バラバの紹介:1962年アメリカ,イタリア映画。ノーベル文学賞受賞作家ペール・ラーゲルクヴィストの小説「Barabbas」を原作として映画化された歴史ドラマです。処刑されたイエス・キリストの代わりに恩赦された罪人バラバの、その後の苦難の人生を描きます。
監督:リチャード・フライシャー 出演者:アンソニー・クイン(バラバ)、シルヴァーナ・マンガーノ(ラケル)、アーサー・ケネディ(ピラト)、ジャック・パランス(トルヴァド)、アーネスト・ボーグナイン(ルシウス)、ヴィットリオ・ガスマン(サハク)、ハリー・アンドリュース(ペトロ)ほか
映画「バラバ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「バラバ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
バラバの予告編 動画
映画「バラバ」解説
この解説記事には映画「バラバ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
バラバのネタバレあらすじ:起
約2000年前のエルサレム。この地には年に一度、罪人を一人罰する代わりに別のもう一人の罪人を恩赦するユダヤ人の習わしがありました。イエス・キリストを捕らえたユダヤ属州総督ピラト(アーサー・ケネディ)は民衆の指名により盗賊のバラバ(アンソニー・クイン)を釈放、キリストは十字架を背負わされて連行されていきました。
サラ(ケティ・フラド)ら仲間たちのもとへ戻ったバラバでしたが、愛人のラケル(シルヴァーナ・マンガーノ)はキリスト教に改宗していました。やがてキリストがゴルゴダの丘で処刑されたその時、昼間にも関わらず空は一面の闇に包まれ、バラバは動揺しながらもゴルゴダの丘に向かいました。その後、ラケルはキリストは必ず復活すると言うのですが、バラバは笑って信じる気にもなれませんでした。
3日後、予言通りにキリストは復活を果たし、その光景を目撃したラケルの話を聞いてもバラバは納得できずにいました。やがてキリストの使徒のひとりペトロ(ハリー・アンドリュース)と接触したバラバは、キリストの奇蹟により死の淵から甦ったというラザロ(マイケル・グウィン)を紹介されました。ラザロはバラバから“死”について問われると、それは”無”だという答えが返ってきました。バラバはキリストの処刑には責任はないものの、なぜ犯罪者である自分が生かされ続けるのか深く苦悩しました。
バラバのネタバレあらすじ:承
信者たちと共に布教活動を行っていたラケルは番兵に逮捕され、石打ちの刑にかけられて処刑されました。彼女が穏やかな表情で逝ったのを見届けたバラバは再び犯罪に手を染め、逮捕されてピラトの前に連行されました。死刑を望むバラバでしたが、恩赦された人間は死刑にできないとの決まりがあることから、バラバはシチリアの硫黄鉱山で死ぬまでの重労働を命ぜられました。バラバは自分がいつまでも死ねないのはキリストの仕業だと考え、彼への憎みを募らせていきました。
数年後、劣悪な環境下でもしぶとく耐え抜いていたバラバは、そこで囚人の青年サハク(ヴィットリオ・ガスマン)と知り合いました。サハクがキリスト教徒であることを知ったバラバは口論となり、キリストの復活は単なる錯覚に過ぎないと否定しましたが、やがて共に過酷な日々を過ごすうちにいつしか二人の間には奇妙な友情が芽生えていきました。
そんなある日、鉱山で岩盤崩落事故が起こり、数多くの囚人たちが命を落とすなかバラバとサハクは奇跡的に救出されました。二人は州総督ルフィオ(ノーマン・ウーランド)の計らいで畑仕事に従事することとなり、やがてローマの元老院議員に選出されたルフィオは強運を持つバラバとサハクのおかげだとして二人をローマに連れて行くことにしました。
バラバのネタバレあらすじ:転
ローマに到着したバラバとサハクはルフィオにより剣闘士の養成所に入れられ、厳しい修行の日々を耐え抜きました。剣闘の世界には皇帝から三度の自由を与えたという無敵の剣闘士トルヴァド(ジャック・パランス)が君臨しており、既に老齢に達していたバラバはバカにされて挑発されるも戦い抜くことを誓いました。
そんなある日、サハクは奴隷のルシウス(アーネスト・ボーグナイン)がキリスト教徒であることを知り、サハクからバラバの話を聞いたルシウスはペトロがカタコンベで布教活動をしていることを知らせました。
やがてバラバより一足先に剣闘士デビューしたサハクは試合に勝利しますが、観客から相手にとどめを刺すように促されても信仰心を理由に拒みました。続いてサハクはバラバの制止を振り切って神の愛を説き、生前のキリストを実際に見たことのあるバラバが答えを知っていると伝えました。その後、バラバとサハクは扇動と反乱の罪で逮捕され、バラバは信仰を否定したことで罪を免れましたが、サハクは信仰心を捨てることなく死刑宣告を受けてしまいます。しかし、サハクはバラバが生き残るのは神の意思だと確信しており、バラバの目の前でトルヴァドの手により処刑されました。
バラバの闘いの日、トルヴァドは戦車で闘技場に現れ、皇帝の前で剣闘士を二人倒しました。自分の番になったバラバは慎重にトルヴァドの動向を見極め、トルヴァドが持つ網を戦車の車輪に絡めて倒し、観客の求めに応じてトルヴァドにとどめを刺しました。この闘いで皇帝に認められたバラバは晴れて自由の身となりました。
バラバの結末
バラバはサハクの亡骸をカタコンベに運び、ルシウスらキリスト教徒に引き渡しましたが、ルシウスらはこうなる前に救うべきだったとバラバに対して冷淡な態度を取り、バラバが生きることが神の意思だと言っていたサハクの発言に対しても疑問を呈しました。
そんな時、ローマを大火が襲いました。逃げ惑う人々の証言からキリスト教徒の放火によるのだと知らされたバラバは、これぞまさしく古い世界が消滅して新しい神の王国が到来するものだと感じ、今度こそキリストの意思に従う決意をして松明を手に暴れ回りました。
捕らえられて収監されたバラバはそこでペトロと再会、放火によって王国など来ないと言われました。放火はキリスト教徒の弾圧を狙う皇帝が仕組んだものだというのです。犬死にだと絶望するバラバに、ペトロはキリストと正反対な人生を歩んだバラバだからこそ苦難の中から学んだのであり、これにより神への道に近付いたことを告げると「王国は自分達の心の中にある」と励ましました。そしてペトロは、いずれ後世の人々が自分たちの生きた時代を振り返り、希望を見出すことができると伝えました。やがてキリスト教徒たちと共に十字架にかけられたバラバは、死の間際に「主よ、私はあなたに全てを委ねます」と願いました。
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