永遠の人の紹介:1961年日本映画。巨匠木下恵介が自らのオリジナル脚本を映画化した、陰々滅々としたメロドラマ。アカデミー賞外国語映画賞の候補作となった。お互いに憎しみ合う夫婦とその子供たちの年代記が、広大な阿蘇の裾野を舞台に描かれる。フラメンコ・ギターによる音楽が効果的。
監督:木下恵介 出演:高峰秀子(さだ子)、仲代達矢(小清水平兵衛)、佐田啓二(川南隆)、加藤嘉(草二郎)、乙羽信子(川南友子)、石浜朗(川南豊)、ほか
映画「永遠の人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「永遠の人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
永遠の人の予告編 動画
映画「永遠の人」解説
この解説記事には映画「永遠の人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
永遠の人のネタバレあらすじ:起
戦争中の阿蘇地方。一面の田畑の中を、楽隊の音も高らかに数十人の行列が進んでいきます。その中央には、馬車に乗った将校服姿の青年がいました。彼の名は小清水平兵衛。近隣地を一手に所有する大地主の一人息子です。
招集に応じて戦地に赴いた彼は片足を負傷し、傷痍軍人として郷里に帰還してきたのでした。平兵衛は自宅に着くなり、小作人の一人である草二郎の娘さだ子に目を留めます。しばらく見ないうちに彼女は美しく成長していました。
さだ子に惚れた平兵衛は父親を通して結婚を申し込みますが、彼女はそれに応じません。というのも、さだ子にはやはり徴兵された川南隆という幼馴染がいて、彼と結婚の約束をしていたからです。昔から優等生の隆に対してコンプレックスを覚えていた平兵衛は、彼を見返すためにさだ子を手篭めにします。
一旦は川に身を投げたものの死にきれかったさだ子は、嫌々ながら小清水家へと嫁ぐことになります。
永遠の人のネタバレあらすじ:承
そんな時に隆が兵役を無事に終え、復員してきます。隆は強姦のことを知り、さだ子へ駆け落ちを持ちかけますが、土壇場になって気を変え、自分ひとり村を出奔します。隆としては自分との生活で苦労させるより、大地主の妻として不自由のない暮らしを送らせるのが、さだ子のためになると思ったのです。
結局さだ子は平兵衛と結婚。年が経つうちに子供も3人生まれて庄屋の若奥さんとしての風格も出てきますが、夫婦仲は当然ながら悪く、家庭らしい温かみなどまるでありません。
間もなく昭和19年になって戦局がさらに悪化すると、大阪で所帯を持っていた隆が再び応召し、妻の友子と息子の豊を阿蘇の実家に疎開させます。友子は庄屋の手伝いとして働くことになりますが、平兵衛がさだ子と隆の仲を話したため、さだ子に対して嫉妬心を抱くようになります。
その気持を理解した平兵衛は友子に同情し、関係を迫るのですが、友子はそれだけはうんといいません。やがて友子は村にいるのが嫌になり、息子の豊を連れて自分の実家に帰ります。
永遠の人のネタバレあらすじ:転
戦争は終わり、昭和24年、復員した隆が村に還ってきました。妻の友子とは離婚し、豊だけが一緒です。平兵衛にとって隆の姿は苛立ちの種でしたが、それに加えて悩ましいのは、さだ子が長男である栄一に冷たいことです。
栄一は強姦の時にできた子なので、さだ子としてはどうしても優しい態度が取れないのでした。間もなく栄一は自分の出生の事情を知り、書き置きを残して家出。阿蘇の火口に身を投げて自殺します。
月日が経ち、昭和35年となりました。さだ子の残された2人の子供たちのうち、直子が同じ村の男性と駆け落ちします。相手はなんと隆の息子・豊でした。さだ子は自分の実現できなかった願いを娘が叶えてくれた気がして、胸のつかえが下ります。
しかしそれをいきなり知らされた平兵衛は激怒し、隆を呼びにやります。隆は草二郎と一緒に庄屋の屋敷に向かうのですが、途中、村を訊ねてきた友子と会ったことで気を立て、急に血を吐いて昏倒してしまいます。
永遠の人の結末
翌年、隆が危篤となったため、夫婦となった豊と直子が帰郷。生まれたばかりの赤ちゃんも一緒でした。二人を迎えに行ったさだ子も久しぶりに隆に会い、会話を交わします。
その会話中、さだ子は突然立ちあがって屋敷へと走り出し、囲炉裏端でお茶を飲んでいた平兵衛の前へ手を付きます。そして30年間、ずっと彼を憎みつづけたことを詫びます。それは豊と直子の行動を許してもらい、隆に安心して他界してもらうためでした。平兵衛はそんなさだ子に冷徹に接し、その詫びを受け入れようとはしません。
しかし二人でこれまでのことを振り返るうち、その気持も変わっていきます。平兵衛はさだ子がひとりで戻ろうとするところを呼び止め、不自由な足で隆のところへ歩いていくのです。
以上、映画「永遠の人」のあらすじと結末でした。
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