阿弥陀堂だよりの紹介:2002年日本映画。南木佳士の同名小説を映画化したヒューマンドラマで、パニック障害を患った妻の療養のため夫の故郷へ帰郷した夫婦と、地元の阿弥陀堂を守り続ける老婆との心の交流を、四季折々の大自然の描写と共に描きあげた作品です。
監督:小泉堯史 出演者:寺尾聰(上田孝夫)、樋口可南子(上田美智子)、田村高廣(幸田重長)、香川京子(幸田ヨネ)、井川比佐志(小百合の父)、内藤安彦(村長)、塩屋洋子(田辺)、吉岡秀隆(中村医師)、小西真奈美(小百合)、北林谷栄(おうめ婆さん)ほか
映画「阿弥陀堂だより」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「阿弥陀堂だより」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
阿弥陀堂だよりの予告編 動画
映画「阿弥陀堂だより」解説
この解説記事には映画「阿弥陀堂だより」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
阿弥陀堂だよりのネタバレあらすじ:起
小説家の上田孝夫(寺尾聰)はパニック障害を患った妻で医師の美智子(樋口可南子)の療養のため、故郷である信州・谷中村へと引っ越しました。村には死者を祀る阿弥陀堂があり、上田夫婦は阿弥陀堂の主であるおうめ婆さん(北林谷栄)の元に引っ越しの挨拶に訪れました。御年96歳になるおうめ婆さんは村の広報に「阿弥陀堂だより」というコラムを掲載していました。
村には医者がいなかったことから、美智子はパニック障害の発作を抑えるために週3日・午前中だけの条件付きで診療所を開くことにしました。豊かな大自然のもとで村への暮らしに馴染んでいった上田夫婦は昨年に体調を崩したというおうめ婆さんのことが気がかりになり、阿弥陀堂に彼女を訪ねては血圧を測り、堂にトイレがなくて不便にしている婆さんのためにトイレを作ってあげることにしました。帰り道、夫婦は近所の神社で遊んでいた子供たちと遊んであげましたが、子供のいない夫婦は自然と泣けて仕方がありませんでした。
阿弥陀堂だよりのネタバレあらすじ:承
翌日、トイレを作ってあげるために阿弥陀堂を訪ねた孝夫は、おうめ婆さんの筆代わりとなっている、病により声を失った女性・小百合(小西真奈美)と出会い、彼女の紡ぐ美しい文字に心を打たれました。
夫婦は村の人々と積極的に交流を持ち、田植えを手伝い、子供たちと戯れ、川釣りを楽しみました。穏やかな暮らしの中で、いつしか美智子も発作はほぼ収まり、睡眠薬なしで眠れるようになるなど次第に体調も回復していき、夫婦は改めてこの村に来て良かったと実感しました。お盆の時期が近づき、村への定着を決意した夫婦は新しい仏壇を購入、自分たちはこの村で死ぬまで暮らし、いつかご先祖様と呼ばれるようになろうと考えました。一方で美智子の診療所も順調に軌道により、高齢者が多い村にとってはかけがえのない存在となっていきました。美智子の確かな腕前を高く評価した村長(内藤安彦)は診療所をできれば毎日開いてほしいと考えていましたが、美智子は頑なに拒み続けていました。
阿弥陀堂だよりのネタバレあらすじ:転
お盆を過ぎた頃、小百合を診察した美智子は、かつて彼女から声を奪った喉の腫瘍が再発して転移している可能性を見つけてしまいます。小百合は総合病院で精密検査を受けることになり、かつて大学病院時代に同じような症状を診たことのある美智子が彼女に帯同することになりました。孝夫は小百合のためにおうめ婆さんの声を録音して病院へ持って行くことを思いつきました。一方、小百合を心配するおうめ婆さんは阿弥陀様に祈りを捧げました。
小百合の病状は回復するどころか悪化の一途を辿り、美智子はパニック障害に至った経緯を振り返りながらも懸命に小百合を助けようと尽力しました。実は、美智子はこれまで300人を超える患者の最期を目の当たりにしてきており、遂に心が折れてしまったのと妊娠していた我が子を死なせてしまったことへの後悔からパニック障害を発症してしまっていたのです。しかし、おうめ婆さんや村人たちとの触れ合いで“死”への概念を改めて見つめなおした結果、遂にパニック障害を克服することができたのです。
阿弥陀堂だよりの結末
懸命の治療の甲斐あって、小百合の病状は何とか峠を越えることができました。一安心した美智子は村に戻り、その後夫婦揃っておうめ婆さんに小百合の手術が成功したことを報告しました。おうめ婆さんは孝夫に美智子を大事にするよう言いました。
孝夫のかつての恩師である幸田重長(田村高廣)は末期の胃がんを患っていましたが、彼は病になったことを嘆くよりも今を大切にして日々やりたいことをやって悠々自適に過ごしていました。美智子もそんな幸田の姿勢に共感していましたが、やがて幸田の体調は悪化の一途を辿っていきました。そんな最中、小百合の父である村の助役(井川比佐志)が上田夫婦の元を訪れ、村に新たな医療施設を設けることになったため美智子に所長になってほしいとオファーしてきました。すっかり自信を取り戻していた美智子は前向きに考えることにしました。その後、幸田の容態が急変、孝夫と美智子は幸田の親族と共にその最期を看取りました。
冬の訪れと共に退院した小百合が村に舞い戻り、おうめ婆さんは満面の笑みを浮かべました。やがて美智子のお腹には新たな命が宿っていることがわかり、雪解けの日、孝夫と美智子、小百合、おうめ婆さんは記念撮影に挑みました。
以上、映画「阿弥陀堂だより」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する