煙突の見える場所の紹介:1953年日本映画。五所平之助監督の戦後の代表作。突然夫婦の家庭に置き去りにされた赤ちゃんをきっかけに、壊れやすい人間関係があぶり出されていく。椎名麟三原作ということで、どことなくドストエフスキー的な世界が描かれる。
監督:五所平之助 出演:上原謙(緒方隆吉)、田中絹代(緒方弘子)、芥川比呂志(久保健三)、高峰秀子(東仙子)、関千恵子(池田雪子)、田中春男(塚原忠二郎)
映画「煙突の見える場所」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「煙突の見える場所」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「煙突の見える場所」解説
この解説記事には映画「煙突の見える場所」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
煙突の見える場所のネタバレあらすじ:起
戦後間もない東京の下町。川の土手の近くに、にわか仕立ての長屋がありました。その一軒を月三千円で借りているのが緒方隆吉とその妻の弘子です。夫妻は二階の二間を税務署に勤める久保健三、それに街頭放送所のアナウンサー東仙子のふたりに又貸ししていました。久保と仙子は独身の店子同士、相当親しい間柄になっています。緒方夫婦の生活は苦しく、弘子は競輪場で当たり券交換のバイトをしていました。それはプライドの高い隆吉には内緒でしたが、やがて彼にばれてしまい、少しの間ふたりの仲は気まずくなります。
煙突の見える場所のネタバレあらすじ:承
そこに降りかかったのが、赤ちゃん置き去り騒動。隆吉が勤め先の日本橋の足袋問屋から帰ってくると、縁側の隅に赤ん坊が置かれていたのです。赤ちゃんのそばには「弘子どの」と表書きのある封書が置いてありました。手紙を読んでみると、捨て子をしていったのは塚原という男。弘子の前夫です。塚原は空襲によって死んだと思われていたのですが、実は生きていました。しかし、赤ちゃんはもちろん弘子の子供であるわけがありません。おまけに手紙には戸籍謄本まで添えてあり、塚原と弘子がまだ姻戚関係にあることがそれによって分かりました。塚原は謄本によって弘子の住所を知ったのです。赤ちゃんもさることながら、妻が重婚をしていたことがショックで、隆吉は頭を抱えます。
煙突の見える場所のネタバレあらすじ:転
赤ちゃんを預かってくれるところもないため、弘子が自分で世話をすることになります。万事が腹立たしい隆吉は手を貸そうともしません。しかし、責任を感じた弘子が自殺をしようとしたことをきっかけに夫婦仲も元通りになり、隆吉も仕事から帰ってくると赤ちゃんの世話を手伝うようになります。下宿人の久保は緒方夫妻に協力して塚原の居所を捜索。やがてあるバラックに住んでいることを突き止めます。久保は塚原に赤ちゃんを引き取るように要求するのですが、生活に余裕のない塚原はウンと言いません。塚原は近くの小料理屋に久保を連れていくと、そこで住み込みで働く勝子という女に会わせます。彼女は塚原の後妻で、赤ちゃんの母親でした。ふたりの様子を見て、とても赤ちゃんを戻せないと思った久保はそのまま帰っていきます。
煙突の見える場所の結末
赤ちゃんが熱を出し、危篤状態に。緒方夫妻は徹夜で看病し、なんとか命は助かります。そこへ勝子がやってきて、赤ちゃんを引き取ると言い出します。しかし緒方夫妻も今は赤ん坊に情が移っているため、渡すのを拒否。勝子は彼らの非難の目に耐え切れず、泣きながら帰っていきます。緒方夫婦は勝子を責めたものの、やはり実の母親に赤ちゃんを渡すべきだと考え、仙子に勝子を呼びに行ってもらいます。そしてこの騒動のせいで久保と仙子も結婚することを決意。川向こうの煙突に見守られながら、長屋の生活は相変わらず続いていくのでした。
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