さよなら子供たちの紹介:1987年フランス,西ドイツ映画。ナチス占領下のフランスのカトリック寄宿舎での少年たちの交流を描いた作品。主人公ジュリアンの前に現れた転校生のジャン、打ち解けていくうちにジャンがユダヤ人だと分かり、それと共に周りの様相が変わっていく。監督のルイ・マルの半自伝的作品で、ヴェネツィア国際映画祭の最高賞、金獅子賞を受賞しています。
監督:ルイ・マル 出演:ガスパール・マネス(ジュリアン・カンタン)、ラファエル・フェジト(ジャン・ボネ)、ペーター・フィッツ(ミュラー)、フランソワ・ネグレ(ジョセフ)、フィリップ=モリエ・ジェヌー(ジャン神父)、スタニスタス・カレ・ド・マルベール、フランシーヌ・ラセット、フランソワ・ベルレアン、イレーヌ・ジャコブ、ほか
映画「さよなら子供たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「さよなら子供たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
さよなら子供たちの予告編 動画
映画「さよなら子供たち」解説
この解説記事には映画「さよなら子供たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
さよなら子供たちのネタバレあらすじ:起
1944年、ナチス占領下のフランス。親元を離れカトリック寄宿舎に疎開していた12歳のジュリアン(ガスパール・マネッス)は、クリスマス休暇を終えて母親との一時の別れを惜しみながらも学校に戻っていきました。
そこにジャン・ボネ(ラファエル・フェジト)という転校生がやってきます。なかなか打ち解けないジャンを不思議に思うジュリアン。父親は捕虜で母親とも音信不通だというジャン、心を開かないのは無理もないのかもしれません。
そんなある日、ジュリアンは偶然目にしたジャンの荷物から、彼がユダヤ人でジャン神父(フィリップ・モリエ・ジェヌー)の計らいで匿ってもらっていることを知ります。しかしジュリアンにとってはジャンは友達ということに変わりなく、彼がユダヤ人ということはどうでもいい事でした。
さよなら子供たちのネタバレあらすじ:承
一緒に森を探索して迷ったり、映画を見たり、時には子どもが見たら怒られるような本を読んだりしました。ジャンを家に招いて、ジュリアンの母親が夕食を振舞ってくれたりもしました。
ユダヤ人には偏見はないと話すジュリアンの母親に、ジャンは感動を覚えます。そして戦争や人種は関係なく、二人の間に友情が育まれていきます。しかしそんな素晴らしい時間はそう長くは続きませんでした。
さよなら子供たちのネタバレあらすじ:転
ある日、寮の料理番をしていたジョセフ(フランソワ・ネグレ)が闇屋との繋がりがばれてしまい解雇されてしまいます。ジョセフはジャン神父からあまり大事にされなかったことや年の近い生徒からバカにされていたこともあり、その腹癒せをするようにユダヤ人を匿っている事実をゲシュタポに密告してしまうのです。その密告によりミュラー(ペーター・フィッツ)率いる一団が学校にやってきました。ミュラーはジャンを含む三人の少年を捕まえて連れていきます。
学校は閉鎖となり、ジャン神父はユダヤ人を匿っていた罪で逮捕されてしまいます。連行されていくジャン神父に次々と子どもたちが声をかけていきました。「さよなら神父さん」ジャン神父は振り返ると「さよなら子どもたち。また会おう」と応えます。
さよなら子供たちの結末
ジュリアンは連れ去られていくジャンに軽く合図をします。ジュリアンはジャンやジャン神父にまた会えると信じましたが、その願いはもう二度と叶うことはありませんでした。捕らえられたジャンたちはアウシュヴィッツに送られ、ジャン神父はマウトハウゼンでそれぞれ殺されてしまいます。
あれから40年の月日が経ちジュリアンは大人になりますが、あの日の朝の事が未だに頭にこびりついています。あの時育んでいた友情もそして親友や恩師が連れ去られていった事も生涯忘れる事はないでしょう。
以上、映画「さよなら子供たち」のあらすじと結末でした。
フランスのヌーヴェル・ヴァーグの旗手、ルイ・マル監督が撮った「さよなら子供たち」は、戦争が引き裂いた二人の少年の間に芽生えた友情と別離を、感傷に訴えることなく淡々と描いた珠玉の名作だと思います。
この映画「さよなら子供たち」は、1977年以来、創作活動の場をアメリカに移していたルイ・マル監督が、10年ぶりに母国フランスに戻って撮った、”魂を揺さぶる”秀作です。
映画を観終えた後、目頭が真っ赤になっていた自分がそこにいました。
ルイ・マル監督は、かつてなく自伝的色彩の濃いこの作品で、感傷に訴えることを意識的に避けているような気がします。
第二次世界大戦下のフランスで過ごした自身の少年時代の痛ましい記憶を扱いながら、驚くほど抑制の効いた映画を撮ったと思います。
主人公の12歳の少年、ジュリアン(ガスパール・マネッス)は、ルイ・マル監督の分身だと思いますが、このジュリアンは、戦争を避けて、ファンテーヌブローに程近いカトリックの寄宿舎に疎開することになります。
そこに転入生3人が入って来ますが、彼らは実は神父がゲシュタポからかくまっているユダヤ人なのですが————-。
そして、そのうちの一人、ジャン(ラファエル・フェジト)は、ジュリアンと同じクラスになり、やがて二人の少年の間に友情が芽生えていくのです。
しかし、全ては避けることの出来ない悲劇的なクライマックスへと収束していくことになります。
ルイ・マル監督は、まるでアーチェリーの射手のように、狙いを定め、ゆっくりと弓を引き絞るのです。
そして、ラストの一瞬、矢は放たれ、我々観る者の心を真っすぐに射抜くのです————-。
ルイ・マル監督は、間違いなく彼の生涯で最も重要な、意味ある作品を撮ったのだと思います。
尚、この映画は1987年度のヴェネチア国際映画祭で、最高の作品に授与される金獅子賞を受賞していますね。