ドッグマンの紹介:2018年イタリア,フランス映画。イタリア南部のさびれた海辺の町で〈ドッグマン〉という犬のトリミングサロンを営むマルチェロ。質素な店だが大好きな犬の世話をしながら自身の才能を生かす仕事で、愛する娘と会う時間や仲間との食事やサッカーなど楽しむ幸せな日々を送っていた。しかし、一方で暴力的で麻薬中毒の友人シモーネに利用され支配される関係から抜け出せずにいた。その結果、仲間たちとの信用やサロンの顧客、娘と会う時間も奪われ、温厚で小心者のマルチェロは、次第に復讐心を燃え上がらせる。人生の不条理を容赦なく描いた衝撃のラストシーンは必見。監督はイタリア映画界の鬼才マッテオ・ガローネ。イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞や監督賞をはじめとする最多9部門を制した。
監督:マッテオ・ガローネ 出演:マルチェロ・フォンテ(マルチェロ)、エドアルド・ペッシェ(シモーネ)、ヌンツァ・スキャーノ(シモーネの母親)、アダモ・ディオニージ(フランコ)、フランチェスコ・アクアローリ(フランチェスコ)、アリダ・バルダリ・カラブリア(アリダ)、ジャンルカ・ゴビ(レストランの主人)ほか
映画「ドッグマン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ドッグマン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ドッグマンの予告編 動画
映画「ドッグマン」解説
この解説記事には映画「ドッグマン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ドッグマンのネタバレあらすじ:起
歯を剥きだして激しく吠える獰猛な犬。そんな犬でも恐れることなく愛情を持って話しかけながら体を洗ってあげるマルチェロ。彼がイタリア南部のさびれた海辺の町で営むのは〈ドッグマン〉という犬のトリミングサロンです。
店は質素ですが、大好きな犬とずっとすごせるこの場所はマルチェロにとっては楽園でした。妻とは別れ独り身ではあるものの、関係は良好で最愛の娘といつでも会うことができ、仲間たちと共に食事やサッカーを楽しんで過ごす毎日はとても幸せでした。
ドッグマンのネタバレあらすじ:承
しかし、マルチェロには1つだけ気にかかることがありました。シモーネという暴力的な友人の存在です。シモーネはマルチェロよりも2回りも3回りも大きく、いつも無理難題を強引に押し付けてきます。ある日は空き巣に入る際に嫌がるマルチェロを無視して車の運転手をやらされ、またある日はコカインを買わせて金を払わなかったりと、小心者で気の優しいマルチェロはこの主従関係から抜け出せずにいました。
思い通りにいかないと容赦なく暴れるシモーネの行動は仲間内でも問題になり、仲間のフランチェスコからは金を払ってよその町の人間に殺してもらおうという話まで出てきたほどでした。こんな物騒な話にマルチェロは無言で難色を示すことしかできませんでした。
数日後、シモーネがバイクに乗った2人組の男たちに銃で撃たれる事件が起こりました。一緒にいたマルチェロは銃弾を受けて弱っているシモーネを彼の母親のもとへ運び、手当をしてあげるのでした。
ドッグマンのネタバレあらすじ:転
ある日、サロンにやってきたシモーネから、マルチェロの店の壁をぶち抜いて隣の金の買取屋に強盗に入る話を持ち掛けられました。そこはマルチェロの友達フランコが営んでいる店。マルチェロは「友人は大切」と今回ばかりは必死に断りましが、シモーネに強く締めあげられ半ば脅しとして鍵を渡すよう迫られます。殺されかけたマルチェロは黙って従うしかありませんでした。
翌朝、マルチェロが店へ行くとたくさんの警官が店の前に立ちふさがっていました。警官は誰の仕業かを見通していました。しかし、証拠がないためマルチェロを連行し厄介者のシモーネが犯人であると話すよう促しますが、マルチェロは一切口を割りません。
その結果、マルチェロの単独犯として有罪になり刑務所へ入ることになってしまいました。
ドッグマンの結末
1年が経ち、刑期を終えたマルチェロが町へ戻ると、仲間から「裏切り者!」「恥知らず!」と罵られます。皆がフランコの店を襲撃したのはマルチェロの仕業だと思っているのです。しかしマルチェロはこれを否定せず、シモーネを訪ねました。分け前をもらうためでした。ところが、シモーネははぐらかし、反対にひどくマルチェロを痛めつけたのです。
仲間からは嫌われ、愛娘もサロンに寄り付かなくなり、どん底に突き落とされたマルチェロ。自分から幸せな日々を奪ったシモーネに復讐を計画します。
麻薬の売人を店で待ち伏せし襲撃する計画をシモーネに持ち掛け、大型犬の檻に閉じ込めました。しかし怪力のシモーネはこの檻を壊そうと大暴れします。シモーネが檻を破って頭を出したところを、怖くなったマルチェロは鉄で殴ります。シモーネが気がついたときには大型犬の鎖につながれていまいた。
しかしシモーネも黙っていません。マルチェロの隙を見てとてつもない力で首を絞めました。ほとんど気絶しかけていたマルチェロでしたが、間一髪のところで、シモーネが座っていた台を電動で動かし、それによってつながれていた鎖がシモーネの首に食い込んでいきます。ついにシモーネはマルチェロから手を離しそのまま動かなくなりました。
マルチェロはすぐさま遺体を車に乗せ海辺へ移動し、火を放ちました。すると、遠くにサッカーを楽しむ仲間たちの声がします。マルチェロは走って近づくと、興奮気味に「ついにやったぞ!」と叫びました。しかし、何の返答もありません。まるでそこに誰もいないかのように。マルチェロはどうしても仲間に認めてもらいたくて、シモーネの遺体に戻り慌てて火を消すと、大きな体をかついで再び仲間のいる場所へ戻ります。ところがすでに誰の姿もありませんでした。
マルチェロはまるで魂を失ったかのように茫然とシモーネのそばに座り込み、どうすることもできない運命を感じて遠くを見つめているのでした。
以上、映画「ドッグマン」のあらすじと結末でした。
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