ベネデッタの紹介:2021年フランス, オランダ映画。J. C. ブラウン著のノンフィクション『ルネサンス修道女物語―聖と性のミクロストリア』を原案とし、17世紀のイタリアに実在した修道女ベネデッタ・カルリーニの波乱に満ちた生涯を描いた歴史サスペンスです。幼くして修道女となり、数々の奇蹟を起こして修道院長にまで上り詰めたベネデッタ。しかし、彼女は実は若い修道女と禁断の関係を持っており、やがて町を揺るがす大騒動へと発展することに・・・。
監督:ポール・バーホーベン 出演者:ヴィルジニー・エフィラ(ベネデッタ・カルリーニ)、シャーロット・ランプリング(フェリシタ)、ダフネ・パタキア(バルトロメア)、ランベール・ウィルソン(ジリオーリ)、オリヴィエ・ラブルダン(アルフォンソ)、ルイーズ・シュビヨット(クリスティナ)ほか
映画「ベネデッタ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ベネデッタ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ベネデッタ」解説
この解説記事には映画「ベネデッタ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ベネデッタのネタバレあらすじ:起
17世紀のイタリア。当時6歳だったベネデッタ・カルリーニは両親に連れられ、ペシアの町にあるテアティン修道院に入りました。したたかな修道院長フェリシタのもと、ベネデッタは大切に持っていた小さな木製のマリア像を取り上げられ、粗末な衣服を与えられて修道女としての第一歩を踏み出しました。
ある日の夜、ベネデッタはこっそり廊下のマリア像に祈りを捧げていました。その時、突然マリア像がベネデッタの方に倒れてきたのですが、幸いなことにベネデッタは傷ひとつも負っていませんでした。駆けつけた修道女たちは奇蹟が起きたのだと騒ぎ立てましたが、フェリシタは奇蹟など簡単に起こるものではないとたしなめました。
それから18年後。イタリアに流行りの伝染病ペストの影が忍び寄るなか、美しく成長したベネデッタはある時自分がイエスに呼ばれるビジョンを垣間見ました。その直後、修道院にひとりの若い女性バルトロメアが駆け込んできました。バルトロメアは父から激しい虐待を受けており、修道院に助けを求めたのです。
バルトロメアは修道女になることを許され、ベネデッタは指導係に任じられました。やがてベネデッタとバルトロメアは互いに意識しあうようになっていきましたが、フェリシタの娘で修道女のクリスティナはそんな二人の関係を怪しんでいました。
この頃から、ベネデッタは頻繁にイエスのビジョンを見るようになりました。それは性的要素や暴力を伴うものであり、ベネデッタは神父に相談したところ神父はそれは誤ったビジョンであり、神の意思は痛みや苦しみから知るものだと教えました。
ベネデッタはついバルトロメアにつらく当たってしまうようになりました。ベネデッタは全身に痛みが走るようなビジョンの痛みに苦しめられ、フェリシタはバルトロメアにベネデッタの世話をするよう命じました。このことがきっかけでベネデッタとバルトロメアの距離はさらに縮まっていきました。
ベネデッタのネタバレあらすじ:承
そんなある時、苦痛に耐えかねたベネデッタの両手の掌と両足、そして額から血が流れ出しました。これを見た修道女たちはベネデッタに“聖痕”が現れたのだと騒ぎましたが、クリスティナはベネデッタのすぐそばに鋭利な陶器の破片があることに気付き、彼女に疑いの目を持ち始めました。
聖痕の噂はたちまちペシアの町じゅうに流れ、人々はベネデッタを聖女と称えるようになっていました。クリスティナは母フェリシタにベネデッタの聖痕は自傷行為によるでっちあげだと訴えましたが、誰一人としてベネデッタが自傷に及んだところを目撃していないため確証は持てませんでした。
ペシアの主席司祭アルフォンゾは聖痕の真偽はともかく、この町に聖女がいるとなれば各地から巡礼者がこの町に集まり、富を得るうえに自分の教会での立場も向上するという思惑を抱いていました。アルフォンゾはベネデッタの聖痕は本物であるとの判断を下し、ベネデッタはテアティン修道院の修道院長に出世することとなりました。修道院長を解任されたフェリシタは修道女に降格させられました。
ベネデッタは院長室にバルトロメアを招き入れ、激しく愛し合うようになりました。ベネデッタは幼い頃から大事にしてきた木製のマリア像を改良して“大人のおもちゃ”を作り、二人はより一層快楽を求めるようになっていきました。
ベネデッタに強い不信感を持つクリスティナは引き続き彼女の奇蹟は偽りであると訴え続けましたが、証拠がない以上周囲の誰もがクリスティナの意見に耳を傾けませんでした。教会側に従うフェリシタも娘を助けようとせず、ベネデッタは勝ち誇ったかのようにクリスティナには悪魔が憑りついているのだと罵倒しました。
ある日の夜、空に彗星が現れました。人々はそれを凶兆だと騒ぎました。全てに絶望したクリスティナは修道院の屋根から飛び降り自殺しました。密かにのぞき穴からベネデッタとバルトロメアの行為を覗き見ていたフェリシタは娘を死に追いやったベネデッタとの対決を誓い、フィレンツェの教皇大使ジリオーリにベネデッタの所業を訴えるべく出発しました。
ベネデッタのネタバレあらすじ:転
フェリシタの意図を察したベネデッタは国内にペストが蔓延していることを利用し、フェリシタが帰れないようにペシアの町の封鎖を指示しました。己の保身のためにベネデッタを利用しているアルフォンソも彼女の意のままでした。
ふとベネデッタに疑念を抱いたバルトロメアは、聖痕はベネデッタが権力を手に入れるためでっち上げたものなのか尋ねてみました。ベネデッタはあくまでも神が自分を通じて意思を伝えているだけなのだとでっち上げを否定しました。
その頃、フェリシタはペストが蔓延するフィレンツェに辿り着き、ジリオーリに事情を説明しました。ジリオーリは自らペシアに出向いて真偽を確かめることにしました。
一方、ペシアのベネデッタは先日の彗星は凶兆ではなく吉兆だと強調していました。ところが、ベネデッタは突然倒れてしまい、誰もがベネデッタは死んだものだと思い込んで葬儀の準備を始めました。やがてフェリシタがジリオーリを伴ってペシアに舞い戻ると、死んだはずのベネデッタは突然起き上がりました。
人々はベネデッタは奇蹟によって甦ったものだと信じ、ベネデッタは自分は天国に行ったけれども神の意思で人々を疫病と地獄の業火から救うように言われて復活したのだと語りました。
ベネデッタを疑うジリオーリは彼女が果たして本物の聖女なのか判断する真偽を開きました。フェリシタはベネデッタはバルトロメアと禁断の関係にあることを証言し、同性愛を認めないジリオーリは事実だとすれば万死に値すると告げました。真偽の際、ベネデッタはジリオーリの体にペストに感染したらしき黒い斑点が生じていたことを見逃しませんでした。
バルトロメアは捕らえられ、激しい拷問を受けました。そしてとうとうバルトロメアはベネデッタとの関係を認め、ベネデッタは修道院長の座を剥奪されて捕らえられました。火あぶりの刑に処されることになったベネデッタでしたが、それでも疑惑の全てを否定し続けるどころがジリオーリは恐ろしい病で死ぬことになると言い放ちました。
ベネデッタの結末
バルトロメアは修道院を追放され、ベネデッタは町の広場の処刑台に連行されました。しかし、既にジリオーリやフェリシタにはペストの症状が現れ始めていました。
処刑台に縛られたベネデッタは集まった人々を前に自分の体に新たな聖痕が現れたと告げ、ジリオーリこそがペシアにペストをもたらしたのだと激しく非難しました。ジリオーリはベネデッタの処刑を急ごうとしましたが、ベネデッタの言葉を信じる民衆は彼女を救おうと暴動を起こしました。
広場に来ていたバルトロメアはベネデッタのそばに陶器の欠片があることに気づき、真実を察しながらもその欠片でベネデッタの拘束を解いて助け出しました。ジリオーリは民衆から激しい暴行を受けて命を落とし、フェリシタも燃え盛る処刑台の炎に身を投げて命を絶ちました。
ベネデッタとバルトロメアはペシアの郊外に落ち延び、廃屋で一夜を過ごしました。突然ベネデッタは修道院に戻ると言い出し、戻れば火あぶりの刑が待っていると引き留めるバルトロメアにこれは神の意思だと告げました。バルトロメアは聖痕はでっち上げだと認めるようベネデッタに迫り、それでも白を切り続けるベネデッタに地獄に堕ちろと言い放ちました。ベネデッタはひとり修道院へと戻っていきました。
ベネデッタが見たというイエスのビジョンは教会側によって否定されました。その後、ベネデッタは余生を修道院内の施設に隔離されて過ごし、70歳で生涯を閉じました。
以上、映画「ベネデッタ」のあらすじと結末でした。
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