愛の予感の紹介:2007年日本映画。スイスのロカルノ映画祭において、日本人監督としては37年ぶりの最高賞“金豹賞”に輝いたヒューマンドラマです。娘を殺人事件で失った男と加害者の母、決して癒えることのない二つの魂の交流を描きます。
監督:小林政広 出演者:小林政広(順一)、渡辺真起子(典子)ほか
映画「愛の予感」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「愛の予感」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「愛の予感」解説
この解説記事には映画「愛の予感」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
愛の予感のネタバレあらすじ:起
東京・ウォーターフロントに立ち並ぶ高層マンション群。そこに住む新聞社勤務の順一(小林政広)は数年前に妻を癌で亡くしてからは中学生の娘と二人暮しをしていました。そんなある日、事件が起きました。順一の娘が、学校の教室で同級生の女子生徒に刺殺されたのです。どうやらネット上のトラブルが原因のようでした。犯人は母・典子(渡辺真起子)と都営住宅で暮らす貧しい母子家庭でした。典子の元には連日マスコミが詰めかけ、執拗に娘がなぜ犯罪に手を染めたのか、親としての責任は…と激しい取材攻勢を受け、世間から激しいバッシングに晒されていました。一方、被害者となった順一の元にもマスコミが押し寄せました。順一はマスコミを前に、典子から何通もの謝罪の手紙を受け取ったものの全て捨てたと語りました。
愛の予感のネタバレあらすじ:承
事件から1年後。妻を失い、続いて娘までも失い、被害者ながらマスコミの晒し者とされ、すっかり生きる希望を失った順一は勤めていた新聞社を辞め、マンションを引き払い、全てを捨てて北海道苫小牧市勇払に流れ着きました。鉄工所に職を得た順一は、四畳半ほどの単身労働者用の民宿で半ば引きこもりのような生活を送り、毎朝の夜明けに起きて職場に向かい、溶鉱炉でひたすら汗を流し、帰宅すると日没とほぼ同時に眠りにつくという何の変哲も毎日を送っていました。時を同じくして、典子もまた東京から逃げるように離れ、住み込みで民宿の賄いの仕事をしながら身を隠すようにひっそりと生活していました。
愛の予感のネタバレあらすじ:転
順一は毎日、民宿の食堂で一人寂しく食事をし、典子の作ったおかずに手をつけることはなく卵かけごはんと味噌汁のみを食べていました。典子もまた近所のコンビニで買ったサンドイッチと厨房でのかき込み飯程度の質素な食事をしていました。順一は典子とは毎日顔を合わせるものの、二人は決して互いに気付く素振りを見せず、名を名乗ることも言葉を交わすことも視線を合わせることすらもしませんでした。それでも、順一は全ての責任を負って生きているかのような典子のことを次第に意識しだすようになっていきました。ある日、順一は近所のコンビニでプリペイド式の携帯電話を2台買い、うち1台をそっと厨房の典子に渡しました。しかし、突然のことに戸惑った典子は携帯を突き返し、追いかけてきた順一の頬を引っ叩いて徹底的に拒絶しました。しかし、この日を境に、互いに頑なに他者を排除して生きてきた二人の心情にも少しずつ変化の兆しが見え始めていました。
愛の予感の結末
ある日、今度は典子がコンビニで新たにプリペイド式携帯を2台購入、うち1台をこっそりと順一の部屋に置いておきました。しかし、戸惑った順一は携帯をゴミ箱に捨ててしまい、典子からの電話にも応じることはありませんでした。そんなある日、頑なに典子の作ったおかずを残していた順一が初めて典子の料理全てを完食したのです。典子もまた、コンビニ食ながらも少しづつきちんと食事を採るようになり、閉ざされていた二人の気持ちは次第に近づきつつありました。順一は典子への気持ちを固めていました。「僕はあなたのことを知っています。今の僕はあなたなしでは生きられない。でもあなたと一緒では生きていく資格がないんです。ならばぼくはあなたと…」
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