SOSタイタニック/忘れえぬ夜の紹介:1958年イギリス映画。1912年4月10日、イギリスが誇る世界最大の豪華客船タイタニック号は2000人以上もの人々を乗せてニューヨークへの処女航海に出る。だが4月14日「忘れえぬ夜」が来る。タイタニック号の悲劇について最初の本格的研究であるウォルター・ロード著のノンフィクションA Night To Remember(日本語訳タイトルは『タイタニック号の最期』)を原作とし、当時存命だった遭難事故生存者の協力も得て製作されたドラマ映画。ミニチュアを駆使した特撮とリアルなセットでの撮影により、運命の夜を再現する。その後の研究を取り入れた『タイタニック』(1997年)の方が船の沈没の経過を正確に描いているが、技術への驕りや災害に立ち向かう乗務員たちの活躍、極限状況での船客の振る舞いを描いた本作の価値は失われない。
監督:ロイ・ウォード・ベイカー 出演:ケネス・モア(二等航海士ライトラー)、オナー・ブラックマン(ルーカス夫人)、マイケル・グッドリフ(トーマス・アンドリュース)、ケネス・グリフィス(通信士フィリップス)、フランク・ロートン(イズメイ社長)、デヴィッド・マッカラム(通信士ブライド)、ローレンス・ネイスミス(スミス船長)、ジョージ・ローズ(パン焼き主任ジョーヒン)、ほか
映画「SOSタイタニック/忘れえぬ夜」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「SOSタイタニック/忘れえぬ夜」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
SOSタイタニック/忘れえぬ夜の予告編 動画
映画「SOSタイタニック/忘れえぬ夜」解説
この解説記事には映画「SOSタイタニック/忘れえぬ夜」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
SOSタイタニック/忘れえぬ夜のネタバレあらすじ:起・事故発生まで
技術の粋を尽くして建造されたタイタニック号の進水式が行われ、人々の歓呼を受けてイギリスが誇る世界最大の客船は海に漕ぎ出した。
出航直前の人事異動で、一等航海士から降格した経験豊富な二等航海士であるライトラーは、妻とニューヨーク土産の話をして家を出た。
一等船客室で豪華な旅を楽しむ上流階級の人たち、二等船客室の新婚カップル、アメリカへ移民する三等船客室のアイルランド人、その他もろもろの客を乗せて1912年4月10日、サウサンプトン港からニューヨークへの処女航海が始まった。
タイタニック号の設計者トーマス・アンドリュースや、船を所有するホワイト・スター・ライン社のイズメイ社長も乗客となっていた。
4月14日。一等、二等、三等のどの船客も思い思いに船旅を楽しんでいた。アンドリュースは設計者として船底のボイラー室まで視察する。ライトラー二等航海士は船内各所に目を光らせ、スモーキング・ルームに入りびたりのギャンブラーにも注意を払う。
寒い夜だった。スミス船長は氷山を心配していた。近くを航行するカリフォルニアン号は氷山を発見して航行を止め、カリフォルニアン号の無線通信士は氷山についてタイタニック号に連絡しようとした。
しかし船客の私用の無線送信に忙殺されていたタイタニック号のフィリップス通信士は、カリフォルニアン号からの無線の耳をつんざくような音に「やめろ」と怒鳴り返す。タイタニック号への連絡がつかないまま、カリフォルニアン号では無線通信士の就寝時間が来る。
そして夜11時40分、巨大な氷山を見張りが発見したときは既に遅く、向きを変えようとしたタイタニック号は氷山に衝突した。
SOSタイタニック/忘れえぬ夜のネタバレあらすじ:承・パニックを避けよ
衝突直後、ボイラー室に浸水が始まったものの、デッキではアイルランド人たち三等船客が氷山の氷を蹴って遊んでいた。
だが、設計者アンドリュースは被害を調べ、船が1時間半後に沈没することをスミス船長に告げる。パニックを避けければならない。しかし、乗船者の約半数を乗せられる数の救命ボートしかタイタニック号は積んでいなかった。
スチュワード[船員]たちは嫌がる乗客に救命胴衣を着用させる。水蒸気の吹き上がる音で起きて船室を出てきたライトラー二等航海士は、救命ボートの用意を始める。
二人の無線通信士、ブライドとフィリップスは必死に遭難信号を送信し続ける。最近定められた「SOS」信号を利用することにした。だが、タイタニック号が見える位置にいるカリフォルニアン号の無線通信士はもう寝てしまっていた。
一方、カルパチア号の無線通信士は就寝前にタイタニック号からのSOSに気づき、船長を叩き起こす。だが、カルパチア号からの連絡によると、救援にかけつけるまで4時間かかるということだった。
ライトラーは左舷で船客をボートに誘導し始める。スミス船長の指示に従い、ボートの指揮をとる船員の他は、女性と子供だけをボートに乗せた。ほとんどの船客はまだタイタニック号が沈むことはないと信じ、小さなボートに怯える人もいた。
豪華な船室を使うロバート・ルーカスは、アンドリュースに個人的に質問して船が沈没することを知り、妻に高価なネックレスをつけさせて子供たちと共に左舷デッキに上らせ、怯える妻をなだめてボートに乗せる。
三等船客室は一等船客室から仕切り柵で封鎖されていた。アイルランド人移民たちは親しくなった外国人母娘と共に救命ボートへの回り道を自力で探し、二等船客ゾーンに侵入していく。
一方、女の子と母親を同じボートに乗せてあげるために、船員枠のボートの席を譲ったパン焼き主任ジョーヒンは、自分の船室に降りて酒を飲み始める。
タイタニック号が打ち上げた救難信号花火に子供は喜ぶが、カリフォルニアン号はその意味に気づくことがなかった。浸水箇所はどんどん広がっていく。スミス船長はパニックに備えて武器と弾薬を用意させる。
SOSタイタニック/忘れえぬ夜のネタバレあらすじ:転・終末が近づく
三等船客のアイルランド人たちはライトラーが受け持つ左舷デッキにたどり着くが、不安がる女性たちを先にボートに乗せなければならない。
二等船客の新婚夫婦は、老夫妻が運命を共にすることを決めるのを見て、それに倣うことにする。左舷では厳格に子供と女性しかボートに乗せなかったが、要領よく右舷に回ってボートに乗る男性船客もあった。
三等船客がデッキになだれこみ始め、船上は混乱を深める。ホワイト・スター・ライン社のイズメイ社長は右舷で船客の誘導を手伝っていたが、周りに女性がもういないのを見て、おずおずとボートに乗り込んだ。
左舷にある最後のボートに殺到しようとする人々を抑えるため、ライトラーは拳銃を使う。右舷の最後のボートもなくなり、沈没を目前に控えてライトラーたちは最後に残る二つの折り畳み式ボートを、船室の屋上から下ろし始める。
タイタニック号の傾きは大きくなる。スモーキング・ルームにはアンドリュースを始め、救命ボートに乗ることを早くあきらめた乗客が集まっていた。アンドリュースはそこで新婚カップルに船が沈没する時に生き残るコツを教える。
スミス船長は救援を求め続けていた二人の通信士フィリップスとブライドに、持ち場を離れるように命じる。デッキで演奏を続けていた楽師たちの最後の曲の演奏に、救命ボートに乗った人たちも耳を傾ける。
人々は、まだ沈んでいない船尾に上っていくか海に飛び込み始めるが、スミス船長は船の中に消えていく。スモーキング・ルームのアンドリュースも、タイタニック号と運命を共にすることを決めていた。
船の全ての電気が消え、デッキに残された人たちが各自の言語で神に祈った後、タイタニック号はすっかり水面下に消えていった。
救命ボートのアメリカ人女性、モリー・ブラウンの主張に従い、彼女のボートは海に投げ出された人の救助に向かった。ライトラーは、ひっくり返って海に浮かぶ折り畳み式ボートに泳ぎ着いて指揮をとる。すっかり酔っぱらったパン焼き主任ジョーヒンや、アイルランド人移民の青年や、ブライド通信士もその折り畳み式ボートに救われた。
SOSタイタニック/忘れえぬ夜の結末:夜が明ける
カルパチア号はタイタニック号があったはずの場所に到着した。カルパチア号の打ち上げた救難信号花火は遭難者たちを勇気づけ、燃やせるものを燃やして合図を送る。だが、凍える夜にボートの上で息絶える人もいた。
夜が明けて、カルパチア号の一室に生存者が皆集まり、牧師を囲んで犠牲者を追悼する礼拝が行われる。その最中、生き残った最も上級の船員であるライトラーは、カルパチア号の船長に呼び出されてデッキに上る。
船長は乗船したタイタニック号の生存者が705人であることを教える。1500人もの命が失われた歴史的な大惨事だった。
以上、映画「SOSタイタニック/忘れえぬ夜」のあらすじと結末でした。
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