早春の紹介:1956年日本映画。巨匠小津安二郎が前作『東京物語』から3年後に監督した映画で、2時間25分に及ぶ長尺作品。若い夫婦間の不和を取り上げており、小津監督の題材としては珍しい。全体として暗い雰囲気だが、杉村春子だけがコメディリリーフとして達者な演技を見せている。
監督:小津安二郎 出演:池部良(杉山正二)、淡島千景(杉山昌子)、岸恵子(金子千代)、浦辺粂子(昌子の母)、高橋貞二(青木)、杉村春子(田村たま子)、ほか
映画「早春(1956年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「早春(1956年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
早春の予告編 動画
映画「早春(1956年)」解説
この解説記事には映画「早春(1956年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
早春のネタバレあらすじ:起
六郷土手近くの長屋に住んでいる杉山は、丸ビルにある東和耐火煉瓦の社員。今朝も妻の昌子に起こされ、出勤するために蒲田駅へ向かいます。駅のホームでは通勤仲間である青木、藤井、イチ子、それに金子千代などと合流し、一緒に大宮行きの電車に乗り込みました。彼らは休日も一緒に遊びに出かけるほど仲が良く、今度の日曜日も江ノ島にハイキングに出かけるつもりです。
ハイキング当日、一同が疲れを覚えながら歩いていると、後ろからトラックがやってきます。その荷台には杉山と千代が乗っていました。遅れ気味だった2人は一緒にトラックを呼び止め、一気に他の仲間たちを追い抜かしてやろうとしたのです。
早春のネタバレあらすじ:承
これをきっかけに杉山と千代は仲を深めますが、それには千代の方が積極的でした。彼女は男性に対して気が多く、以前から同僚たちの噂の種になっています。今度は杉山がターゲットというわけです。
一方、杉山の方は普段から鬱々としています。というのも昌子との仲があまり良くないからでした。大学時代、杉山は喜多川という行きつけのおでん屋の娘である彼女と恋に落ち、結婚したのですが、最初の子供を亡くしてからはその生活にも張り合いが失われ、2人の仲にもすきま風が吹いていたのです。そんな杉山を落とすのは千代にとって簡単なことでした。
早春のネタバレあらすじ:転
料亭で逢びきをしてから、杉山と千代は鈴ヶ森の海辺の旅館で体の関係を結びます。あっさりと浮気はしたものの、杉山は昌子を裏切った事が予想以上の負い目となります。
やがて仲間たちに2人の仲が知られたこともあって、関係はそれ以上進みませんでしたが、家にいても以前以上に口数が少なくなります。しかも千代がいかにも愛人という態度でしばしば家を訪れるため、昌子も夫の浮気に勘付いてしまうのです。昌子は腹を立て、実家に帰ってしまいます。
早春の結末
そんな折、杉山に転勤の話が持ち上がります。浮気と妻との不和で悩んでいた彼は、それを承諾することを決意。昌子にとりあえず知らせた上で、1人岡山の三石へと旅立ちます。
新しい職場にも慣れ始めた頃、工場から下宿へ帰ってくると、そこには昌子がいました。杉山は改めて浮気の件を妻に侘び、昌子もそれを受け入れます。二人きりの生活になり、ようやく夫婦にも平穏が訪れそうです。
以上、映画「早春」のあらすじと結末でした。
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