ディオールと私の紹介:2014年フランス映画。クリスチャン・ディオールのアトリエにやって来た新しいアーティスティックディレクター、ラフ・シモンズがディオールの職人たちと初めてのオートクチュール・コレクションの発表に挑む。
監督:フレデリック・チェン 出演:ラフ・シモンズ、Diorアトリエ・スタッフ
映画「ディオールと私」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ディオールと私」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ディオールと私の予告編 動画
映画「ディオールと私」解説
この解説記事には映画「ディオールと私」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ディオールと私のネタバレあらすじ:起・ディオールの新しいデザイナー
ラフはディオールに着任した新しいデザイナー。これまで男性服のプレタで猶馳せていた下での移籍に、アトリエの職人たちは驚いた。なぜならディオールは女性服のオートクチュールでそれまでの彼のイメージとは真逆だったからだった。彼はドレス部門とスーツ部門の職長に紹介され、初めてのオートクチュールのショーに挑む。ラフは、デザイン画を描くのではなく、イメージあわせ、ファイルにしてデザインを作り上げていくと言う方法を取っていた。彼はそのイメージを膨らませるために美術館へも足を運び、その中の絵からもヒントを得る。ディオールの布はプリントではなく、糸に色を付け織ることで深みのある布を作り出す。そのようにして現代アートの柄を織り出せないかと相談した。
ディオールと私のネタバレあらすじ:承・アトリエの職人たちと伝統
アトリエの職人たちは長く働いている者から見習い、契約等様々。けれどここでそれぞれに技を得る。オートクチュールはプレタポルテと違い、決まった型紙に沿って切り出して作るわけではなく、ひとつひとつ独自に切り出し、パーツを作り、それらをつなぎ合わせることで一つの服になる。アトリエで働く職人たちにはディオールの技術が脈々と受け継がれていた。今でもアトリエではディオール氏の気配を感じると言う。ラフは最初のフィッティングノ日までにドレスが一着も出来上がっていないことに我慢ならなかった。しかしディオールはオートクチュールである以上一人一人に客がおり、その時はちょうど、ドレス部門の職長がニューヨークの客の所まで出張していっていた。ぴれたポルテと違い、客のオーダーによって利益を得るディオールにとって、何着も注文してくる客はとても大事だった。ラフはそれが我慢ならなかった。その時ドレスの職長は、お客の注文とショーのコレクションづくりで板挟みになっていた。
ディオールと私のネタバレあらすじ:転・やり直し、そしてやり直し
難しいと言われていた現代アートを元にした布も出来上がり、職人たちは本格的な服作りに入っていた。ラフはショーに使う邸宅をパリにみつけたが、壁が気に入らなかった。改装するには費用が掛かりすぎると言う事で、彼はディオール氏の邸宅に向かった。そこは小さなピンク色の邸宅で庭は花にあふれていた。そこで彼は、ショー使う邸宅の壁を塗り替えるのではなく、生花で埋めることを思いついた。ショーの準備も最終段階に入り、アトリエはいよいよ大忙し。ラフは実際のモデルに着せて歩かせては微調整を行う。時としてそれはゼロからまたやり直しという事も起きた。すべてが手作業で行われるアトリエでは、薄い生地へのビーズ刺繍も数人の職人たちが集まり行われていていた。そしてそれはまたドレスの一部となった時、刺繍を足したりという作業が行われる。
ディオールと私の結末:プレミアショー
ショーのマスコミへの宣伝もまた大事な大切なことのひとつだった。かつてパリマッチ誌にディオール氏が表紙に飾られるように売り込もうと前略を立てようとする者の、ラフは人前に出るのがあまり得意ではなかった。しかし、ショーの終わりにモデルたちの後に出て行くことは承諾した。当日、報道陣やセレブが集まる中、モデルの動線の最終確認が行われていた。ショーは三時から。アトリエでは、未だに服の最終調整が行われており、11時まで30分を切ってもみな手を動かしていた。そして、出来上がった服たちはショーの行われる邸宅へ運ばれ、職人たちもまためかし込んでショーを見守りに向かった。職人の一人は、この大変な仕事がショーで終わってしまうのを寂しく感じていた。作り上げた服は子供と同じで、ショーに出て行くのは自分の手を離れるのと同じだからと言った。現場では招待客やマスコミはまず花の壁に驚かされていたが、ショーが始まると、スーツから始まり、華やかなドレスへ展開されていくショーに圧倒されていた。それはかつてディオール氏が服で女性を解放したように、ミニマリストと言われていたラフのイメージの解放でもあった。ディオールの伝統は技術と精神として受け継がれていく。こうして、ラフの初めてのオートクチュールのショーは成功を治めた。
以上、映画のあらすじと結末でした。
ディオールと私のレビュー・考察:ディオールの精神と誇り
ハイブランドには、世界に名をはせるだけの精神と誇りがあるのだと実感させられる。そしてフランスらしくアトリエには「自由」がそこにあり、デザイナーもそれを吸収してゆく。それはディオールの職人たち個々が優秀であるからこそできる技であり、これだけの職人が集まってくるディオールのすごさというのが伝わってくる。一枚の平坦な布からきらびやかなドレスが出来てくる瞬間はまさに圧巻。
「ディオールと私」感想・レビュー
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今日のディオールの成功だけでなく、その課題も描写できているドキュメンタリー映画。社内での対立についても逃げずに撮影しています。ファッションブランドの宣伝のための映画ではないのがいいですね。素晴らしい仕事がどのようになされているのかを垣間見ることができます。
ラフ・シモンズがディオールに大抜擢と聞いた時は正直まったくピンと来なかったけれど、この映画を見て、そのイメージが覆されました。彼のストイックなまでのミニマリズム、クリーンなイメージと、ディオールの守り抜いてきたエレガンス、清楚さがうまく絡み合い、結果、フレッシュで鮮烈なコレクションが誕生した背景がとても分かりやすく表されていたなと思います。特に今までは謎のベールに包まれていたオートクチュールの世界が、この映画によって一気に身近なものに感じられるようになった功績はとても大きいと思います。何十年とディオールに尽くしてきたお針子さんや職長たちも、見た目はどこにでもいそうなマダムたち。彼女たちがシビアなタイムリミットの中で、新参のラフを受け入れていく過程もまた、とても感動的でした。ラフが去ってしまったことが淋しく感じられるほどに、感情移入して見てしまいました。