ナイルの娘の紹介:1987年台湾映画。『恋恋風塵』等で台湾ニューシネマの代表的存在となったホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督が、レコード会社の出資を受けてアイドル歌手ヤン・リン(楊林)を主演に起用。でも、日本の漫画『ナイルの娘』(=『王家の紋章』)を愛読するヒロインが暴力と隣り合わせの環境で夢を見、幻滅を味わうというアイドル映画らしからぬストーリー。
監督:ホウ・シャオシェン 出演者:ヤン・リン(シャオヤン)、ガオ・ジエ(シャオファン)、ヤン・ファン(アーサン)、シン・シューフェン(フェン)その他
映画「ナイルの娘」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ナイルの娘」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ナイルの娘」解説
この解説記事には映画「ナイルの娘」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ナイルの娘のネタバレあらすじ:起・シャオヤンの身の上
遠くに台北の高層ビルが見える家に住んでいるシャオヤンがカメラに向かって語りかける。中学三年の時、兄のシャオファンが彼女のために赤いウォークマンをもってきた。売り出されたばかりの製品である。遠隔地で働く父親は警官だというのに、兄は泥棒に手を染めていたのだ。兄に厳しくしていた長兄が死んでしまい、兄を抑えられる人はいなくなった。長兄が死んだ次の年、兄が毎日痛み止めの注射をしてあげていた母も癌で亡くなった。
今、シャオヤンはケンタッキー・フライド・チキンでアルバイトをしながら夜学に通って家では妹の面倒を見なくてはならない。近所に住む祖父が妹をかわいがるが、シャオヤンは妹にも盗癖がないか心配している。
だが、シャオヤンには夜学にも、兄が始めた酒や食事を出す華やかな店、ピンクハウスにもいっしょに遊ぶ仲間がいた。ピンクハウスにたむろする兄の仲間の中の一人アーサンにシャオヤンは恋心を抱いている。アーサンは恋人にくっついてアメリカに渡ったが、なじめずに帰ってきた過去があった。アーサンはシャオヤンにとって、彼女の好きな日本のコミック「ナイルの娘」の22歳で死ぬ運命のメンフィス王だった。シャオヤンはさしずめ、「ナイルの娘」の現代から古代エジプトにタイムスリップしてメンフィス王と恋に落ちた娘だった。
ナイルの娘のネタバレあらすじ:承・アーサンの危機
アーサンはヤクザの情婦と恋に落ちていた。そのせいでアーサンは銃撃に遭う。シャオファンは仲間たちにアーサンの件には関わるなと注意していたのに、彼らはヤクザにアーサンの報復をしてしまう。ピンクハウスが営業中に警察の捜索を受ける。シャオヤンはアーサンに頼まれて逃亡資金をもっていく。シャオヤンはアーサンに、アーサンの母親がいる日本に逃げられないかと言うが、空港でつかまってしまうだろうとアーサンは言う。彼は女を乗せた自動車で去っていった。だが、公衆電話からシャオファンに電話をかけているところを敵に襲撃されてしまう。
ナイルの娘のネタバレあらすじ:転・父の負傷
首に傷を負ってシャオファンが帰ってくるという悪夢をシャオヤンが見た直後、父が事件にまきこまれて負傷したという報せを受ける。腕に大けがを負った父は自宅で療養する。ある日、シャオファンが同棲している恋人のフェンを連れてやってきた。シャオヤンは祖父、叔母、父、妹、シャオファン、そしてフェンと会食をする。シャオファンといがみ合っていた父もフェンをいい娘だと言う。だが、シャオヤンはフェンからアーサンが殺されたことを聞かされてショックを受ける。
ナイルの娘の結末:シャオファンの最期
アルバイト中のシャオヤンにシャオファンから電話がかかってくる。預金を全部下ろしてほしいとのこと。家に現れたシャオファンに、シャオヤンは頼まれていた金を渡す。ピンクハウスはたたむことになった。シャオファンは店で見つけたと言って、アーサンがシャオヤンの誕生日プレゼントに用意していた品を渡した。
フェンがシャオヤンのアルバイト先に訪ねて来る。シャオファンが賭博にのめりこんでしまったこと。そして彼女の元を去って戻ってこないことを相談する。やがて家のラジオに、強盗が押し入った先で殺されたというニュースが流れる。シャオファンの仲間が「強盗はシャオファンではないか」という電話をかけてくる。
その予想は当たっていた。シャオヤンの声で父親がシャオファンの遺体を確認した顛末が語られる。
この映画の感想を投稿する