ダーウィンの悪夢の紹介:2004年オーストリア,ベルギー,フランス映画。一匹の外来種放流のせいで生態系の崩れたビクトリア湖。その異変は湖畔の町にも波及していく、そして明るみになる衝撃の事実とは。
監督:フーベルト・ザウパー 出演:ディモン、エリザ、ラファエル、カイジャゲ
映画「ダーウィンの悪夢」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ダーウィンの悪夢」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ダーウィンの悪夢」解説
この解説記事には映画「ダーウィンの悪夢」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ダーウィンの悪夢のネタバレあらすじ:起・魚のもたらす富の裏で
タンザニア、ビクトリア河畔の町。ここで捕られる魚を運びに、飛行場へは毎日飛行機が到着し、ヨーロッパへ魚アを運んでいる。この町は魚による雇用で経済が回ると同時に、パイロット相手の売春、ストリートチルドレンの問題を抱えている。工場のオーナーは、ナイルパーチはこの湖に誰かが放流し他の魚を食べ、そのナイルパーチ売ることに依存していると話す。パイロットたちは残してきた家族を思いながらも、魚で稼がないと、仕事があるだけでいいと話す。パイロット相手に売春しているエリザは独学で流暢な英語を話しているが、本当はコンピューターの学校へ行く夢を持っていた。ナイルパーチや湖の他の魚について研究している河畔の研究施設の夜警の青年ラファエルも本当は学校に行きたいが、生き延びるために毒矢で夜警にあたっている。この仕事は前任者が勤務中に殺害されている。この街には湖周辺のから貧困やHIVを原因にストリートチルドレンが集まってくる。この町で唯一の画家ジョナサンは、名もなきストリートチルドレンを描いていた。生活の厳しさによる奪い合い、彼らは生き延びるための物乞いや売春を行う。その中のリザは年長者から性的虐待受けるため少年たちといた。彼らのほとんどは漁師の子。
ダーウィンの悪夢のネタバレあらすじ:承・死の伝播
毎年たくさんの漁師が亡くなる。またHIVで夫を亡くした女性が湖周辺で売春をするため、病は広がっていく。教会の聖職者は、男性には福音を女性には売春を辞めるようにいる。婚前交渉、同性愛も罪に当たるとして教会はコンドームの使用を勧めることはない。ナイルパーチの工場は順調。供給過多のヨーロッパに加えて最近はロシアからも飛行機が来る。難民に衣服食料を運び、魚を積んで帰ると称するヨーロッパから来た飛行機から、武器が見つかった。その行き先はアンゴラだった。町の少女たちにこの街を経由する飛行機が何を積んでいるか聞いても帰ってくる答えはナイルパーチの事だけ。パイロットもまた、積み荷を救援物資だと思い込んでいた。漁師島のイトには内陸出身の漁師と娼婦たちが住んでいる。病院も診療所もなく、病で仕事ができなくなると帰らなく手はいけない。この漁師村のリーダーは、貧困の悪循環と売春婦たちも好きで生業にしているわけではない、創造主は世界を作った時に限られた資源しか与えなかったから奪い合いが起きていると語る。そして富と資源を牛耳っているのはヨーロッパだとも。
ダーウィンの悪夢のネタバレあらすじ:転・壊された生態系
学会ではビクトリア湖の生態系は、ナイルパーチによって維持していた魚が絶滅したせいで、壊滅的だと言う話がなされる。しかしその変化は、町にも及ぶ。漁師は餓死の危機の反面、魚の品質管理は雇用を生み、加工過程が値段を上げる。この町の人間には手が届かないほど高くなる。加工後の中骨を干す女性は、魚の放つアンモニアガスに目をやられている。頭を揚げて売り、切り身はヨーロッパや日本で消費される。ヨーロッパから来た視察団は魚の加工インフラを整えたのはEU、それから先はここで働く人のおかげだと言う。ストリートチルドレンは、今日も鍋の食料の奪い合いの喧嘩をし。ナイルパーチの梱包材を燃やした煙を麻薬でも吸うように吸う。エリザは客に殺されてしまった。プラスチックメーカーの社長、ナイルパーチとの共存関係、ヨーロッパは魚を確保するために援助している。
ダーウィンの悪夢の結末:飛行機の運ぶもの
夜警の青年は、兵士になれば政府の支払いがよく大儲けできるけど入るのは難しい。戦争になれば呼び戻されるので、人々はお金のために戦争望んでいる。人を殺したいわけじゃないのではという質問に、戦争に殺戮はつきものと彼は答えた。コンゴ、ザイール、アンゴラなど二次大戦から紛争が続くアフリカの戦争は単純ではなく、いくつもの国が関係している。戦争のあとは飢えた人々が残る。タンザニアの保安長官が武器の密売で起訴された。ナイルパーチの飛行機によってビクトリア湖周辺への武器流通が容易になっていた。飛行機はヨーロッパから武器弾薬を運び、魚を乗せて返る。監視官はいても見て見ぬふり。利権を握るヨーロッパからの援助もまたビジネス。あるパイロットは二回アンゴラへ戦車のような大きなものを運びヨハネスブルクからブドウを積んで帰った。会社はお金を貰っていた。世界中の子供たちの幸福を願っているけれどどうしたらいいかわからないと彼は語った。
以上映画ダーウィンの悪夢のあらすじと結末でした。
ダーウィンの悪夢のレビュー・考察:飢えの生む悪循環
子供たちの学びへの飢え、これがここに写し出された問題のひとつの解決法になるのではないだろうか。対比として出てくる大人の無知と無関心によるHIVの蔓延や武器の密輸や、付け焼刃のような救援物資はいっそ皮肉のように映る。そして、魚の消費者である私たちの無知さを思い知らされる。
世界の貧困を目の当たりにさせられる、衝撃的なドキュメンタリー映画です。海外から輸入した安い白身魚には、こんな裏話が秘められていたなんて。かといって、輸入した魚を食べなかったからといって貧困を無くせるわけでもなく、難しい現実を考えさせられる問題作です。