映画「少年の君」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
少年の君の紹介：2019年中国,香港映画。チオ・ユエシーのオンライン小説『少年的你，如此美麗』を映画化した青春映画です。いじめられていた女子高生が親に捨てられた不良少年と出会い、ボディガードを依頼するうちに互いに心を通わせ合っていきます。
監督：デレク・ツァン 出演者：チョウ・ドンユイ（チェン・ニェン）、イー・ヤンチェンシー（シャオベイ）、イン・ファン（チェン・イー）、ホアン・ジュエ（ラオヤン）、ウー・ユエ（ジョウ・レイ）、チョウ・イエ（ウェイ・ライ）、チャン・ヤオ（リー・シアン）、チャン・イーファン（フー・シャオディエ）、趙潤南（ダーカン）ほか
この解説記事には映画「少年の君」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
2011年、中国・安橋。内気で平凡な女子高生チェン・ニェン（チョウ・ドンユイ）は全国統一入学試験（通称：高考）の受験を控えていました。ニェンの母ジョウ・レイ（ウー・ユエ）は多額の借金を抱え、違法な化粧品販売に手を染めていました。それでもレイはニェンが一流大学に入ってくれることを望んでいました。
そんなある日、ニェンの同級生であるフー・シャオティエ（チャン・イーファン）が校舎から飛び降り自殺しました。フーはかねてから、極悪非道な同級生のウェイ・ライ（チョウ・イエ）をリーダー格とする三人組のいじめっ子グループにいじめられており、他の生徒たちは黙って見ているだけでした。
学校に警察が駆け付け、フーの件について捜査を始めました。事情を訊かれたニェンでしたが、口をつぐむことしかできませんでした。
その日から、ウェイ一味のいじめのターゲットはニェンに代わりました。クラスの担任は一応生徒たちには注意しますが全く効果はなく、ニェンは毎日のように執拗な嫌がらせを受け続けていました。
そんなある日、ニェンは帰り道で不良少年のシャオベイ（イー・ヤンチェンシー）が男たちにリンチを受けているのを目撃しました。警察に通報しようとしたニェンは男たちに絡まれ、無理やりシャオベイとキスをさせられました。シャオベイはその隙を突いて男たちに反撃し、追い払いました。
シャオベイはニェンを家まで送ってくれましたが、借金取りからのレイを中傷する張り紙を見てニェンの家庭環境の酷さを察し、寝床としている立体交差橋の下へと連れて行きました。しかし、この時はニェンとシャオベイは互いに心を開くことはありませんでした。
ウェイ一味のいじめは日に日にエスカレートしていき、他の同級生はただ黙って見て見ぬふりをするだけでした。それでも他の生徒のひとりから「あと1ヶ月頑張れば北京の大学に行ける。フーみたいになるな」と言われたニェンは思い切って地元警察のチェン・イー刑事（イン・ファン）にウェイ一味の悪行を全て告発しました。
ウェイ一味は警察に呼ばれて事情聴取を受けました。チェン刑事の先輩のベテラン刑事ラオヤン（ホアン・ジュエ）は最近のいじめ問題は以前よりも巧妙かつ更に悪質になっており、学校側も問題から逃げている現状を嘆きました。
ウェイ一味は三人全員停学処分となり、担任も責任を取らされて交代させられました。学校には一見平和が訪れたかのように見えましたが、ウェイ一味はニュンへの報復を企てていました。
ニェンが帰宅すると、待ち伏せしていたウェイ一味がカッターナイフを手に襲い掛かってきました。逃げ出したニェンはウェイ一味のひとりリー・シアン（リー・シアン）に見つかりそうになりましたが、シアンはニェンをあえて見逃しました。
ニェンはシャオベイのところに向かい、ボディガードになってくれるよう頼みました。ニェンの願いを聞き入れたシャオベイは翌日から彼女の護衛を引き受け、ウェイ一味に対して睨みをきかせました。それからというものニェンは家には帰らずシャオベイと一緒に過ごすようになりました。一方、シアンはウェイに責められ、ニェンに近づくとシャオベイに自分も守ってほしいと頼みました。
ある時、シャオベイはニェンに自らの過去を打ち明けました。シャオベイの父は彼が13歳の時に蒸発、母は新たな男をつくってシャオベイを捨てたのです。それ以来天涯孤独となったシャオベイは学校には行かず、ずっと一人きりで立体交差橋の下で暮らしていたのです。
互いに孤独を抱えるニェンとシャオベイはより一層絆を深めていき、ニェンは自分が北京の大学に受かったら一緒に北京で暮らそうと呼びかけました。
そんなある時、仲間たちと遊んでいたシャオベイは突然警察に補導されました。警察は婦女暴行の容疑者を捜しており、容疑者と同年代の少年ばかりが集められたのです。シャオベイが取り調べを受けている間、ニェンはウェイ一味に捕まっていました。
実は婦女暴行事件はウェイがニェンとシャオベイを引き離すためのでっち上げであり、シアンがニェンに近づいたのはシャオベイの素性を探るためだったのです。ウェイ一味はニェンに凄惨な暴力を振るいました。
警察から解放されたシャオベイは、ボロボロにされたニェンを見て憤りを覚えました。シャオベイは髪の毛を切られたニェンの頭にバリカンを入れて坊主頭にし、自らの髪も短く刈りました。ニェンとシャオベイは二人で記念撮影をしました。
そして訪れた大学受験の日。ニェンが試験を受けている間、雨で土砂崩れとなった場所からひとりの死体が見つかりました。その死体とは何とウェイだったのです。
ニェンはチェン刑事に呼び出され、ウェイの死について事情を訊かれましたが証拠不十分で解放されました。ニェンは二日目の試験も受けましたが、警察はニェンと行動を共にしていたシャオベイをマークしていました。
チェン刑事の事情聴取を受けたシャオベイは「自分がやった」と供述し、その場から逃げ出すとニェンに暴行を加えるかのような演技をしました。シャオベイはその場で逮捕されましたが、チェン刑事は何か引っかかるものを感じていました。
実はウェイを殺したのはニェンでした。これ以上自分の悪事が露呈すると受験を受けられなくなると考えたウェイは保身のためにニェンに会いに行き、金を出すから警察には黙ってくれと要求してきました。
しかし、ウェイはニェンの家庭環境の劣悪さをバカにしてきたので、かっとなったニェンはウェイを石の階段から突き落として殺害したのです。事情を知ったシャオベイは受験を控えるニェンのために自分が罪を被ることにしたのです。
しかし、ニェンとシャオベイの真意を既に見抜いていたチェン刑事は二人に揺さぶりをかけ、耐え切れなくなったニェンはシャオベイの元に面会に向かいました。二人は互いの気持ちを察し、黙って見つめ合ったまま涙を流していました。
その後、犯行を認めたニェンは減刑が認められ、禁固4年の判決を受けました。
2015年。出所したニュンは青藤の英語学校の教師となっていました。授業を終えたニェンは孤独そうな少女を見つけ、彼女のそばに寄り添いました。ニェンの様子を陰からシャオベイが見守っていました。
以上、映画「少年の君」のあらすじと結末でした。
中国映画も凄いのが有るのですね。この女優は凄まじい演技力ですね。ストーリー的にはもう少し説明が欲しい所はありましたが何しろヒールの少女役も相方のチンピラ役も凄かったです。中国の文化事情と法律事情はよくわかりませんがこういう結末にしなければならない事情も有ったのかなとも思いました。久々の傑作でありました。この女優の今後が楽しみです。
終始胸が痛くなるつらい気持ちを持つ映画でした。いじめ問題・家庭環境の問題・愛が強いがゆえの嘘。相手のつらい姿に心を打たれやすい方に特におすすめしたい映画です。ヒロインを演じたジャクソン・イーの役者魂がとにかく凄まじかったです。