カフェ・ソスペーゾ ~優しさがつなぐ一杯~の紹介:2017年アメリカ, イタリア, アルゼンチン映画。貧しい人のためにコーヒー代を払っておくナポリの粋な習慣は、今は世界のあちこちで見る事ができる。三つの都市でコーヒーを通して繋がっていく人々の群像劇を映し出す。
監督:フルヴィオ・イアヌッチ、ローリー・サントス
映画「カフェ・ソスペーゾ 優しさがつなぐ一杯」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「カフェ・ソスペーゾ 優しさがつなぐ一杯」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
カフェ・ソスペーゾ ~優しさがつなぐ一杯~の予告編 動画
映画「カフェ・ソスペーゾ 優しさがつなぐ一杯」解説
この解説記事には映画「カフェ・ソスペーゾ 優しさがつなぐ一杯」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
カフェ・ソスペーゾ ~優しさがつなぐ一杯~のネタバレあらすじ:起・ナポリの粋な習慣
イタリアのコーヒー文化は、ただ飲み物を飲むというだけでなく、コミュニティの連帯に繋がっている。カフェ・ソスペーゾ、「保留コーヒー」は懐に余裕のある者が二杯分のコーヒー代を払い、バリスタが、貧しくコーヒーを飲めない人にその一杯を渡す習慣を言う。これはコーヒーは誰もが飲めるべきという考えから始まっている。
スクニッツィ協会は路上で生活する子供たちの中でも、罪を犯した子どもたちの厚生施設として、ピザ作りと保留コーヒーを教えている。
きっかけは島に隔離するように存在する少年矯正施設を訪れてから、そこにいた子供たちが忘れられず、仕事に就けるように支援する事だった。
カフェ・ソスペーゾ ~優しさがつなぐ一杯~のネタバレあらすじ:承・エリザベスの場合
ニューヨークに住むイタリア系アメリカ人のエリザベスは、コーヒーを淹れる時間を大切にしている。サンピエトロ出身の彼女の父親はイタリアの昔ながらの価値観を持っていて、イタリアのコーヒーをアメリカでも飲むために、自動パーコレーター(抽出器具)を作り特許を取った。
やがて事業はレストラン経営に移り、新品同様の5000個のパーコレーターが物入れに残されていた。金融の仕事で忙しくしていた彼女は親を亡くして、初めて何をしたいか考えるようになった。父親の故郷の生家に訪ね、改めて父親との関係について考えたエリザベスは、今でもパーコレーターを売り続けている。
カフェ・ソスペーゾ ~優しさがつなぐ一杯~のネタバレあらすじ:転・ジャンカルロの場合
生活のためにルーマニアからナポリにやって来た。
彼はある日、友人とポジリポに行き、ひったくりの冤罪で刑務所へ行き保護観察処分になった。そこから逃げた彼は三年の刑期をつけられた。もうすぐその刑期を終える事になっている。刑期中に両親の仲立ちで女性と付き合い始め、今は二ヶ月になる子供もいる。
元はスクニッツィ協会でピザの職業訓練を受けていたが、給料の出るバリスタに誘われ、裁判所内のカフェで、コーヒーの淹れ方からカフェの経営のしかたを習う事になった。
給料の小切手は、彼が正当な手段で手にしたお金として、大切に持っている。しかし彼は刑期を終える間際にナポリから姿を消した。刑期が残っているため彼はイタリアにはもう入国することができない。
カフェ・ソスペーゾ ~優しさがつなぐ一杯~の結末:グロディエールの場合
ブエノスアイレスでバリスタとして働いている彼のカフェには、様々な人が訪れるカフェとして客が訪れている。
その中の一人、作家のマルティンにグロディエールが「自分を小説の中に書いて」と言うと、名前を聞かれたので、ヴィクトリア・シークレットという名前を教えた。
実はグロディエールは、トランスヴェスタイト(クロスドレッサー)で、夜はヴィクトリア・シークレットという名前で女性の恰好をして、バーで歌を歌っている。小説の中に描かれた自分を読んで、涙を流した。
老齢のマルティンはインタビューを終える前に亡くなってしまい、彼が座っていた席には今は別の客が座るようになり、グロディエールは、ヴィクトリアとしてブエノスアイレスで舞台に立つようになった。
以上、映画「カフェ・ソスペーゾ ~優しさがつなぐ一杯~」のあらすじと結末でした。
カフェ・ソスペーゾ ~優しさがつなぐ一杯~のレビュー・考察
人は時折、心のつかえや、自分ではどうしても解くことのできない呪縛や、明かしようのない秘密にとらわれてしまう事がある。保留コーヒーが自分を知らない誰かのための一杯を預けるように、誰かと関わる事で、何かの拍子にそのつかえや呪縛が解ける事がある。作中に出て来た三人がその例だろう。誰か、自分の知らない人のためにコーヒーを預け、知らぬ間に繋がっていくように、人の行いや言葉が繋がっていく。作中で亡くなってしまったマルティンも本としてその言葉は人から人へと継がれていくだろう。
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