理想の結婚の紹介:1999年イギリス映画。オスカー・ワイルドの戯曲「理想の夫」の数度目の映画化作品。嘘を嫌う清廉潔白な女性が夫の旧悪を知り、周囲を巻き込んで苦悩するコメディ・ドラマ。新進気鋭の政治家ロバート・チルターンとその妻ガートルードは誰もが認める理想的な夫婦。しかしある日、ロバートの過去の罪を知るチーヴリー夫人が現れた。彼女はロバートを強迫し、そのうえ全てをガートルードに暴露してしまう。「理想の夫」ではなくなったロバートにガートルードはショックを受けるが、友人アーサー・ゴーリング卿の説得によって頑固な考えを改めていくのだった。
監督:オリヴァー・パーカー 出演者:ケイト・ブランシェット(ガートルード・チルターン)、ミニー・ドライヴァー(メイベル・チルターン)、ルパート・エヴェレット(アーサー・ゴーリング卿)、ジュリアン・ムーア(ローラ・チーヴリー夫人)、ジェレミー・ノーサム(ロバート・チルターン)ほか
映画「理想の結婚」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「理想の結婚」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
理想の結婚の予告編 動画
映画「理想の結婚」解説
この解説記事には映画「理想の結婚」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
理想の結婚のネタバレあらすじ:旧悪を知る者
舞台は1895年のイギリス、ロンドン。新進気鋭の議員ロバート・チルターンは、社交界の注目の的となるパーティーを催そうとしていました。彼は清廉潔白な政治家として知られ、多くの人が賞賛しています。
更にその妻ガートルードは、政界の婦人勢力の先頭で活躍中の優秀な女性でした。彼女は何より嘘や不正を嫌い、そういった誘惑とは無縁の人間です。2人は互いに心から愛し合い、イギリス公人の模範であると誰もが認めるところでした。
パーティーにはロバートの妹メイベルも出席しています。彼女は知人男性から日常的にプロポーズされていましたが、耳を傾けたことはありません。他に意中の相手がいるのです。それが社交界きってのプレイボーイで、チルターン夫妻の友人アーサー・ゴーリング卿でした。
そんな中、パーティーに招かれざる客がやって来ます。ウィーン上流階級の顔、ローラ・チーヴリー夫人でした。彼女には悪い噂が絶えず、常にスキャンダルで賑わせているような人物です。ガートルードの同窓生ですが、互いに嫌い合っていました。
チーヴリー夫人はロバートに近付き、アルゼンチンの運河計画の後押しをして欲しいと言い出します。彼女はアルゼンチン運河会社に多額の投資をしていました。ロバートは反対の立場を取っているため断ろうとすると、チーヴリー夫人は彼が若い頃に犯した罪を知っていると話します。その証拠となる手紙も持っていると笑うチーヴリー夫人。彼女は運河計画を公的に支援してくれれば、見返りとして手紙を渡すと約束して去って行きました。突然の危機に、ロバートは激しく動揺します。
理想の結婚のネタバレあらすじ:ロバートの過去
ロバートの異変に気付いたガートルードは、原因がチーヴリー夫人にあると看破しました。そこで彼女は、ロバートに改めて運河計画に反対する旨の手紙を書かせ、それをホテルに滞在中のチーヴリー夫人に届けさせます。追い詰められたロバートはアーサーに全てを明かしました。
閣僚の秘書を務めていた若い頃、ロバートはアルンハイム男爵という人物に唆され、内閣の機密であるスエズ運河への出資に関する情報を手紙で渡してしまったのです。
ロバートは男爵から報酬を受け、議会に入ることが出来ました。アルンハイム男爵が死亡し安心していたロバートでしたが、チーヴリー夫人は彼の愛人だったようです。アーサーはガートルードに打ち明けるべきだと言いますが、ロバートは首を振りました。清廉潔白で何より嘘を嫌うガートルードは、ロバートの旧悪を知れば決して許してくれはしないでしょう。
ところが翌日、ロバートの手紙を受け取ったチーヴリー夫人がガートルードを訪ね、全てを暴露してしまいました。ちょうどガートルードの部屋へやって来たロバートは、チーヴリー夫人の言葉を否定することも出来ずただ彼女を追い返すしか出来ません。
ガートルードは弁解しようとするロバートを強く拒絶しました。彼女が愛した、高貴で純粋な存在だった「理想の夫」はもういません。ロバートは深く傷つき、屋敷を出て行きました。
理想の結婚のネタバレあらすじ:混乱の夜
夜。アーサーの屋敷に父キャヴァーシャム卿がやって来ました。彼はいつまで経っても結婚しない息子に説教をしに来たようです。嫌々部屋に通すと、次にやって来たのはロバートでした。彼のただならぬ様子に、アーサーはキャヴァーシャム卿とは違う部屋に彼を通します。
立て続けにガートルードから手紙が届き、すぐに伺いたい、会いたいと悲痛な文章が綴られていました。全てを察したロバートは、使用人にこれからとある婦人が来るので客間に通しておけと言い、キャヴァーシャム卿の相手をしに向かいます。直後やって来たのは、なんとチーヴリー夫人でした。使用人は彼女をアーサーの客だと勘違いし、客間に通してしまいます。
その後やって来たガートルードは追い返されてしまいました。チーヴリー夫人は客間に放置されていた手紙を見て事態を把握します。アーサーはやっとキャヴァーシャム卿を帰し、次にロバートのところへ向かいました。ロバートは世界で最も大切なガートルードを失ったと項垂れています。
誠心誠意過去を悔いれば受け入れてくれるだろうと励ますアーサー。すると隣の客間で、チーヴリー夫人が物音を立ててしまいます。不思議に思ったロバートがアーサーの制止も聞かずドアを開けると、立っていたのはチーヴリー夫人でした。ロバートはアーサーがチーヴリー夫人と通じていたのだと勘違いし、裏切り者と罵倒します。
驚いたのはアーサーも同じでしたが、怒り心頭のロバートは出て行ってしまいました。余裕綽々で笑うチーヴリー夫人は、とんでもない取引をアーサーに持ちかけます。証拠の手紙を渡すのと引き換えに、自分と結婚しろと言うのです。実は2人、かつて恋人関係にありました。アーサーは呆れたように笑い、「愛は買えない 与えるものだ」と断ります。するとチーヴリー夫人は、「“自由”を賭けない?」と言い出しました。
賭けの内容は次の通り。今夜の下院でロバートが自分の意志を貫き通せば、手紙はアーサーに渡す。逆にロバートがチーヴリー夫人に屈し意見を変えたなら、アーサーは自分と結婚する。親友を信じるアーサーは、不安を感じつつも受けることにします。
理想の結婚のネタバレあらすじ:勝負の下院
その頃、ガートルードは展覧会の会場へ足を向けていました。アーサーは本来ならメイベルと展覧会へ来ている予定だったからです。しかしアーサーの姿はなく、メイベルは待ちぼうけを食らっていました。
ガートルードはメイベルに事情を明かし、ロバートのしたことは許せないと話します。しかし同時に、彼を深く愛しているのだとも話しました。メイベルは、一緒に下院へ行ってロバートの演説を聞こうと持ちかけます。
やがて勝負の下院が始まりました。傍聴席にはチーヴリー夫人の姿があり、遅れてガートルードとメイベル、最後にアーサーがやって来ます。指名され立ち上がったロバートは、改めて運河計画に反対する演説を繰り広げました。彼の熱弁に万雷の拍手が送られますが、ロバートは暗い表情を隠せません。
チーヴリー夫人は大人しく証拠となる手紙をアーサーに渡しました。しかしただで引き下がる彼女ではありません。実はアーサーの客間にあったガートルードの手紙を盗んでいたのです。恋文のようにも見えるその手紙を、彼女は浮気の証拠としてロバートの仕事場に送っていました。
理想の結婚の結末:大団円
翌日。アーサーはガートルードとメイベルを訪ね、チーヴリー夫人から受け取った手紙を見せました。ガートルードは安堵しますが、そこにチーヴリー夫人の策略に嵌ったロバートが怒り狂って現れます。一気に緊張が走ったその場を救ったのはメイベルでした。彼女はガートルードがロバートに書いた手紙を受け取り、展覧会で会う予定だったアーサーに預けるつもりだったと嘘をつきます。しかしアーサーが現れなかったため、今朝ロバートの仕事場にアーサー宛の封筒のまま届けてしまったのだと。
すっかり騙されたロバートは喜び、夫妻は抱き合って仲直りをします。更にアーサーが証拠の手紙を出したことで、ロバートは有頂天になりました。そこへキャヴァーシャム卿がやって来て、ロバートに首相から入閣の打診があったと知らせます。しかしロバートは入閣を辞退し、政界を引退すると告げました。ガートルードもその考えを支持します。
アーサーはこっそりガートルードに詰め寄り、ロバートを苦しめるなと説教しました。完璧ではない人間ほど愛が必要だと訴え、不意にキスをします。反省したガートルードは、ロバートを心から許しました。アーサーはメイベルに求婚し、メイベルも喜んで受け入れます。
ロバートは入閣の決意をしましたが、アーサーとメイベルの結婚だけは了承出来ないと言い出しました。彼は未だにチーヴリー夫人とのことを誤解しているのです。そこで声を上げたのはガートルードです。彼女は昨夜の真実を全てロバートに話しました。「本当は私が…嘘をついたの」と必死の思いで口にするガートルード。清廉潔白で嘘が大嫌いな彼女の告白に、ロバートは心底驚きます。
アーサーが「ブラボー」と拍手を送ると、その場は爆笑に包まれました。その後アーサーとメイベルは無事結婚式を挙げ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「理想の結婚」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する