キューポラのある街の紹介:1962年日本映画。キューポラ(銑鉄溶解炉)のある町に住む、石黒辰五郎の家族達と、家族を取り巻く人々の人間関係を描いた人情ドラマです。当時高校生だった吉永小百合さんの演技力の素晴らしさが味わえる作品です。映画の中では当時の在日朝鮮人たちとの関わりも描かれており、社会派ドラマの一面もあります。
監督:浦山桐郎 出演:東野英治郎(石黒辰五郎)、杉山徳子(トミ(妻))、吉永小百合(ジュン)、市川好郎(タカユキ)、岩城亨(テツハル)、鈴木光子(金山ヨシエ)、森坂秀樹(サンキチ)、浜村純(サンキチの父)、菅井きん(サンキチの母・美代)、浜田光夫(塚本克巳)ほか
映画「キューポラのある街」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「キューポラのある街」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
キューポラのある街の予告編 動画
映画「キューポラのある街」解説
この解説記事には映画「キューポラのある街」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
キューポラのある街のネタバレあらすじ:起
埼玉県の川口市は工業地帯でキューポラ(銑鉄溶解炉)のある、町工場の多くある町でした。ある日、辰五郎の勤める町工場が大手の丸三という会社に買収されることになり、昔からの職人気質の辰五郎は買収を機にクビになりました。辰五郎の家は妻のトミと娘のジュン、二人の息子タカユキとテツハルが暮らす5人家族でした。おりしも辰五郎がクビになった日に、トミは4人目の子供を出産しました。仕事も無くなり、退職金もない辰五郎に、同僚だった若い塚本がやって来て、皆から集めた餞別を渡し、労働組合にかけあって辰五郎にとっていい計らいをすると言いました。しかし労働組合が嫌いな辰五郎は餞別も返し、塚本を追い出しました。そして酒に明け暮れる辰五郎はジュンやタカユキとの言い争いが絶えなく、やがて大喧嘩したタカユキは家出しました。
キューポラのある街のネタバレあらすじ:承
家出をしたタカユキは、子分のサンキチの家に行きました。サンキチの母は飲み屋をやっていて、父は朝鮮人でした。やがて帰って来るものの、辰五郎は朝鮮人と付き合う事を嫌い、怒りました。ジュンは迫りくる修学旅行と、高校への進学のため、足りないお金を稼ぐために、サンキチの姉のツテでパチンコ屋でアルバイトをしました。そのころタカユキは鉄を盗んで町のヤクザの子分に買ってもらっていました。ヤクザの手下として働く弟に怒ったジュンはヤクザの事務所に乗り込んで大立ち回りをしました。ジュンは同級生のノブコに勉強を教えていました。そしてノブコの父親のコネもあって、辰五郎の再就職先が決まりました。喜ぶ家族でしたが、オートメーション化された鋳物工場での辰五郎の居場所は無く、半月で辞めてしまいました。ジュン、タカユキに大声で責められるも、辰五郎は怒鳴り散らし、酒を飲み始めました。このころから母のトミは飲み屋で働くようになっていました。
キューポラのある街のネタバレあらすじ:転
修学旅行の旅費は学校関係から借りたものの、こんな家庭環境になり、ジュンは修学旅行の当日、汽車に乗りませんでした。そして町を歩いていると、母のトミが仕事場の飲み屋で男たちと楽しそうに騒いでいる姿を見ました。ショックで何もかも嫌になったジュンは、通りで旧友で不良のリスに会い、ダンスバーに行きました。楽しそうに踊る二人でしたが、バーにはヤクザの子分のチンピラ達がいました。飲み物に睡眠薬を混ぜられ、眠ったジュンは部屋に連れ込まれました。強姦されそうになりますが、塚本と警察が駆けつけ、事なきを得ました。タカユキの子分のサンキチが、父親と姉と一緒に朝鮮へ帰る日が来ました。ジュンや塚本も見送りました。サンキチの母親は来ていませんでした。最後に母に会いたいというサンキチをジュンらは止めました。
キューポラのある街の結末
ジュンは高校の進学をあきらめて縫製工場に就職することに決めました。そして見学に行った縫製工場では、定時制高校に通っている人が沢山いることを知り、定時制に通うことにしました。塚本が丸三の工場が新設されるにあたって、辰五郎の再就職の話を持ってきました。辰五郎は再就職の話を受けました。そしてジュンに普通高校への進学を勧めましたが、ジュンはもう決めたことだと言って定時制に通うと言いました。朝鮮に帰ったはずのサンキチがいました。母親に会いたくて、途中で帰って来たと言いますが、母親は店を閉め、再婚していました。こうして辰五郎の一家に、笑い声と笑顔が戻って来ました。母にも会えず、朝鮮に帰る決心がついたサンキチが乗る汽車を、ジュンとタカユキが見送っていました。
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