暴力の紹介:1952年日本映画。当時名コンビを謳われた監督の吉村公三郎と脚本の新藤兼人が、やりきれない人間関係に悩む若い女性の姿を描いた佳作。戦後間もない猥雑な新世界でロケーションをおこない、ドキュメンタリー的な効果を上げている。
監督:吉村公三郎 出演:日高澄子(孝子)、菅井一郎(山田秀次)、浪花千栄子(せつ)、若山セツ子(靜子)、殿山泰司(田邊助藏)、木村功(自動車強盗の犯人・高見勉)、内藤武敏(自動車強盗の犯人・木島隆次)、進藤英太郎(富坂平三)、ほか
映画「暴力」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「暴力」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
暴力の予告編 動画
映画「暴力」解説
この解説記事には映画「暴力」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
暴力のネタバレあらすじ:起
戦後間もない大阪。飛田の遊郭とスラム街の釜ヶ崎を近隣にひかえた日の出横町は、昼間から人々で溢れかえっています。彼らは窃盗常習者、空き巣狙い、万引、刑務所から真っ直ぐ来た男など、影を持った人間ばかりです。
ここでは50円もあれば1日飲食できる上、違法の博打も盛んに行われているため、暇を持て余した彼らにとって最適の居場所でした。そして夜の女たちも彼らに混じって商売をしています。温泉マークの旅館「ことぶき屋」はそんな商売女たちがもっぱら利用するところで、その主人の山田秀次(菅井一郎)はカネにがめつい冷血漢。
暴力のネタバレあらすじ:承
その妻せつ(浪花千栄)には、もともと洋服屋を経営していた田邊という夫がいたのですが、彼が徴用で樺太に8年間も留め置かれたため、その間に山田といい仲になってしまったのです。この旅館もせつが貯めていたカネで始めたもので、その一階で田邊の娘である孝子(日高澄子)と靜子(若山セツ子)も一緒に暮らしていました。
孝子は義父である山田が大嫌いでしたが、妹の靜子が盲目ということもあって勝手に家を飛び出すことも出来ません。おまけに大阪へ帰ってきた実父の田邊もカネをねだってきます。仕方なく女たちのポン引きをしながら虚無的な日々を過ごしていました。
暴力のネタバレあらすじ:転
ある夜、孝子は橋の上で男2人に声をかけ、うまくことぶき屋に誘い込みます。彼らは孝子が相手をしてくれると勘違いするのですが、実は後から別の女がくる仕組みです。孝子はこれに腹を立てた男たちに報復されますが、かえってその事で彼らと親しくなります。
男たちは東京で起こった自動車強盗の犯人で、四国へ逃げるつもりでした。四国では彼らの友達が牧場を経営しているのです。それを聞いた孝子は自分たち一家も一緒に連れて行ってくれと頼みます。
暴力の結末
孝子は男たちをことぶき屋に秘かに連れていきますが、山田は彼らが自動車強盗犯だと気づき、警察に通報。警官や刑事がやってきて2人を逮捕してしまいます。しかも牧場の話も完全な嘘でした。
孝子が気落ちしたところに泥酔した田邊が姿を見せ、山田といさかいを始めます。さらに山田が商売仲間の富坂(進藤英太郎)からカネをとって靜子の体を売ろうとするため、もはや孝子は耐えられなくなります。
急な雨が降る中、台所から包丁を持ってきた孝子は山田を刺し殺すのでした。
以上、映画「暴力」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する