ドクター・スリープの紹介:2019年アメリカ映画。アメリカのホラー小説家スティーブン・キング原作の『シャイニング』。スタンリー・キューブリックによって1980年に映画化され、モダンホラーの金字塔と言われたその続編となるのがこの『ドクター・スリープ』だ。前作は、霊的存在よりも主人公の人間としての変化に重点がおかれ、スティーヴン・キングに嫌われてしまったが、今回は人間ではない存在や超常現象がメインのため彼も気に入っているという。加えて前作のシーンを差し込んだり、そっくりな場面を再現したり、とキューブリックへのリスペクトも忘れていない。
監督 マイク・フラナガン 原作:スティーヴン・キング 出演:ユアン・マクレガー(“ダン” ダニー)、レベッカ・ファーガソン(ローズ・ザ・ハット)、カイリー・カラン(アブラ)、クリフ・カーティス(ビリー)、カール・ランブリー(ディック・ハロラン)、ザーン・マクラーノン(クロウ・ダディ)、エミリー・アリン・リンド(スネークバイト・アンディ)、ブルース・グリーンウッド(ジョン・ダルトン医師)、ほか
映画「ドクター・スリープ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ドクター・スリープ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ドクタースリープの予告編 動画
映画「ドクター・スリープ」解説
この解説記事には映画「ドクター・スリープ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ドクタースリープのネタバレあらすじ:起
1980年、フロリダ州。湖畔のキャンプ場で、帽子をかぶったローズという女とその仲間によって、ヴァイオレットという少女が殺されました。
同じころ。オーバールックホテルから生還したダニー少年(前作シャイニング参照)は、ホテルでの悪夢のような体験の記憶に悩まされる日々を送っていました。そんなダニーを導くのは、同じ能力“シャイニング”を持っていたディック・ハロラン(カール・ランブリー)。ディックはホテルで殺されてしまいましたが、ダニーを守るため、時折姿を現します。ディックは頭の中に“魔法の箱”を置き、そこに悪霊を閉じ込めるのだと教えてくれました。その夜、早速ダニーはバスルームに出る老婆の幽霊で試してみるのでした。
ダニーは大人になり、ダン(ユアン・マクレガー)と名乗っています。過去のトラウマからアルコールに依存しているダンは、酒・女・ドラッグと自堕落な生活を送っています。そんなとき、ディックが現れ、ダンに正しい行いをするよう諭すのでした。
ニューヨーク州ロングアイランドの映画館。他人を言葉で操る能力を持つ少女、アンディ(エミリー・アリン・リンド)に目を付けた帽子の女ローズ(レベッカ・ファーガソン)とその仲間クロウ(ザーン・マクラーノン)は、彼女を拉致します。
目覚めたアンディに、ローズは自分たちの仲間になれば若さを保てると勧誘し、アンディは“トゥルー・ノット”の儀式を受けることに。砂浜であおむけに横たわり、容器から立ち上る蒸気のような白い気体を吸い込みます。それは湖畔で襲われた少女ヴァイオレットの“生気”でした。それが体内に入ると、アンディは死ぬほどの苦痛を味わうのでした。
眠りから目覚めたアンディは、痛くて死ぬかと思ったとローズに文句を言います。そしてふと自分は死んだのかと疑問に思い、「わたしはまだ人間?」と質問しますが、ローズは「食べれば元気になる」と言うだけでした。
ドクタースリープのネタバレあらすじ:承
ダンはバスでフレイジャーの町に降り立ちます。バス停近くの公園には小さな町の模型があり、そこで働いている男が声を掛けてきました。その男はビリー(クリフ・カーティス)。彼は人間の善悪が直感で分かるのだと言います。訳ありなダンの境遇を察したビリーは、自分の住む借家を紹介し、当座の家賃も立て替えてくれました。そして公園での仕事まで斡旋してくれたのです。
その後ダンは、ビリーに連れられて医師が行うグループカウンセリングに参加するようになりました。主宰者の医師ダルトン(ブルース・グリーンウッド)と握手したダンは、ダルトンが失くした腕時計の在りかを彼に伝えます。後日、無事腕時計が戻ったダルトンに呼ばれたダンは、彼に誘われてホスピスでも働くことになりました。
ホスピスでは猫を飼っています。その猫には不思議な力があり、死期が訪れた患者の部屋にやってくるといわれています。ある日、その猫がとある部屋に入っていきました。ダンが後を追うと、その部屋の患者は死を受け入れているようです。しかし患者は死を怖がっていて、ダンは「眠るだけです。怖くありません」と静かに語り掛けます。患者はダンを“ドクター・スリープ”と呼び、それでも「怖くてたまらない」と訴えます。ダンは頭の中に直接語り掛け、ようやく患者は落ち着きました。そしてその口から白いモヤのような気体が立ち上り、患者は亡くなりました。
自宅に戻ったダンは、黒板になっている壁に“HELLO”と書かれているのを見つけ、“Hi”と返事を書き込みました。
ドクタースリープのネタバレあらすじ:転
8年後。
自室でダンは、壁の黒板に久しぶりのメッセージを見つけます。それは、強力な力をもつアブラ(カイリー・カラン)からでした。
そのころ、ローズたちは相変わらずの共同生活を送っていました。クロウはローズに、皆が弱ってきているので食事がしたいと進言します。容器から生気を吸う仲間たち。
アイオワ州アデワ。彼らは野球少年を拉致し、地面に大の字にしてしばりつけます。逃げられないと観念した少年は馬乗りになったローズに「痛くする?」と聞きます。「恐怖と苦痛は生気の質を高める」と少年をナイフで傷つけ、悲鳴をあげさせては口から出てくる生気を皆で吸い込むローズたち。その様子を遠く離れた場所に住むアブラが感知し、少年とともに叫び苦しみます。それはダンにも伝わり、ダンの部屋の黒板には“MURDER”(殺人)の文字が。
そしてローズも、誰かに殺人現場を見られたということを認識していました。
アブラはネットで行方不明の子供を検索し、野球少年を特定しました。自室の窓辺に立って精神を集中し、アブラの意識はローズのいるスーパーに降り立ちます。ローズが冷ケースのガラスを見つめると、そこにアブラの姿が。ガラスは割れ、ローズは吹き飛ばされます。その衝撃はダンにも伝わりました。
翌日、アブラは学校をサボってダンのいる街へやってきました。ダンはアブラに、この能力を“シャイニング”と呼んでいること、力を自覚している人は少ないことを伝え、殺人を行った奴らに見つからないよう、力を使わずじっとしているよう忠告するのでした。
しかしその夜ダンの前にディックが現れ、 “シャイニング”を持つ子供を食らう奴らから、今度はダンがアブラを守る、それが運命なのだと告げます。
そのころローズは、アブラを探して意識を飛ばしていました。家を見つけ部屋に侵入しますが、逆にアブラの罠にはまり、頭の中に入り込まれてしまいます。右手にひどいケガを負いながら逃げ出したローズは、クロウに事態を説明します。
一方アブラは、ダンに得意げにローズ撃退の報告をします。それにより更なる危険が迫っていることを確信したダンは、ビリーを伴って野球少年殺しの証拠を探しに行きます。死体と証拠のグローブを発見したダンはアブラの父親を説得し、ローズ以外のトゥルー・ノットがアブラのもとに迫る中、彼らを退治する作戦を実行します。
森の中。ひとりで腰かけるアブラにアンディが近づき、首に薬品を注射しますがそれはぬいぐるみでした。悔しがるトゥルー・ノットたちをダンとビリーが猟銃で攻撃します。弾が当たると彼らは倒れ、煙のように消滅します。アンディを追いつめたダンは、彼女の言葉の力によって眠らされそうになりますが、隠れていたビリーの一発がアンディを倒します。しかし、不用意にアンディに近づいたため、「死ね!」の言葉に逆らえずビリーは自分の頭を撃って即死してしまいます。
「あとひとり足りない」
仲間のクロウは別行動でアブラの家に向い、父親を殺してアブラを拉致していました。大量の薬を投与され、アブラは意識もうろうとして力も使えません。
打つ手がなくなったダンは自宅に戻って“シャイニング”能力をフル稼働させます。ようやくアブラを乗せた車に意識を飛ばすことに成功したダンは、アブラの体を借りてクロウに話しかけ、急ハンドルを切って事故を起こさせクロウを倒すのでした。
ドクタースリープの結末
アブラと合流したダンは、オーバールックホテルに向かうと言います。そこでローズを迎え撃つと。
ホテルに着くとダンはアブラを車に残し、ひとりホテルに入っていきます。勝手に灯る照明に導かれるように進むダン。ボイラー室でスイッチを入れた後、ダンはかつて生活していた部屋で父親が行った惨劇のあとを見つめます。ボウルルームのバーカウンターでは、父親そっくりのバーテンダー(の亡霊)から酒を勧められますがそれを払いのけます。
するとアブラから、ローズが来たとの連絡が。ダンはアブラを迎えに行き、手をつないで中に入ります。
かつてダンの父がタイプライターを使っていた広間でローズを迎えるふたり。クロウや仲間たちを殺された怒りをぶつけるローズを、ダンとアブラは協力して雪の迷路へと飛ばします。アブラの姿を追うローズ。迷路の中心部でローズを待っていたアブラは、ローズを出し抜きながら彼女の足を切りつけていきます。何度か攻撃されて間合いをつかんだローズが、今度はアブラを捕まえて首を締め上げます。しかしローズの背後にはダンの準備した“箱”が迫っています。間一髪、箱から逃れたローズの意識は広間に戻り、作戦に失敗したダンはアブラに逃がしてローズに向かっていきます。
そしてローズは、ダンがかつてこのホテルにいたダニーであることに気づきます。ローズは仲間になるよう提案しますがダンが拒否したため、彼の持つ斧を奪い、太ももに一撃食らわせます。そしてその傷を指でえぐり、ダンの悲鳴を吸い込むローズ。
そのとき、ローズの背後にはホテルの亡霊たちが迫っていました。彼らはローズを押さえつけ、同じように生気を吸いつくします。それが終ると今度はダンの方へ向かってきます。「ハロー、ダニー」そう言って彼らはダンに覆いかぶさってきました。
そのころアブラはさまざまな亡霊に遭遇し、ついには斧を持ったダンに襲われそうになります。しかし、アブラはその強大な力でそれをはねのけ、ダンも正気に戻ります。
アブラはホテルを脱出し、ダンはボイラーを爆発させてホテルを火の海に。忌まわしきホテルは炎上し、アブラは救助されました。
後日。アブラは自室でダンと話をしています。それはかつてのディックのように、死後もなお存在するダンの意識でした。生きているときと変わりなく、ふたりの関係は続いていくようです。
家族二人きりになってしまった母を心配させないよう、隠し事はせずにダンのことを話すアブラ。でもバスルームにいる老婆の亡霊を退治することはきっと黙っていることでしょう。
以上、映画「ドクター・スリープ」のあらすじと結末でした。
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