アキハバラ@DEEPの紹介:2006年日本映画。石田衣良の同名小説を原作に、2006年にテレビドラマ化された作品をキャスト・スタッフを一新して映画化した作品です。秋葉原を舞台に、オタクである主人公たちが検索エンジンを作り上げたことで利権を狙う巨大企業と対峙する様を描きます。
監督:源孝志 出演者:成宮寛貴(ページ)、忍成修吾(ボックス)、荒川良々(タイコ)、山田優(アキラ)、三浦春馬(イズム)、板谷由夏(ユイ)、佐々木蔵之介(中込威)、萩原聖人(遠坂直樹)、寺島しのぶ(渡会藤子)、今井朋彦(平井進之介)、松尾政寿(加藤則之)、ユセフ・ロットフィ(アジタ)ほか
映画「アキハバラ@DEEP」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アキハバラ@DEEP」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アキハバラ@DEEPの予告編 動画
映画「アキハバラ@DEEP」解説
この解説記事には映画「アキハバラ@DEEP」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アキハバラ@DEEPのネタバレあらすじ:起
Webプログラマーのページ(成宮寛貴)は25歳。この日は28歳のパソコン修理工・タイコ(荒川良々)、25歳のWebデザイナー・ボックス(忍成修吾)と共に深夜0時に待ち合わせの約束をしていました。
ページは夜の11時50分に電話を受けて待ち合わせ場所へ向かい、タイコやボックスと合流すると、IT企業の「デジタルキャピタル」(以下デジキャピ)本社に向かいました。三人が着いた時には既に大勢の行列ができており、程なくしてデジキャピCEOの中込威(佐々木蔵之介)が第二社長秘書にして中込の私設の親衛隊SS隊長でもある渡会藤子(寺島しのぶ)を伴って姿を現しました。
この日はデジキャピの新作ソフト「スウィンギング・ペンギン」リミテッド・バージョンの販売日であり、世界第7位の金持ちである中込を羨望の眼差しで見つめるページとタイコに対し、ボックスだけは中込のことを王様気取りだとして嫌っていました。
タイコには光の点滅を見ると失神してしまう持病がありました。販売記念イベントの光の点滅を見たタイコは失神してしまい、ページとボックスはタイコをグランドコスプレカフェ「あかねちん」に連れていきました。ステージにはメイド服に身を包んだ23歳の従業員・アキラ(山田優)が現れ、ボックスは人気投票ナンバーワンのアキラに対しても悪態をつきました。アキラはボックスに「締め落とすぞ」と脅しました。
翌日、ページ、ボックス、タイコはバイクでやってきたアキラと待ち合わせ場所で合流しました。そこに現れたのは、運転手付きの車でやって来た16歳の少年・イズム(三浦春馬)でした。イズムは飛び級でマサチューセッツ工科大学に入ったものの今は休学中のシステムエンジニアであり、イズムは生まれつき紫外線を浴びると皮下組織が破壊される病気を患っており、紫外線からの防護のために「機動戦士ガンダム」のアムロ・レイのノーマルスーツを着てヘルメットを被っているのです。
ページら5人の共通点は、全員がかつてカルト的な人気を誇っていた人生相談サイト「ユイのライフガード」のヘビーユーザーだということでした。このサイトの主催者はユイ(板谷由夏)という女性であり、イズムはこのサイトの管理人をしていました。今から3ヶ月ほど前、かねてから自傷癖のあったユイはドラッグの過剰摂取で死亡しており、その時にイズムがユイから預かっていた遺言が「変われる人間から、まず変わっていこう」というメッセージでした。遺言に即発されたページ、タイコ、ボックスは会社を設立することを思い立ち、イズムとアキラも加えてほしいと願い出たのです。
5人の新会社の事務所は、築40年、家賃6万4千円の潰れた酒屋跡の建物でした。5人はこの3ヶ月で開業資金の80万円を必死で貯め、インド人ジャンク屋のアジタ(ユセフ・ロットフィ)からパチモンのパソコンを購入しました。5人の新会社名は「アキハバラ@DEEP(アキハバラアットディープ)」と命名されました。
アキハバラ@DEEPのネタバレあらすじ:承
アキハバラ@DEEPは当初はアキラがメインのアイドルコンテンツを売りにしようと考えていましたが、それだけでは物足りないと感じたページは「ユイのライフガード」を復活させたいと考えました。他の4人もページの考えに賛同しました。
アキラはカフェに勤める一方、格闘家としての一面も持っていました。ある日、ページ、ボックス、タイコはアキラが出場する格闘技大会の観戦に出かけました。アキラは立ち技ならば東京で一番と称される程の実力者ですが、今回の対戦相手は柔道でオリンピックに出場した経験を持つ工藤(神取忍)という選手でした。
アキハバラ@DEEPの所属選手として出場したアキラは無差別級スペシャルマッチで工藤と対戦しましたが、かつて子供の時に義父から虐待を受けていた記憶がフラッシュバックしたアキラは工藤を飛び膝蹴りでKOすると、工藤が気絶しているのにも関わらず殴り続けました。
観客席には中込と渡会の姿もありました。実は渡会もこのファイトクラブの常連でかなりの実力者であり、元々は警視庁でNo.1の実力を誇る警護官だったのを中込にスカウトされたのです。試合終了後、中込はページらに声をかけ、デジキャピで発売する予定の格闘ゲームのイメージキャラクラーとしてアキラを起用したいと申し出てきました。アキラは条件としてポスターのキャッチコピーとデザインはアキハバラ@DEEPに担当させてほしいと願い出、中込は契約金500万円を提示しました。
アキハバラ@DEEPとデジキャピは契約を結び、アキラがイメージキャラクターとなった格闘ゲーム「ガールズ・バトル・パーク」は爆発的なヒットとなりました。中込はボーナスとしてアキハバラ@DEEPに現金と「ガンダム」のザクの人間サイズのフィギュアを支給しました。渡会は「飼い犬にエサなど与えない方がいい」と中込に進言しましたが、執行役員で秘書室長の平井進之介(今井朋彦)はそれよりも社内の不平分子を抑え込む方が先だと意見しました。
デジキャピは快進撃を続ける一方、ネットには中込を誹謗中傷する書き込みが溢れており、デジキャピに不当解雇された元社員たちが抗議のデモ活動を行っていました。デモ隊は「ダリット」と名乗り、全員が覆面を被っていましたが、中込や渡会らはその中心人物がかつてデジキャピの開発第4局の契約プログラマーだった加藤則之(松尾政寿)であることを突き止めていました。
その頃、アキハバラ@DEEPの面々は中込から支給されたボーナスで焼肉を食べに行きました。ページはイズムが作っていたユイの人工知能プログラムを応用した全く新しいサーチエンジンを作り、グーグルやヤフーに対抗したいと提案しました。それは使い込む程にエンジンが自動的に学習し、自分だけのカスタマイズができる進化型のサーチエンジンでした。5人はサーチエンジンの名を「クルーク」と名付け、イズムの陣頭指揮のもと早速プログラムの製作に取り掛かりました。
アキハバラ@DEEPのネタバレあらすじ:転
アキハバラ@DEEPの面々は「クルーク」に自分たちをモデルとした5種類の異なるキャラクターのAIを組み込み、多重人格の人工知能にしようと思いつきました。
物事を冷静に考えて吟味する知的な“ラウンダー”はイズムをモデルとし、細かいことに気を配る“ネイバー”はタイコをモデルとし、天邪鬼で常に反対意見を言いたがる“オポーザー”はボックスをモデルとし、失敗を恐れずに発想をアグレッシブに飛躍させる“ジャンパー”はアキラをモデルとし、そしてそれらのまとめ役である“コンストラクター”はページをモデルとし、それらが連動して検索するシステムを構築しようというものでした。
デジキャピの執行役員でチーフクリエイターの遠阪直樹(萩原聖人)は開発途中の「クルーク」の話題を嗅ぎ付け、役員会議で中込に報告しました。他の執行役員も「クルーク」のことを知っており、興味を示した中込はアキハバラ@DEEPの面々を自宅に招くことにしました。
デジキャピ本社ビルの上階にある中込の自宅にはページ、タイコ、ボックスが行くことにしました。中込は3人に、アキハバラ@DEEPに出資するか会社ごと買い取りたいと言い出し、20億円の小切手をちらつかせました。タイコとボックスは話に乗りかけましたが、「クルーク」を無料で公開したいと考えているページは中込が買い取ればユーザーから金を取るのではないかと危惧しました。
中込は海賊版対策として自分が特許を取って「クルーク」を守ってやると告げ、3人を秘密の部屋に案内しました。そこでは中込が1週間交代のアルバイトと称して拉致した少女が監禁されていました。少女は薬を打たれて虚ろな表情をしていましたが、中込は「僕としては、もっと壊れていく過程を見たい」と嬉しそうに語り、それを見たボックスは思わず嘔吐してしまいました。
ページら3人は事務所でアキラやイズムと合流し、デジキャピのオファーについて話し合いを持ちました。かつて天才ハッカーだったページはデジキャピの裏の顔を知っており、デジキャピはかねてからピラミッド構造の支配者階級制度を敷いており、社員の90%は人間としての扱いすらされない契約社員という超ブラック企業であることを知っていました。ページはデジキャピを「ネット社会の多様性を脅かす権力」と断じ、5人はデジキャピからのオファーを断ることを決断しました。
そんな時、5人は中込からのメールで「ガールズ・バトル・パーク」大ヒット祝いのパーティーに招待されました。中込は出席者を前に、アキハバラ@DEEPとの独占業務提携を組んだことを一方的に発表しました。ページはマイクを手にすると、「僕らが作りたいのは無料で自由に使えるコンテンツです」と発言し、デジキャピとは手を組まないと宣言しました。
アキハバラ@DEEPの結末
中込は遂に本性を現しました。中込は平井らに指示してアキハバラ@DEEPの事務所や5人の自宅に侵入され、「クルーク」のデータが入ったパソコンやサーバを盗み出しました。警察は他にも11件もの同様の事件が発生しているとして5人の訴えを軽くあしらいました。その11件も平井らがカモフラージュとして起こした事件でした。更に平井らはデモ主催者の加藤を襲撃して徹底的に痛めつけました。
中込はテレビ番組に出演し、デジキャピの次なる主力コンテンツとして「クルーク」の発売を発表しました。5人は一連の事件が全て中込の仕業だとわかっていても何もできず、泣き寝入りするしかありませんでした。そんな時、ページは街中で遠阪に声を掛けられました。実は遠坂はページがハッカーだった時の仲間であり、遠阪はデジキャピにはハッキングは通用しないものの「クルーク」を取り戻す方法があることを示唆しました。
遠坂はページとアキラを、脳挫傷で昏睡状態のままとなっている加藤の病室に案内しました。遠阪はデジキャピ本社の22階のA区画に「クルーク」のデータがあることをページらに教え、自分のIDカードと社内の見取り図を提供しました。しかし、このA区画は非情に厳重な警備が敷かれているエリアでした。
遠坂の行動は平井らに把握されており、遠坂は襲撃されて暴行を受けました。デジキャピの魔の手は遂にアキハバラ@DEEPにまで及び、イズムは捕らえられて身ぐるみを剥がされ、パンツ1丁で直射日光の当たる場所に放置されました。潔癖症のボックスは川に突き落とされ、ページとタイコは拉致されて拷問を受けました。アキラは渡会とのマッチを仕組まれ、リング上で痛めつけられました。
1ヶ月後。ページら5人は奇跡的に回復した加藤と手を組み、デジキャピへのリベンジを開始しました。ページ、タイコ、ボックス、アキラはヘルメットと防護服で身を固め、イズムはアムロのノーマルスーツをまといました。加藤は大勢のデモ隊を引き連れてデジキャピ社内に乗り込み、警備員らを引き付けている間に5人は社内へと乗り込みました。
アキラやボックスらが警備員やSS隊員らと戦っている間に、ページはA区画に潜入しました。しかし、データは既に持ち去られた後であり、ページは階上の中込の自宅に乗り込むと直接「クルーク」のデータを取り戻しました。渡会は契約を打ち切ったとしてページらを逃がすことにし、ついでに中込に監禁されている少女も連れて行くよう命じました。ページら5人は加藤らデモ隊の前に姿を現し、中込の頭から剥ぎ取ったカツラを高く掲げて勝利を宣言しました。
以上、映画「アキハバラ@DEEP」のあらすじと結末でした。
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