・ハックマン扮するポパイことドイル刑事は、相棒と訪れたナイトクラブで、不審な男女を見つけ内偵を始める。
それから数週間後、”フレンチ・コネクション”と呼ばれる麻薬組織の、フェルナンド・レイ扮する黒幕シャルニエが、フランスのマルセイユからニューヨークにやって来る。
大量の麻薬の取引を察知したドイル刑事らは、張り込みを続けるが、逆に殺し屋に命を狙われるのだった——–。
1960年代に実際に起きた事件を基にしたノンフィクション小説が原作で、事件を担当した刑事も映画に協力し、警察の幹部役で出演している。
この映画でアカデミー監督賞を受賞したウィリアム・フリードキン監督は、事実に根差したドキュメンタリー的な撮り方にこだわり、その事は、麻薬の常習者がたむろする店の捜索や街中での尾行のシーン等にリアリティーを与えたが、一方では、ドイル刑事の人物像を良くも悪くも規定する結果になった。
酒も女性も好きで、人種偏見に満ち、犯罪者に対して暴力を平気でふるう。
同年に公開された、クリント・イーストウッド主演の「ダーティハリー」のような、一匹狼的な美学はない。
観終わった後、カタルシスがないのは、そのせいかもしれない。タフな刑事の実像かもしれないが、そばにいて欲しくないタイプの人間であるのは間違いない。
ニューヨークの乾いた雰囲気をバックに麻薬密売人の逮捕に奮闘する刑事たちを描いた作品。ジーン・ハックマンとロイ・シャイダーの共演。特に高架下から車で電車を追いかけるアクション・シーンが見どころか。監督はこの作品の後に「エクソシスト」を手掛けることになる、ウィリアム・フリードキン。結局、本作ではあと一歩のところで逮捕に至らず密売人を取り逃がしてしまう。当然、続編を示唆するエンディングで、数年後「フレンチ・コネクション2」が制作された。