有りがたうさんの紹介:1936年日本映画。道を譲ってくれてみんなに「ありがとう」を言う律儀なバスの運転手は、みんなから「有りがとうさん」と呼ばれて慕われていました。ある日、若い娘が都会へ売られに行くために乗ってきます。いろいろな乗客が乗り降りする中で、有りがとうさんと娘は除々に距離を縮めていくのでした。
監督:清水宏 出演者:有りがとうさん(上原謙)、娘(築地まゆみ)、母親(二葉かほる)、黒襟の女(桑野通子)ほか
映画「有りがたうさん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「有りがたうさん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「有りがたうさん」解説
この解説記事には映画「有りがたうさん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
有りがたうさんのネタバレあらすじ:起
気のいい乗り合いバスの運転手は、道を譲ってくれた人や車に必ず律儀にお礼を言うので、みんなから「有りがとうさん」と呼ばれて親しまれています。ある停留所で一服つけていると、若い娘と母親がバスに乗る支度をしていました。二人の表情は暗く悲しげで、話によると生活苦のために娘を働きに出さなければならないというのです。しかも、峠を二つも超えた先の都会へまで行くというのでした。停留所のおばさんはしきりに「可哀想にねえ」と同情しています。
有りがたうさんのネタバレあらすじ:承
さて、バスが出発する時間になりました。いろいろな人が乗り込んできます。有りがとうさんは老いた母親を気遣って「前へお乗りよ、その方が揺れないんだよ。なにしろ道のりが遠いからねえ」と声をかけます。親子は喜んで前の席へ移ろうとしますが、粋な感じの黒襟の女がすっと先に座ってしまったのでした。 狭い車内では客同士がいろいろと話しています。娘は貧乏ゆえ都会に出されるのを恥ずかしがって、ほとんど口を聞きません。途中で知り合いに会って、いろいろと尋ねられた母親が答えに窮しているのをみて「今度誰かに尋ねられたら、東京の親戚の家へ行くといってね」とうつむきがちにお願いします。その様子を有りがとうさんは黙ってみていました。
有りがたうさんのネタバレあらすじ:転
途中でぽつぽつと人が降りていき、また何人か乗っていきます。やっと一つ峠を超えました。見晴らしのいい道を走りながら、バスはどんどん進みます。途中の停留所では、黒襟の女が有りがとうさんに親しげに話しかけています。親子はそこでも東京観光帰りの知り合いと出くわし、母親が今度ははっきりと「親戚の家に行く」と伝えます。知り合いに「いいわねえ。楽しんでらっしゃい」と言われると、娘は悲しげな表情でうつむくのでした。 有りがとうさんは、道で会った人たちの言付けまで引き受ける人の良さです。そればかりか、後ろにくっついて乗ってくる学生たちの事も黙認してあげます。都会へ向かうバスですから、特別な買い物まで引き受けてやる善良っぷりなのでした。
有りがたうさんの結末
都会が近づいてくると、娘はこらえきれずに泣き出してしまいます。有りがとうさんも始終彼女の事を気にかけています。途中、気を取られすぎてあわやハンドルを切り損ねたほどでした。 乗客のみんなが寝てしまった中で、娘がおずおずと前へでてきて有りがとうさんに話しかけます。道中休憩を挟んだ時にも、有りがとうさんと娘はぽつりぽつりと言葉をかわしました。「有りがとうさんにも手紙を出していい?」と問うと「もちろんだよ。返事を書くよ」と答えます。その様子をみていた黒襟の女は自分の気持ちはさておいて、二人の背中の後押しをしてやろうと気になります。都会へ売られたらもう当分会えないよ、母さんも悲しむだろうねえ…とそれとなく有りがとうさんを促してやるのでした。 さあ、もう終点につくという日。天気は良好。有りがとうさんは娘さんを貰い受ける事にしました。親子と有りがとうさんは笑顔で元の道を帰っていくのでした。
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