スローイング・ダウン ファストファッションの紹介:2016年アメリカ, イギリス, フランス映画。ファッション業界を席巻するファストファッション。その背景に存在する問題と原因、未来に向けての解決方法を模索する。
監督:ベン・エイカーズ 出演者:アレックス・ジェームズ、ほか
映画「スローイング・ダウン ファストファッション」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スローイング・ダウン ファストファッション」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スローイング・ダウン ファストファッションの予告編 動画
映画「スローイング・ダウン ファストファッション」解説
この解説記事には映画「スローイング・ダウン ファストファッション」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スローイング・ダウン ファストファッションのネタバレあらすじ:起・消費されるファッション
英国では毎年100万トンの衣料が廃棄、その5割は埋め立て地へ送られる。
ミュージシャンのアレックス・ジェームズは、10年前から家族と田舎に移り、静かな生活を送る事で環境を考えるようになった。
産業や農業と共に、現在問題になっている衣料。ワンシーズンで使い捨てにされる衣料は、その産地や原料、使用後の行方などが知られていない。
バンドでの活動が最盛期だった頃、音楽業界は浪費が多く、靴下や下着は毎日使い捨てられていた。結婚を経て、アレックスは改めて大量の使い捨て衣料の行方を考えるようになった。埋め立て地に運ばれる衣料の8割は石油由来の素材で土に帰らず、工業、酪農に次いでファッション産業の汚染度は高い。
そこでアレックスは業界の裏側を探り、持続可能な衣料を選ぶコツを知ろうと、ニューヨークへ。
スローイング・ダウン ファストファッションのネタバレあらすじ:承・一時的満足と無関心
ファッション産業のグローバル化が進み、90年代には50%が国産だった衣料が、今は2%で、どこで作られているかもわからない。一緒に買い物へ行ってみると、安い服の原産国は主にアジア。化学繊維が使われ、多くの国にへ輸出されている。安い人件費での大量生産を招いているのは、消費者の飽きやすさだった。
また、2013年にはバングラデシュのラバプラザ縫製工場が倒壊。多くの死傷者を出し、劣悪な労働条件が浮き彫りになった。
ファストファッションとは、流行を取り入れて安く速く衣料を提供したことに始まる。流行のサイクルが月ごとになり、品質が落ちた。衣料を大切にする価値観は失われ、頻繁な買い換えや、衝動買いをする人が増えた。
ファストファッション従事者は、どちらが悪いとも言えず、要はバランスが大事だと語る。しかし、同じ服を繰り返し着るのはダサいと言う価値観や、セレブが同じ服を二回着てしまうと、コメントで指摘されるといった現象が生まれた。
ファストファッションは衣料業界を様変わりさせた。しかし、合成繊維を多用した品ぞろえは環境を意識しているのだろうか。
もちろん研究が進み、ペットボトルを再利用したジーンズが生まれるなど、合成繊維のすべてが悪ではない。
スローイング・ダウン ファストファッションのネタバレあらすじ:転・天然素材の問題とウールの見直し
20世紀の合成繊維の発明は人口爆発と同時に起きた。当時、環境への影響は考えられなかった。また天然繊維にも、環境破壊や農薬、農家の待遇などの問題がある。
チャールズ皇太子がパトロンを務める『キャンペーン・フォー・ウール』は、衣料が環境に与える影響を考えている。昔のウールのイメージ、チクチクして洗濯中に縮む。しかし今ではスーツや宇宙の素材に使われている。
チャールズ皇太子は、70年代に仕立てられたスーツを今でも着ている。高級ウールメーカーの品揃えは、伝統的な物からモダン物まで、ウールは英国の歴史でもある。貴族院の羊毛を椅子に使った。
オーストリアへ渡った羊の毛は、加工のためにロンドンに運ばれ、たくさんの工場が作られたが、ウールの人気下落、価格高騰で姿を消し、残された三軒のみが大繁盛している。
ウールを素材として、デザイナーに再認識してもらう試みが成功。ファッションショーやショップでウールが増えた。
ヴィヴィアン・ウエストウッドもウールのデザイナーとして認められる前、ニットを再導入し取り組んで来た。現在ウールの人気は高く、羊毛業者には適切な賃金が支払われている。
スローイング・ダウン ファストファッションの結末:これからの展望
ファストファッションは、業界の悪い面が表面化したもの。賢く買い物をすれば、すぐ捨てる服ではなく、長く使う服を買う事に価値がある。
安い生地の共通点は、工場で低コストで製造され、低コストの商品に仕上がる。よじれたり、形が崩れてしまう事で天然素材への関心が生まれた。
マック・ビショップの作った、毎日着られる、洗濯なしクリーニングなし、しわも臭いも付きにくいウールシャツは、先入観を払拭した。また別のブランドでは、セーターが作られた。
また、新しい服でなくとも古着で一味違う自分のスタイルを見つけるのも一つの方法。チャリティショップに偏見を持つ人もいるが、服の再利用は解決策の一つ。
顧客の根底には特別な一点を求める傾向が確実にあり、今そのバランスが変わり始めている。ファストファッションをスローダウンさせるには、服に疑問を持ち、ラベルを確かめ、素材、産地、誰が作ったか知り、使用後どこに行くのも考え、新旧問わず質のいいものに投資するのが大切だと考える。
以上、映画「スローイング・ダウン ファストファッション」のあらすじと結末でした。
スローイング・ダウン ファストファッションのレビュー・考察:古きに学ぶ
イギリスで作られたドキュメンタリーという特性もあるだろう、話の中で品質の良い物の例として挙げられるのは、ウール使ったスーツやセーターを見直す所に注目点が行く。日本だとどうだろうか。和装のリサイクルやおさがりはよくあることで、成人式の時期などはママ振りという言葉も聞く。案外未来は明るいように私は思う。
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