シネマニアの紹介:2002年アメリカ, ドイツ映画。映画鑑賞に人生を捧げた“映画マニア”達の生活を追うドキュメンタリー。世界中の映画が集まるニューヨークを拠点に、足繁く劇場に通う5人の映画マニアがいた。一口に映画マニアと言っても、彼らには独自のこだわりがある。好きな映画、嫌いな映画、下準備やスケジュール作りも人それぞれだ。取り憑かれたように映画を観る彼らの情熱と、そのために支払った代償について迫っていく。
監督:アンジェラ・クリストリーブ、スティーヴン・キヤク 出演者:ジャック・アングストライヒ、エリック・チャドボーン、ロバータ・ヒル、ビル・ハイドブレダー、ハーヴェイ・シュワルツ、ほか
映画「シネマニア」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シネマニア」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シネマニアの予告編 動画
映画「シネマニア」解説
この解説記事には映画「シネマニア」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シネマニアのネタバレあらすじ:5人の映画マニア達
舞台は現代アメリカ、ニューヨーク。世界中の映画が集まるこの街に、映画漬けの毎日を送る“映画マニア”達がいます。映画鑑賞に生活の全てを注ぎ込む彼らは語ります。「執着なんてものじゃない 説明できないよ だから映画マニアかな」と。
この映画に登場する映画マニアは5人。1人目のジャック・アングストライヒは、最低でも1日3本の映画を観ています。映画中心の生活で、知人の結婚式や葬式、入院のお見舞いにも行きません。彼にとっては映画が最優先なのです。
2人目はビル・ハイドブレダー。映画をたくさん観るためだけにニューヨークに越して来ました。今まで何千本もの映画を見てきたと豪語し、映画こそ人生そのものだと語ります。
映画であればどんなB級作品だろうと観るのは、3人目のハーヴェイ・シュワルツ。駄作も大好きな彼は批判もあまりしません。
4人目のエリック・チャドボーンは、真の映画マニアは仲良くつるむことは無いと話します。特にシネコンが大嫌いだと顔を顰めて話しました。
最後の1人は、「ニューヨークの映画マニアのクィーン」と異名を取るロバータ・ヒル。彼女はどこの劇場にも現れ、しかも目立つので有名人です。
この5人が映画に懸ける情熱と、そのために支払った代償をカメラは収めていきます。
シネマニアのネタバレあらすじ:それぞれのこだわりと事情
ビルは映画鑑賞に時間を割くために、定職には就いていません。他の4人も似たような状態で、中には社会保険で暮らしている人もいます。劇場がどんな環境であろうと映画に集中出来るように、準備を万端にしておくのがビルの流儀です。
映像博物館のキュレーター、デヴィッド・シュワルツは、ニューヨークの映画マニアの悩みは映画の本数と時間との闘いだと語ります。彼らは複雑な予定表を作り、地下鉄で動き回ります。それぞれ最も効率の良いスケジュールを作り、観たい映画を絶対に逃さないよう心血を注いでいるのです。
ハーヴェイは映画の上映時間を暗記しているので、上映が長くても短くても映画館に文句をつけます。彼はサントラ盤もたくさん所持していますが、プレーヤーはありません。
映画マニア達は分刻みで行動するため、トイレに行っている時間さえ煩わしいと感じます。ジャックはトイレを避けるため、わざと便秘になりそうなものばかり食べているそうです。
チケット代についてはそれぞれに考えを持っています。決して出し渋らない人。特典を使って安く観る人。中にはスタッフの目を誤魔化して、チケットを買わずに入る不届き者もいます。
シネマニアのネタバレあらすじ:常識を捨てた生き方
物が多い、それが映画マニアの部屋。特にエリックの部屋は映画関連の物が溢れ返り、足の踏み場もありません。部屋を訪ねたジャックは、エリックと一緒に延々と何時間も質の悪いビデオを見続けました。
デヴィッドは、ロバータやジャックは特別だと語ります。彼らのような映画マニアが客席にいるということは、お墨付きを貰えたことになるので嬉しくなるのです。
ロバータが映画にのめり込んだきっかけは、外国の文化に触れたいという気持ちからでした。彼女は近代美術館で乱暴に半券を千切った職員に激怒し、口論の末に首を絞めたことまであるそうです。ロバータは今まで観た全ての映画の半券を保管していました。ロバータはこの件で近代美術館から出入り禁止を言い渡されていましたが、変装して入ろうとしたこともあります。もちろん、すぐに気付かれてしまいましたが。
シネマニアのネタバレあらすじ:現実からの逸脱
映画マニアの中には、映写が悪ければ映画に集中出来ない人もいます。ジャックはある程度の妥協も必要だと考えていますが、観たくないというのが本音です。ピントや音に文句がある時、彼は劇場ではなく映写室に直接苦情を入れます。ジャックは映写室の電話番号まで当然のように把握していました。
ジャックは、映画鑑賞は現実逃避だという考え方を否定しません。しかし現実だけを優先させる必要は無いと考えています。映画を観なければならないという強迫観念に囚われているような生き方を、精神病と診断されるのは納得がいかないのです。
時には酷い観客に出くわすこともあります。映画マニア達は、その観客を殴ったり、脅したり、殺す権利すらあると当たり前のように考えています。
シネマニアの結末:映画マニアとしての人生
ビルはフランスに行ってEU国籍の女性と結婚したいと夢想しています。サイトに載せる自己紹介文は映画のことばかりです。
エリックは、映画の出演者は生身ではないので、観客には反応しないと語りました。しかしファンはスターを身内のように感じていると。彼自身、大女優オードリー・ヘプバーンの死には近しい人であるかのようにショックを受けたそうです。
ジャックは映画を好きなことと、理解することは別だと考えていました。以前ジャックは映画の真似をして、実際のロケ地に足を運びました。しかし行ったところで何も起こりませんでした。フレームがあるからこそ強い印象を持ちますが、現実にそのフレームは存在しないのです。彼は「自分自身の経験というのは 映画には なり得ないんだ」と語りました。
やがて5人の映画マニアは劇場に集合し、完成した映画「シネマニア」を鑑賞します。素晴らしいと笑いながら、自分達ならどんな映画にするか話し合いました。
映画鑑賞に人生を捧げた彼らは、現実との繋がりを絶ってしまっています。常識を放棄し、独自のルールで生きる彼らは孤独な生活を送っています。映画の他は破綻してしまっている彼らの人生。それでも迷いは無いようです。映画マニアとして究極の姿を見せる5人を見送り、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「シネマニア」のあらすじと結末でした。
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