バッシングの紹介:2005年日本映画。「ひとりの女性が日本を捨てた。彼女が彼女であるために」2004年に発生したイラク日本人人質事件をモチーフに製作された社会派ドラマです。戦時中の中東某国へボランティアに行った女性は人質として拉致され、無事帰国するも世間の心無いバッシングと家庭の崩壊が待ち受けていました…。
監督:小林政広 出演者:占部房子(高井有子)、大塚寧々(高井典子)、田中隆三(高井孝司)、香川照之(支配人)ほか
映画「バッシング」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「バッシング」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
バッシングの予告編 動画
映画「バッシング」解説
この解説記事には映画「バッシング」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
バッシングのネタバレあらすじ:起
高井有子(占部房子)はかつて、戦時中の中東某国で武装グループに人質として拉致されていました。無事に解放され、帰国を果たした有子を待ち受けていたのは、世間やマスコミからの痛烈なバッシングでした。北海道のとある海辺の町にあるホテルの清掃員として就職した有子でしたが、ある日いつものように仕事をしていると支配人(香川照之)が現れ、給料をやるからと退職を迫ってきました。ホテルにはインターネットでも誹謗中傷が相次いでおり、職場の雰囲気も嫌悪になってきたのだというのです。金に困ると言う有子に対し、支配人は強い口調で「またあそこに行くのか」となじりました。有子は帰りのコンビニでも店員や店内の客から白い目で見られ、せっかく買ったおでんを客の一人に投げ捨てられる嫌がらせを受けました。
バッシングのネタバレあらすじ:承
団地の自宅に戻った有子は父・孝司(田中隆三)や継母・典子(大塚寧々)と食事をしていましたが、その最中にも心無い者から誹謗中傷の電話が鳴り響き、場の雰囲気も気まずくなってしまいました。典子は有子の「自身の行動が間違っていたのか」との問いかけにも答えられず、孝司が仕事を解雇された理由を有子に聞くも、有子は「分かっているでしょ」とだけ答えて部屋に閉じ籠ってしまいました。そんなある日、職場の工場で上司に呼び出された孝司は、有子の事が原因だと言われて自主的な退職を促されてしまいます。30年以上も勤めてきた職場を去る決意を固めた孝司は典子に電話で伝え、典子は有子に電話をかけるも応答することはありませんでした。ある日、有子は元恋人と再会しましたが、元恋人は「有子は変わってしまった。死ぬ気で行ったのに結局みんなに迷惑をかけてしまったじゃないか」と有子を罵倒しました。
バッシングのネタバレあらすじ:転
仕事を辞めた孝司は真っ昼間から酒浸りの日々を過ごすようになり、典子も職場で同僚から心無い誹謗中傷を受けていました。有子は自分の責任を痛感して閉じ籠り、孝司は典子と口論となり「死にたい」とまで漏らすようになっていきました。そしてある日、有子が家に帰ると、孝司はベランダから飛び降りて自ら命を絶っていました。葬式の後、有子は孝司の保険金で再び中東へボランティアに行きたいと言い出し、激昂した典子は「あの人を返してよ!」と有子に詰め寄りましたが、それでも有子の決意は変わりませんでした。行きつけのコンビニの店員は有子に対して「父親の自殺を受けて何も感じないのか。もう二度と来るな」と罵倒しました。
バッシングの結末
飛行機のチケットを予約した有子は、亡き夫の仏壇の前にいた典子に対し、もう二度と日本には戻らないことを告げました。スーパーで買い物をした有子は、その帰り道で新しい彼女と一緒に幸せそうに手を繋いで歩いている元恋人の姿を目の当たりにし、複雑な表情を浮かべました。出発前日、有子は典子に対し、日本ではずっと誰にも必要とされていないと感じていたことを打ち明けると、ボランティアで訪れた国の子供はみんな自分に懐いてきてくれた、だからまたボランティアに行きたいのだと心境を語りました。有子が自分のことを初めて「お母さん」と呼んでくれたことに喜んだ典子は、有子に餞別としていくらかの金を渡してくれました。日本を離れる直前、有子は町からもう二度と見ることのない海を見つけていました。
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