ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来るの紹介:2014年オランダ映画。世界を巡るオランダ王室御用達のオーケストラ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団。クラシックとは何か、音楽とは何か、彼らの自由な活動と共に見つめる。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団や、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と肩を並べる管弦楽団の、創立125周年記念である2013年に行われたワールドツアーの様子を映し出す。
監督:エディ・ホニグマン 出演:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
映画「ロイヤル・コンセルトヘボウ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ロイヤル・コンセルトヘボウ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ロイヤル・コンセルトヘボウの予告編 動画
映画「ロイヤル・コンセルトヘボウ」解説
この解説記事には映画「ロイヤル・コンセルトヘボウ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ロイヤル・コンセルトヘボウのネタバレあらすじ:世界に羽ばたくオーケストラ、南米にて
オランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は、世界中で公演を行っている。飛行機での移動の際は、貨物コンテナ内で楽器が冷えてしまわないように、断熱ケースに入れて運ぶ。また現地入りしてすぐにゲネプロに入る。
家族のいる団員は、パソコンなどを使って、家族とのコミュニケーションも欠かさない。様々なオリジンを持つ団員がおり、公演先のすぐ近くに家族の故郷がある者もいた。
ある町のタクシー運転手は、優雅さを失い堕落しそうな時、クラシックは心を満たし守ってくれる。クラシックは人生の相棒、一人ですごす時間をいやされると言って、タクシーの中でクラシックを聴く。
演奏者の趣味もそれぞれ。サッカー好きもいれば、普段はクラシック音楽を聴かずアイルランド民謡などの民族音楽を好む奏者もいた。
ブエノスアイレスを発つ前に、二人のバイオリン奏者は、公演に来られなかったショコラティエを経営する友人を訪ね、店先でバッハのバイオリンとオーボエのための協奏曲の二台バイオリン版を演奏した。
音楽を作るという行為は生命の営み。音楽家でなくとも楽器を持って孤島へ行けば必ず音楽を本能の赴くままに奏でるだろうと語るフルート奏者は、フルートの音を生かす音楽を世に授けてくれたバッハを敬愛し、バッハの音楽の無い人生なんてありえないというほどのバッハ好きだが、聞くジャンルにはこだわらない。
ロイヤル。コンセルトヘボウ管弦楽団は、アムステルダムの野外コンサートのバックで演奏することもあった。
ロイヤル・コンセルトヘボウのネタバレあらすじ:南アフリカにて
到着すると、ユースの楽団に歓迎される団員達。
子供たちを呼んだコンサートではオーケストラは家族のようなもので、四つのグループ、弦楽器・木管・金管・打楽器、と指揮者を説明し、指揮棒をハリーポッターの魔法の杖に例えて説明をした。
ユース楽団に所属する姉妹は、この町の治安の悪さを嫌っている。彼女達にとって、楽器は心の支えであり、弾かない時でも、音楽は自分の世界にいられる心のよりどころでもある姉妹は将来を見据えて、それぞれ気象学者、法律家になるという夢を持っている。
ある男性が、バイオリンに興味を持った時、南アフリカには人種差別があり、白人の演奏家にはレッスンを断られ、許されたとしても、裏口から使用人として入って来てと言う人ばかりだったそれでも世間に噂は流れてしまい、レッスンを辞めざるを得ない事があった。
しかし、ユダヤ人の教授は自分達も差別された過去があることから、表から出入りさせ、レッスン代は奨学金をあて、支援団体は多くを学びなさいと励まされ、今では子供たちのオーケストラを主宰ししている。
ロイヤル・コンセルトヘボウのネタバレあらすじ:サンクト・ペテルブルグにて
人生の一曲を選ぶとしたらという質問に、ショスタコーヴィチの交響曲第10番を上げたコントラバス奏者は、コントラバスの旋律で始まるそれを初めて演奏した時の衝撃を語る。ベースラインを書慣れることの多いコントラバスが、旋律を奏でる出だしの30秒は至福の時。この曲は、スターリンの恐怖政治を表した曲とも言われ、ショスタコーヴィチはいつでも逃げられるようにしていたいう。しかし、芸術に対して権力を振りかざす政権はいずれ崩壊する。スターリン政権下ではないにしろ、スターリンの死後半年以内にこの交響曲は完成している。
マーラーが好きだという老男性は、貴族出身の教養の高い祖母が好んで聞いていたと思い出を交えて語る。12歳までは人生はバラ色で、書斎やレコード、ピアノがあった。1937年12月22日に秘密警察が来て父親を連行し、家族は追われてカザフスタンへ。しかし、二次大戦が勃発し、今度はドイツ軍によって強制収容所へ入れられた。スターリンにもヒトラーにも自由を奪われ、それでも何とか生き延びた彼は、強制収容所から出て、千人交響曲を聞き、祖母から受け継いだメロディを愛する気持ちが再び芽生えた。妻と52年苦楽を共にし別れ、無実で処刑されていた父の名誉は回復したが遺体は見つからず、彼一人が残された。辛いがこれが自分の人生だと話す。この老男性はマーラー交響曲二番『復活』を聴き、涙を流した。
音楽団の飛び回る飛行機からの風景でエンドロールへ。
以上、映画「ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来る」のあらすじと結末でした。
ロイヤル・コンセルトヘボウのレビュー・考察:音楽の力
音楽という芸術は目に見える明確な形を持たない。だからこそ音楽は『支え』であったり『相棒』であったり『思い出を呼び覚ます装置』のどれにもなることができる。クラシックの垣根を越えて活躍するロイヤル・コンセルトヘボウ楽団は、国境を越え、世代を超え、これからも『音楽』を自由な形と発想で届けてくれると確信している。
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