ようこそ、アムステルダム国立美術館への紹介:2008年オランダ映画。オランダが世界に誇る「アムステルダム国立美術館」の改築工事を巡り、関係者の悲喜交々を描くドキュメンタリー作品。2004年、アムステルダム国立美術館は、館長ロナルド・デ・レーウの指揮の下大規模な改築工事が行われることになった。しかし美術館を貫く通路が封鎖されることになり、改築後のデザインも気に入らないと市民が猛反発。その後も様々な問題が噴出し、関係者の苦悩は尽きないのだった。
監督:ウケ・ホーヘンダイク 出演者:ロナルド・デ・レーウ、タコ・ディビッツ、レイニエ・バールセン、ヴィム・デ・ベル、メンノ・フィツキ、ほか
映画「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ようこそ、アムステルダム国立美術館への予告編 動画
映画「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」解説
この解説記事には映画「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ようこそ、アムステルダム国立美術館へのネタバレあらすじ:起・大規な改築工事
2004年、オランダ。オランダが世界に誇る「アムステルダム国立美術館」は、館長ロナルド・デ・レーウの指揮の下、大規模な改築工事に移ろうとしていました。再オープンは2008年、コンペを勝ち抜いた建築家アントニオ・クルスとアントニオ・オルティスの設計図に基づき工事は進む予定です。
アムステルダム国立美術館は通路で二つに大きく分断されているため、現代の技術を用いて中央エントランスと通路を融合させる案が採用されました。しかし再オープンまで通路が閉鎖されるとあって、市民の不満が噴出します。
2005年3月、通路に関わりのある人々が特別集会を開きました。“通路を救え”委員会を代表してやって来たデ・ランゲは、改築後は自転車が通れなくなる可能性が高いとして異議を唱えます。アムステルダム南区の地区委員長エミール・イェンシュも美術館側の決定に否定的でした。
地元のサイクリスト協会などが改案を提示すると、レーウは全てが“自転車”に矮小化されていると失望します。自分達は国際的芸術都市としてのアムステルダムを守ろうとしているのだと語りました。しかし反対の声を無視する訳にもいかず、美術館側はデザインの変更を話し合います。しかしどれも月並みで、感動がありませんでした。
ようこそ、アムステルダム国立美術館へのネタバレあらすじ:承・新美術館の展示
2005年12月、改築プロジェクトは2009年末まで延期されます。新しい美術館では、世紀ごとに所蔵品を展示することになっていました。17世紀美術主任学芸員のタコ・ディビッツは、新美術館はスペースが足りないので所蔵品の選別を行わなければならないと話します。
18世紀美術主任学芸員のレイニエ・バールセンは、来館者に別の世紀にいるようだと感じさせたいと語りました。20世紀美術主任学芸員ヴィム・デ・ベルは、アムステルダム国立美術館には十分な20世紀美術作品が無いと感じています。
そんな折、改築プロジェクトに再び暗雲が垂れこめました。今度は研究センターの新しいタワーが高過ぎるという問題です。市民からの反対も予想されるため、縮小するしかありませんでした。
ようこそ、アムステルダム国立美術館へのネタバレあらすじ:転・美術館と市民の衝突
アジア館部長のメンノ・フィツキは、日本の彫刻作品が欲しいと考えていました。そこで彼が目をつけたのは、金剛力士像です。メンノの意見を受け、レーウは日本へ向かい金剛力士像の購入に動き出しました。タコは収蔵庫に入り、どの作品を展示すべきかスタッフと話し合います。
ところがここへ来て、解決したと思われていたタワーの問題が再び浮上しました。アムステルダム市民がタワー建設に異議を唱えたため、タワーに関しては白紙の状態に戻ってしまいます。この決定に、2人の建築家は怒りや失望を隠せませんでした。このまま縮小していく一方なら、初期の情熱は失われてしまうだろうと語ります。
通路は市民の意見を取り入れる形で合意に至りましたが、美術館側は不満を持っていました。特に“通路を救え”委員会を卑怯だと言い、民主主義の悪用だと苛立ちを見せます。更に研究センターがまたも反対され、度重なる縮小を余儀なくされました。この時点で、美術館の再オープンは2010年まで延期されることになります。
ようこそ、アムステルダム国立美術館への結末:停滞
2006年8月。工事は1月から止まっていました。関係者の中には、初期の情熱や新鮮な感覚、興奮が失われることを危惧している人もいます。計画は次々変更され、事態は抽象的になっていきました。
そして2007年10月、レーウが館長を退くことを決めます。予期していた人、戸惑い混乱する人、様々でした。本人は悲観していないと語り、来年夏の辞職まで仕事を全うすると話します。その後金剛力士像の購入が決定し、メンノは踊り出さんばかりの勢いで喜びました。
ところが2008年に入り、新たな問題が浮上します。それは入札の問題でした。入札に参加する会社が1社しかなく、高値をつけてくることは必至です。案の定入札は上手くいかず、改装はまたも延期。美術館は2013年までの閉館を余儀なくされました。
度重なる延期と膨れ上がるコストが問題視され、ロナルド・プラステルク教育・文化・科学大臣は会議で槍玉に挙げられます。一方、美術館の新館長にはヴィム・バイベスが選ばれました。その後新規の入札は成功し、工事は2008年11月に着工されることになります。問題が山積する中、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」のあらすじと結末でした。
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