アウェイデイズの紹介:2009年イギリス映画。1979年、イングランド北西部マージーサイド州バーケンヘッド。19歳のカーティは悪名高いギャング集団「パック」の一員エルヴィスと出会う。スタジアムで常にケンカ騒動を起こしていたパックにカーティは魅了されていたが、エルヴィスはそんなカーティのように芸術、音楽、詩、そして死について語り合える友人をずっと待っていた。そしていつしかエルヴィスはカーティに友人以上の感情を抱いていく。原作はケヴィン・サンプソンの同名小説。Joy Division、The Cure、Magazine 、Echo&The Bunnymen、Ultravoxなどの音楽をバックに、日本ではほとんど紹介されることの無かった英国フットボール発祥の文化<カジュアルズ>の黎明期の物語。
監督: パット・ホールデン 出演:ニッキー・ベル(カーティ)、リアム・ボイル(エルヴィス)、スティーブン・グレアム(ゴッドン)、ホリデイ・グレインジャー(モリー)、オリヴァー・リー(ベイビー)ほか
映画「アウェイデイズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アウェイデイズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アウェイデイズの予告編 動画
映画「アウェイデイズ」解説
この解説記事には映画「アウェイデイズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アウェイデイズのネタバレあらすじ:起
1979年、イングランド北西部マージーサイド州バーケンヘッド。
19歳のカーティ(ニッキー・ベル)は父と妹モリー(ホリデイ・グレインジャー)の3人で、1年前に亡くなった母親の墓を訪れていました。カーティは手を合わせたあと、父たちに「まだ残っていたい」と伝え、2人の姿が見えなくなると、「母さんごめんね」と言い残し一目散に反対方向へ走り出しました。
その4カ月前。
カーティはサッカー観戦でスタジアムにいました。そこではいつも通り「パック」と呼ばれる不良グループが暴れていました。彼らは地元のサッカーチームを応援し、敵チームのサポーターと試合のたびに乱闘を繰り広げる狂気的なフーリガンです。
ピーターストームにフレッドペリー、ロイスのジーンズ、そしてアディダスのスニーカーといういでたちで常にスタジアムで問題を起こしている彼らにカーティは憧れていました。
アウェイデイズのネタバレあらすじ:承
そんなある日、≪Echo&The Bunnymen≫のライブでカーティは憧れのパックのメンバーのひとりエルヴィス(リアム・ボイル)と出会います。2人はすぐに意気投合しました。
エルヴィスはライブハウスで顔が利き、バンドメンバーと親しくする彼をうらやましく思っていました。カーティはアートスクールを休学中という身分でしたが、反対にエルヴィスは面接で落とされ入学することもできませんでした。エルヴィスは、芸術、音楽、詩、そして死や人生について語れるカーティのような友人をずっと待っていたのでした。
お揃いのウインドブレーカーを着て肩で風を切り、街を闊歩するパックの姿は、中産階級のカーティには自分の周りにいない特別なものを感じていました。パックの一員になりたいというカーティでしたが、エルヴィスはパックと付き合うことは危険だと何度も警告します。しかし、自分が見えないカーティは仲間になりたいと引きません。
「明日、12時に駅に来い」エルヴィスはしかたなく明日の遠征試合の観戦にカーティを連れていくことにしました。
カーティは母親の墓参りが終わると、妹モリーの誕生日もそっちのけで大急ぎで駅に向かいました。
アウェイデイズのネタバレあらすじ:転
パックの一員になってからのカーティはいつも全力疾走で、敵チームのフーリガンと乱闘するときは真っ先に切り込んでいきました。
そんなある日、エルヴィスはカーティを自宅へ招きます。異様な雰囲気ただよう彼の暗い部屋には、目立つ位置に首つり用のロープ。驚くカーティに、ジョイ・ディヴィジョンの「New Dawn Fades」を聴きながらいつも死について考えていると説明するエルヴィス。
エルヴィスは徐々にカーティに特別な想いを抱きはじめていきました。
カーティはそんなエルヴィスに何らかの違和感を感じつつも、パブで女主人からの誘いに乗ったり、ナンパした女の子2人とワンナイトを過ごしたり、承認欲求を満たしていきます。そんな姿を見たエルヴィスは、この恋の苦しみが「いつ終わるんだ」とつぶやき、ヘロインに逃げていくようになります。
エルヴィスは全てのしがらみを捨て、カーティと共に街を出ていきたいと考えていました。しかしそんな気持ちに気付くはずもないカーティは、妹を辱めた連中を懲らしめるために、パックの仲間たちを集めるようエルヴィスに頼みます。
復讐が終わり、「お前は恩人だ」と言うカーティに「いつ終わるんだ?」と泣きじゃくるエルヴィス。自分にとっては特別な存在であるカーティが、自分をただの恩人としてしか見ていないことに憤りを感じていたのでした。
アウェイデイズの結末
ある日、重大な事件が起こりました。
かねてよりパックにヘロインを売っていたベイビー(オリヴァー・リー)にやめるよう迫ったゴッドン(スティーブン・グレアム)を、ベイビーはナイフで刺したのです。ナイフは頸動脈をしとめ溢れる血を止められずゴッドンは息を引き取りました。
後日、葬儀で教会に出向いたカーティはゴッドンを偲び、複雑な表情を浮かべました。向こうには涙を流すベイビー。ことの真相を知っているカーティはベイビーに非難の目を向けることしかできませんでした。
葬儀が終わり帰ろうとするカーティを、エルヴィスが呼び止めました。「俺の告解を聞いてくれ」。
エルヴィスはカーティへの想いを告げました。
カーティはあまりにも唐突なその告白を受け止めることができないまま顔をあげると、エルヴィスは姿を消していました。
遠征試合の日がやってきました。エルヴィスは出発の時刻になってもカーティの前に現れることはありませんでした。目的地へ着き、敵チームと乱闘がはじまると、カーティはどことなく漂う終わりの空気を感じます。その時、カーティの頬を鋭いナイフが襲いました。やったのはベイビーでした。
カーティの青春は終わりを告げました。
自分の愚かさに気付いたカーティは大きな喪失感をかかえ歩き始めます。そんなカーティの左の頬からは涙、右の頬からは血が流れていました。
以上、映画「アウェイデイズ」のあらすじと結末でした。
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