秋津温泉の紹介:1962年日本映画。藤原審爾の自伝的小説の映画化で、温泉場を舞台に戦時中から戦後にかけての一組の男女の交情を描く。キネマ旬報ベストテンでは10位に入選。岡田茉莉子の「映画出演百本記念作品」として製作。彼女が企画・衣装も担当している。のちに夫となる吉田喜重監督にとっても出世作となった。
監督:吉田喜重 出演:岡田茉莉子(新子)、長門裕之(河本周作)、日高澄子(お民)、宇野重吉(松宮謙吉)
映画「秋津温泉」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「秋津温泉」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「秋津温泉」解説
この解説記事には映画「秋津温泉」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
秋津温泉のネタバレあらすじ:起
戦争末期、東京の大学を出た河本周作は叔母のいる故郷へ。しかし、空襲のため叔母の家を含め周辺の人家は全焼していました。当てもなく列車に乗ると、ある女性が余った握り飯をくれます。彼女が秋津温泉で働いていると聞き、河本は彼女についてその勤務先の宿へ。出征する兵隊のために宿は満員で、河本は布団置き場に通されます。そこへ姿を見せたのが若く美しい娘。酔っ払った将校に追われ、逃げてきたのです。横浜の女学校を出たという彼女は、宿の女将の一人娘・新子でした。やがて、彼女の目の前で河本は血を吐き、医者の診察を受けることに。その結果、結核に罹っている事が判明、その宿の離れに逗留することになります。
秋津温泉のネタバレあらすじ:承
終戦を迎えるものの、河本の病は重く、そのまま静養を続けます。その世話をする新子とはいつの間にか相思相愛の仲に。しかし体の関係はなく、河本がヤケになって心中しようと言い出しても、彼女は子供っぽい反応を見せるだけです。新子に黙って秋津温泉を離れ、ある地方都市に居を構えた河本は小説家の卵となり、先輩作家の妹と結婚。しかしスランプに苦しんだ彼は3年ぶりに秋津温泉へ。久しぶりに新子と会いますが、彼女の母は死に、彼女が女将となっています。
秋津温泉のネタバレあらすじ:転
まだ河本に未練のある新子は彼の結婚を知って心が乱れます。河本は新子に結婚することを勧め、帰宅。新子に同情する女中が河本に手紙を書き、河本の妻は新子の存在に気づくことになります。嫉妬する妻を尻目に再び河本は秋津温泉へ。それまで体の関係のなかった2人ですが、新子が酔っ払ったのを契機に結ばれます。河本と新子は一緒に秋津温泉を離れ、桜が満開の街を歩くのです。思いが深まった新子は河本との別れを惜しみますが、彼は就職のために東京へ。河本は他の女性との関係を持ちながら、勤め人としてダラダラと日々を過ごします。
秋津温泉の結末
やがて新子は旅館を廃業、建物を銀行の寮に改築することに。工事が進むところへまた河本が訪れます。結婚を諦め、旅館経営という目標も失った新子は心中を持ちかけますが、すっかり俗物の正体を表した河本はそれを拒否。新子は彼を見送った後、1人手首を切ります。河本は気がとがめて引き返すものの、もう間に合いませんでした。「なぜ死ななきゃならないんだ?」そうつぶやいた河本は新子の遺体を抱いて河原を歩いてゆくのです。
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