或る終焉の紹介:2015年メキシコ,フランス映画。終末医療や安楽死という重いテーマ、そして衝撃のエンディングがカンヌ映画祭で反響を呼んだヒューマン・ドラマ。台詞と音楽が最小限に抑えられたストイックな演出も話題となり、同映画祭で脚本賞を受賞した。孤独に暮らす看護師の男。患者の命を繋ぐことにひたすら人生を捧げているように見えるが、離婚した妻と娘に再会したことで過去の深い悲しみが蘇っていく。主演は「ヘイトフル・エイト」(2015)のティム・ロス。共演はキーファー・サザーランドの実娘サラ・サザーランド。
監督:ミシェル・フランコ 出演者:ティム・ロス(デヴィッド)、ロビン・バートレット(マーサ)、マイケル・クリストファー(ジョン)、サラ・サザーランド(ナディア)、レイチェル・ピッカップ(サラ)、ナイレア・ノルビンド(ローラ)ほか
映画「或る終焉」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「或る終焉」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
或る終焉の予告編 動画
映画「或る終焉」解説
この解説記事には映画「或る終焉」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
或る終焉のネタバレあらすじ:起
終末期患者に寄り添う看護師のデヴィッド(ティム・ロス)。エイズの末期患者サラ(レイチェル・ピッカップ)の食事、入浴、着替えなど、日常生活の全てを支えています。仕事がない日のデヴィッドはひたすらジムで汗を流し、街中をジョギングするという生活を送っていました。サラが亡くなり、葬儀に参列したデヴィッドにサラの姪が声をかけてきます。看護師としての仕事ぶりに深い感謝を捧げ、叔母の思い出話がしたいという彼女の申し出をデヴィッドはそっけなく断ります。その夜、バーのカウンターに1人でいる彼に、たまたま隣に座った若いカップルが話しかけてきました。デヴィッドは、長年連れ添った妻のサラがエイズで亡くなったのだと嘘をつきます。自宅に戻ったデヴィッドは、パソコンに映る若い女性の写真を見つめます。そこには“ナディア”と記されていました。
或る終焉のネタバレあらすじ:承
デヴィッドは新たな患者を任されます。脳卒中で倒れて寝たきりの年配男性ジョン(マイケル・クリストファー)です。ジョンが建築家だったと聞いたデヴィッドは書店へ行き、自分は建築家だと嘘をついて専門書を購入。ジョンに見せてやります。2人の間には友情めいたものが生まれ、頑固なジョンもデヴィッドにはジョークをとばし笑顔を見せます。ところが時に真剣すぎるデヴィッドの看護を異常なものと受け取ったジョンの娘と息子が、彼をセクハラで訴えると言い出しました。事実無根だと訴えるデヴィッドでしたが、ジョンに会うことも許されずそのまま解雇処分に。仕事を失い、一晩中車で街をさまよった彼が会いに向かったのは、いつも写真で見ていた女性ナディア(サラ・サザーランド)でした。デヴィッドに声をかけられたナディアは驚き、2人は抱き合います。ナディアはデヴィッドの娘だったのです。
或る終焉のネタバレあらすじ:転
デヴィッドは元妻のローラ(ナイレア・ノルビンド)とも再会します。ローラはデヴィッドと別れた後に再婚したものの、再び離婚していました。その後、デヴィッドの新しい仕事先が決まります。今度の患者は、末期ガンの中年女性マーサ(ロビン・バートレット)。化学療法で苦しい日々を送っている彼女は、デヴィッドになかなか心を開きません。ある日のこと、ナディアと会っていたデヴィッドは、過去に亡くした息子ダンの話になり涙をこらえきれなくなります。ダンはガンで亡くなっており、その死にはデヴィッドの決断が関わっていました。自分は間違っていたのだろうかと問うデヴィッドに、そうではないと言うナディア。ナディアも医学を学んでおり、形成外科医を目指していました。デヴィッドはナディアをマーサの家に連れて行きます。マーサは自分の子供や孫の話をし、3人は穏やかなひとときを過ごします。しかしマーサの容態に改善は見られず、病院の検査で転移が確認されます。医者はマーサに、このまま化学療法を続けても効果の保証はできないと言います。
或る終焉の結末
マーサはデヴィッドに言います。「もう治療はやめるわ。代わりに手を貸してほしい、息子さんの時のように」。返答につまるデヴィッドですが、化学療法はもうたくさんと泣き続けるマーサを放っておくことができず、彼女のベッドにつきそいます。翌朝、デヴィッドはマーサの依頼をきっぱり断り、そのまま帰宅します。車の中に座り、じっと考え込むかのような表情のデヴィッド。その後、ベッドに横たわり目を閉じるマーサに、デヴィッドは無言で用意していた注射を打ちます。そして家の外へ出ると電話をかけて言います。「心停止だ」。マーサの次に彼が担当した患者は、車椅子に乗る16才の少年でした。デヴィッドが声をかけても、少年は反抗的な態度をとります。休日。いつものように街中をジョギングするデヴィッド。そこへいきなり車が突っ込んできて彼を轢きました。
この映画の感想を投稿する